2019年5月8日(水) 「ドル円続落し110円台前半に。」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は株価の大幅下落と長期金利の低下を手掛かりに続落。一時は110円17銭まで売られ、約1カ月半ぶりの円高を記録。米中通商協議への懸念が広がる。
- ユーロドルは小幅に続落。欧州委員会が2019年のユーロ圏成長見通しを引下げたことでユーロ売りが優勢となり、1.1167まで下落。
- 株式市場は大幅に続落。米中通商協議に対する楽観的な見方が後退し、中国関連銘柄を中心に売られる。ダウは473ドル下げ、ナスダックも159ポイント安で、8000の大台を割り込む。
- リスク回避の流れが急速に強まり債券価格は上昇。長期金利はさらに低下し2.45%台に。
- 金は3日続伸し1285ドル台に。原油は反落。
3月消費者信用残高 → 102.8億ドル
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| ドル/円 | 110.17 〜 110.67 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1167 〜 1.1194 |
| ユーロ/円 | 123.11 〜 123.82 |
| NYダウ | −473.39 → 25,965.09ドル |
| GOLD | +1.80 → 1,285.60ドル |
| WTI | −0.85 → 61.40ドル |
| 米10年国債 | −0.013 → 2.457% |
本日の注目イベント
- 日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(3月14日、15日分)
- 日 4月マネタリーベース
- 中 中国 4月貿易統計
- 独 独3月鉱工業生産
- 英 英4月小売売上高
- 加 カナダ4月住宅着工件数
ドル円はNY市場でさらに売られ110円17銭までドル安が進みました。110円台割れは回避できたものの、米中通商協議に対する楽観的な見方が急速に後退し、場合によっては10日に中国製品に対する25%の関税適用もあり得るのではとの観測が広がっています。
前日は朝型から大きく値下がりした米株式市場でしたが、楽観的な見方に支えられ、引けにかけては大きく下げ幅を縮小しました。昨日は全くその気配もなくダウは一時600ドルほど下げる場面もありました。引き値では2万6000ドルの大台を割り込み、ナスダックも8000の大台を割り込み、ほぼ全面安です。このため、恐怖指数と言われる「VIX指数」も節目の「20」を超える場面もあり、リスク回避から安全資産の債券が買われています。
ドル円の急落は前日からその兆候を見せていましたが、昨日はユーロ円など、クロス円の売りもドル円の下落に一役かったようです。欧州委員会は2019年のユーロ圏の経済見通しを発表し、前回の1.3%から1.2%に下方修正し、さらにドイツの成長見通しも前回の1.1%から0.5%と、大幅に下方修正しています。この発表を受けユーロドルは1.11台半ばまで売られ、ドル高が進みました。ドル円ではドル安が進み、円とドルが買われユーロが売られたことでユーロ円は123円11銭前後まで下落し、今年1月4日以来となるユーロ安水準を付けました。見通しを発表した欧州委員会は、米中貿易摩擦をその理由の一つに挙げています。
今回の関税引き上げ問題は「トランプ・ショック」とでも言えそうです。本日は米国株の大幅な下げで、昨日に引き続き日本株も大きく売られそうです。ドル円が110円台を明確に割り込むと市場のムードも変わり、ドルに強気な市場関係者の相場観も修正を余儀なくされます。これで新元号「令和」への祝賀ムードも、金融市場に関する限り吹き飛んでしまいそうな雰囲気になります。
中国製品2000億ドル(約22兆1300億円)に対する25%の関税引き上げはトランプ大統領のツイートで幕開けとなりましたが、その後6日にはライトハイザーUSTR代表も同じことを口にしています。昨日は中国の新聞「環球時報」も社説で、「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」と報道したことで、交渉決裂への連想も浮上し、ドル円が売られ、株価の下落につながりました。「環球時報」はさらに、「協議が失敗しても、中国への影響は管理可能だろう」とも述べており、仮に関税が25%へ引き上げられても、中国景気への影響は軽微だとしています。このような一連の動きが、「25%への関税引き上げ」が単なる脅しではないといった見方につながったものと思われます。
予定では明日からワシントンで米中協議が再開されるようですが、今回の協議は時間も限られており、これが最後の交渉ということになりそうです。これまでトランプ大統領は交渉期限を決めながらも、何度か延期してきました。今回は2020年の大統領選が近いということもあり、やや状況が異なるかもしれません。このまま進展がなければ、25%への関税引き上げは米国東部時間10日の午前0時1分に発動されることになりそうです。
本日は110円を挟んでの攻防が予想されます。このまま110円を割らずに110円台半ばまで反発すればやや状況が変わる可能性もありますが、日本株がどこまで売られるのかにも関わってきます。一にも二にも、明日からの米中協議次第です。本日のドル円は109円80銭〜110円80銭と予想しますが、どうでしょうか。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 4/5 | ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 | (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 | -------- |
| 4/9 | IMF・世界経済見通し | 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 | ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。 |
| 4/9 | ラガルド・IMF専務理事 | 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 | -------- |
| 4/10 | FOMC議事録 | フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 | 公表後、ややドルが上昇。 |
| 4/11 | クラリダ/FRB副議長 | 「現在の景気拡大局面が今年半ばに米史上の最長記録を更新する可能性は非常に高い」 | -------- |
| 4/12 | ムニューシン・米財務長官 | 「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」 | -------- |
| 4/13 | 黒田・日銀総裁 | 「金融政策の余地がないと決め付けることはできない。わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」 | -------- |
| 4/13 | ドラギ・ECB総裁 | 「中銀の独立性に関し、確かに懸念している・・・・。世界で最も重要な地域においてだ」IMFの会合で、FRBに利下げ圧力をかけているトランプ大統領を暗に批判したと思える発言を。 | -------- |
| 4/14 | トランプ・米大統領 | 「FRBは適切に仕事をしていなかった。もしそうしていれば米株価はさらに5000−10000ポイント上昇していただろう。量的引き締めは破壊的だ。真逆のことをすべきだった」あらためてFRBを批判。 | -------- |
| 4/23 | トランプ・米大統領 | 「ハーレーは現在31%のEUの関税に苦しんでいる。この関税の一部を相殺するため、ハーレーは製造拠点を海外に移転せざるを得なかった。EUの関税率は2021年6月に66%に引き上げられる。米国に対し、非常に不当だ。われわれは報復する!」 | -------- |
| 4/25 | 日銀金融政策決定会合 | 「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」 | ドル円111円台後半から売られる。 |
| 4/30 | トランプ・米大統領 | 「中国が金融緩和で大規模な景気刺激策と取っている。われわれのFRBは低インフレにも関わらず、絶え間なく利上げを実施した」「FOMCが1ポイントの利下げを実施すれば、米経済はロケットのように上昇する」 | -------- |
| 5/5 | トランプ・米大統領 | 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 | ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。 |
| 5/7 | 中国「環球時報」 | 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 | ドル円の下落を加速させ、株価は下落。 |



