2019年5月9日(木) 「ドル円110円を割り込む」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 東京時間で110円を割り込み、109円91銭まで円高が進んだドル円は上値の重い展開が続く。本日から米中協議が再開されるとの期待から110円27銭まで反発したものの、110円05−10銭まで押し戻されて取引を終える。
- ユーロドルは引き続き1.12を挟んでもみ合い。1.12台に乗せると売られる展開が続く。
- ダウは小幅に上昇してようやくプラス圏で引けるが、他の主要指数は続落。前日の大幅下落は止まったものの、売り買いは交錯。
- 債券相場は反落。長期金利は2.48%台へ小幅に上昇。
- 金は4日ぶりに反落し、原油は反発。
| ドル/円 | 109.98 〜 110.27 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1183 〜 1.1214 |
| ユーロ/円 | 123.15 〜 123.52 |
| NYダウ | +2.24 → 25,967.33ドル |
| GOLD | −4.20 → 1,281.40ドル |
| WTI | +0.72 → 62.12ドル |
| 米10年国債 | +0.027 → 2.484% |
本日の注目イベント
- 日 菅官房長官訪米
- 中 中国4月消費者物価指数
- 中 中国4月生産者物価指数
- 米 4月生産者物価指数
- 米 3月貿易収支
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
- 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
- 加 カナダ3月貿易収支
ドル円は昨日の東京市場で株価が大きく売られたことを手掛かりに110円台を割り込み、一時は109円91銭までドル安が進みました。ただ節目の110円を割り込んだものの、警戒感もあり、米中協議の行方も読み切れないことからその後の海外市場ではやや落ち着きを取り戻し、ドルを買い戻す動きが優勢でした。
昨日のこの欄でも、「今回は本気度が違う」と記述しましたが8日、USTRは10日東部時間午前0時1分に中国からの輸入品2000億ドル(約22兆円)相当に付加する関税率を、10%から25%に引き上げることを正式に官報で通知しました。トランプ大統領はツイッターで、「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」と投稿しています。このままで行くと、余程大幅な中国側からの譲歩がない限り、25%の関税は実施されると思われますが、トランプ氏の言葉から推測すると、可能性は低いものの、まだ逆転劇の余地は残っていると考えています。その中国では商務省が、「貿易摩擦が激化するのは中国の国民および世界の利益にかなわない。中国はこの動きを深く憂慮する」との声明を発表し、「米国が計画する対中関税引き上げが発効すれば、中国は報復措置を取らざるを得ない」と表明しました。(ブルームバーグ)
昨日ラジオ日経の番組に出演した際に、キャスターの方から「株価の動きを非常に気にするトランプ大統領は、少なくともこのような発言を行えば株価が下がることを予想できたはず。それが何故このような発言を?」といった質問をされました。もちろん、トランプ氏は株価が下がることを予見できたはずですが、米国株は今年1月4日の安値から大きく戻しており、ナスダックとS&P500は史上最高値を更新中でした。多少の株価の下落には耐えられると読んだ可能性があります。また、大統領選をにらんで早めの手を打ったとも言えます。なにしろ、今回の関税引き上げが実施されれば、トランプ氏自身も言っているように、1千億ドルを超える税収が米国に入るわけですから・・・・。ただ、これまでの一連の発言を総合すれば、トランプ氏の背中を押したのは、交渉の最前線で中国側の対応を詳細に見てきたライトハイザーUSTR代表ではないかと考えています。このタフ・ネゴシエイターが、今度は日本側と対峙することになります。
全ては本日からの米中協議の交渉次第ですが、関税引き上げを中止するに時間が足りないと思います。中国も報復措置を検討しており、全面的に米国の要求を飲むこともないと考えられます。結局、時間切れという形で新関税率適用となり、それでも交渉は継続するという可能性が高いと思われます。中国にとっても、これまで1000円で輸出し、1100円で売れたものが、突然1250円になるとすれば売れ行にも大きく影響し、国内の景気減速を加速することになります。どこかで「落としどころ」を探ってくると予想します。
ドル円は引き続き上値を抑えられる展開です。すでに110円を割り込んだこともあり、下値のメドはやはり109円50銭〜109円70銭辺りと見ています。本日のレンジは109円50銭〜110円40銭程度を予想します。
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明日の「アナリトレポート」はお休みとさせていただきます。ご愛読者の皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、宜しくお願い申し上げます。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 4/5 | ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 | (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 | -------- |
| 4/9 | IMF・世界経済見通し | 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 | ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。 |
| 4/9 | ラガルド・IMF専務理事 | 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 | -------- |
| 4/10 | FOMC議事録 | フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 | 公表後、ややドルが上昇。 |
| 4/11 | クラリダ/FRB副議長 | 「現在の景気拡大局面が今年半ばに米史上の最長記録を更新する可能性は非常に高い」 | -------- |
| 4/12 | ムニューシン・米財務長官 | 「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」 | -------- |
| 4/13 | 黒田・日銀総裁 | 「金融政策の余地がないと決め付けることはできない。わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」 | -------- |
| 4/13 | ドラギ・ECB総裁 | 「中銀の独立性に関し、確かに懸念している・・・・。世界で最も重要な地域においてだ」IMFの会合で、FRBに利下げ圧力をかけているトランプ大統領を暗に批判したと思える発言を。 | -------- |
| 4/14 | トランプ・米大統領 | 「FRBは適切に仕事をしていなかった。もしそうしていれば米株価はさらに5000−10000ポイント上昇していただろう。量的引き締めは破壊的だ。真逆のことをすべきだった」あらためてFRBを批判。 | -------- |
| 4/23 | トランプ・米大統領 | 「ハーレーは現在31%のEUの関税に苦しんでいる。この関税の一部を相殺するため、ハーレーは製造拠点を海外に移転せざるを得なかった。EUの関税率は2021年6月に66%に引き上げられる。米国に対し、非常に不当だ。われわれは報復する!」 | -------- |
| 4/25 | 日銀金融政策決定会合 | 「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」 | ドル円111円台後半から売られる。 |
| 4/30 | トランプ・米大統領 | 「中国が金融緩和で大規模な景気刺激策と取っている。われわれのFRBは低インフレにも関わらず、絶え間なく利上げを実施した」「FOMCが1ポイントの利下げを実施すれば、米経済はロケットのように上昇する」 | -------- |
| 5/5 | トランプ・米大統領 | 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 | ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。 |
| 5/7 | 中国「環球時報」 | 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 | ドル円の下落を加速させ、株価は下落。 |
| 5/7 | クラリダFRB副議長 | (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 | -------- |
| 5/8 | トランプ大統領 | 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 | -------- |



