今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年5月21日(火) 「ドル円110円を挟みもみ合い」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は東京時間に110円32銭まで買われたが、その後は下落に転じ、NYでは株価の下げに109円81銭まで売られる。株価の反発と長期金利の上昇に伴い、110円台に乗せて取り引きを終える。
  • ユーロドルはほぼ横ばい。1.11台半ばを挟んで小動き。
  • 株式市場は終始軟調に推移。ファ−ウェイへの部品やソフトの供給が禁止されたことでグーグルなどが売られ、ナスダックは113ポイントの大幅安。
  • 債券相場は小幅に下落し、長期金利は2.41%台まで上昇。
  • 金は3日ぶりに反発し、原油は続伸。
ドル/円 109.81 〜 110.06
ユーロ/ドル 1.1157 〜 1.1174
ユーロ/円 122.56 〜 122.97
NYダウ −84.10 → 25,679.90ドル
GOLD +1.60 → 1,277.30ドル
WTI +0.34 → 63.10ドル
米10年国債 +0.025 → 2.416%

本日の注目イベント

  • 豪 RBA議事録
  • 欧 ユーロ圏5月消費者信頼感(速報値)
  • 欧 OECD世界経済見通し
  • 英 カーニー・BOE総裁議会証言
  • 米 4月中古住宅販売件数
  • 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
  • 米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演

ドル円は昨日の東京時間に110円31銭まで上昇し、前日のNYでの高値を抜きましたが、勢いはなく、その後は海外市場に向けて軟調な地合いが続きました。トランプ大統領が中国のファーウェイなどを米市場から事実上締め出す大統領令に署名したことで、株式市場ではハイテク株が大きく売られ、ドル円も109円81銭までドル安が進みました。

ドル円はその後再び110円台を回復しましたが、中国側がこれまでの米国の要求に対して見せていた柔軟な姿勢を硬化させており、米中通商協議が行き詰っているとの印象です。今後も協議は継続されるとのことですが、実際の日程はまだ決まっていないようです。一方で米国は制裁関税第4弾として、3000億ドル(約33兆円)相当の中国製品に対して25%の関税をかける準備を行っています。このままでいけば、公聴会などを経て実際には6月後半から7月には実施される可能性もありますが、実施された場合の影響はこれまでと比べ、はるかに甚大なものになりそうで、その影響は日本も例外ではありません。

協議が進まない根底には米中の覇権争いがあると言われており、そうだとすれば米中の歩み寄りはそう簡単ではありません。今週の「日経ヴェリタス」紙は、米中の関係を「新冷戦」と位置づけ、「新冷戦は終わらない」との特集と組んでいます。この紙面とは無関係ですが、トランプ大統領は米FOXニュースの番組で、「米国に代わって世界を率いる超大国になることを中国は望んでいるが、中国が米国をしのぐことはない。自分が大統領である限り」と述べています。まさに「新冷戦」と言えます。この発言は多分に大統領選を意識したものだとは思いますが、中国との貿易交渉を「急がない」とも語っており、時間との問題もあり状況は中国にとって不利と言わざるを得ません。今週末に来日し安倍首相と会談する中で、何か打開策が打ち出されればいいと思いますが、それも余り期待できません。

昨日の朝方に発表された日本の第一四半期GDPは驚きでした。マイナスと予想されていたものが、前年同期比で0.5%増、年率換算で2.1%増と、予想を大きく上回りました。ただ、内容的にはそれほど喜べず、輸入の減少が「外需」を押し上げたことが主因となっています。個人消費は2期ぶりに減少となっており、4−6月期もマイナス成長の可能性が高いと予想されています。消費税増税派にとっては「追い風」になった今回の結果ですが、24日に予定されている「月例経済報告」で政府がどのような判断を下すのか注目されます。

ドル円は110円を挟んでもみ合う展開が予想されます。109円前後では底堅さを見せたドル円ですが、上値の方も「戻り売り」が控えているようです。次の材料待ちといったところでしょうか。本日のレンジは109円60銭〜110円40銭程度と予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
4/5 ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 --------
4/9 IMF・世界経済見通し 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。
4/9 ラガルド・IMF専務理事 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 --------
4/10 FOMC議事録 フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 公表後、ややドルが上昇。
4/11 クラリダ/FRB副議長 「現在の景気拡大局面が今年半ばに米史上の最長記録を更新する可能性は非常に高い」 --------
4/12 ムニューシン・米財務長官 「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」 --------
4/13 黒田・日銀総裁 「金融政策の余地がないと決め付けることはできない。わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」 --------
4/13 ドラギ・ECB総裁 「中銀の独立性に関し、確かに懸念している・・・・。世界で最も重要な地域においてだ」IMFの会合で、FRBに利下げ圧力をかけているトランプ大統領を暗に批判したと思える発言を。 --------
4/14 トランプ・米大統領 「FRBは適切に仕事をしていなかった。もしそうしていれば米株価はさらに5000−10000ポイント上昇していただろう。量的引き締めは破壊的だ。真逆のことをすべきだった」あらためてFRBを批判。 --------
4/23 トランプ・米大統領 「ハーレーは現在31%のEUの関税に苦しんでいる。この関税の一部を相殺するため、ハーレーは製造拠点を海外に移転せざるを得なかった。EUの関税率は2021年6月に66%に引き上げられる。米国に対し、非常に不当だ。われわれは報復する!」 --------
4/25 日銀金融政策決定会合 「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」 ドル円111円台後半から売られる。
4/30 トランプ・米大統領 「中国が金融緩和で大規模な景気刺激策と取っている。われわれのFRBは低インフレにも関わらず、絶え間なく利上げを実施した」「FOMCが1ポイントの利下げを実施すれば、米経済はロケットのように上昇する」 --------
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和