今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年5月23日(木) 「米長期金利再び2.4%割れ」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は動きが少ない中、ジリジリと下落。FOMC議事録も材料にはならず、長期金利の低下に歩調を合わせ110円24銭まで売られる。
  • ユーロドルは前日の水準とほぼ変わらず1.11台で推移。1.1150が安値となり、値幅も30ポイント程度に収まる。
  • 株式市場は反落。米政府が中国の企業5社をブラック・リストに掲載することを検討しているとの情報に株価は終始軟調。ダウは100ドル下げ、他の主要指数も下落。
  • 債券相場は3日ぶりに反発。長期金利は2.38%台に。
  • 金は反発。原油は在庫が2年ぶりの高水準だったことで大幅安。前日比1.71ドル下落し61ドル台半ばに。
ドル/円 110.24 〜 110.44
ユーロ/ドル 1.1150 〜 1.1181
ユーロ/円 122.96 〜 123.35
NYダウ −100.72 → 25,776.61ドル
GOLD +1.00 → 1,274.20ドル
WTI −1.71 → 61.42ドル
米10年国債 −0.044 → 2.382%

本日の注目イベント

  • 独 独1−3月期GDP(速報値)
  • 独 独5月ifo景況感指数
  • 独 独5月製造業PMI(速報値)
  • 独 独5月サービス業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏5月総合PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏5月製造業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏5月サービス業PMI(速報値)
  • 欧 欧州議会選挙
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 4月新築住宅販売件数
  • 米 ダラス連銀総裁、SF連銀総裁、アトランタ連銀総裁、リッチモン連銀総裁がパネル討論

ドル円は110円台半ばから緩やかに下落し、110円24銭まで売られています。やはり、不透明な米中貿易問題がネックとなり111円台に乗せる動きは見られません。公表されたFOMC議事録でも、これといった議論は見られず、トランプ政権がさらに中国企業への圧力を強める動きがドルの上値を抑える格好でした。

米政府は中国の大手ビデオ監視機器メーカーの「メグビー」など中国企業5社について、米国の重要技術利用を事実上禁じる検討をしていると、事情に詳しい関係者の話としてブルームバーグが伝えています。ファーウエイに続き、新たに5社をブラック・リストに掲載することを検討しているようで、米商務省の「エンティティー・リスト」に追加されると、許可なしでの米国製部品やソフトウエアの調達が禁止されることになります。この報道を受け米株式市場では米中貿易問題が激化するとの観測に、アップルなどのIT株が売られ、為替市場では人民元が売られています。トランプ政権は中国製品に対する25%の関税引き上げを決めた後も手綱を緩めることなく、中国に圧力をかけ続けています。

一方でムニューシン財務長官は、トランプ大統領と中国の習近平国家主席が6月末に会う可能性が高いと議会で述べています。同長官は下院金融委員会の公聴会で「トランプ政権は中国との貿易協議で計り知れないほどの進展を遂げたが、残念ながら、中国は大きく後退した」と発言しました。「G20」は来月28―29日に大阪で開催されることになっていますが、この席で米中首脳会談が行われ、停滞感が強まってきた米中貿易協議に新たな展開が見られる期待もあるようです。

FOMC議事録では、「金利政策に対する辛抱強いアプローチは、しばらく引き続き適切になる」と記されており、最近のインフレ減速は「一過性の公算が大きい」と、多くの委員が指摘しており、2%目標付近でのインフレ率と整合的である可能性が高いとの判断でした。また今後の利下げについての議論はなかったようです。

依然として米中貿易問題を巡る動きが相場を左右する展開ですが、現状の流れが続く限りドル円の大幅な上昇は見込みにくいと思われます。中国企業への規制が強まったことで、アップルやグーグルなど、米IT企業の業績にも懸念が強まっています。米長期金利も再び2.4%を割り込み、2.38%台まで低下してきました。その割には健闘しているドル円ですが、市場関係者は将来のリスクに備えて身構えている状況のようにも見えます。

本日はユーロ圏で重要経済指標の発表があり、1.11台で余り大きな動きが見られないユーロドルが動く可能性があります。ユーロの動きに影響されてドル円も動く可能性があるため、欧州時間には経済指標の発表にも注意が必要です。特にドイツではGDPをはじめ、重要指標が発表されます。ドル円は徐々に上値が切り下がってきましたが、110円台を大きく下回らない限り急激な変化はないと見ています。結局110円を挟んだ展開に落ち着くのではないかと予想しています。本日のレンジは109円80銭〜110円50銭程度でしょうか。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
4/5 ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 --------
4/9 IMF・世界経済見通し 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。
4/9 ラガルド・IMF専務理事 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 --------
4/10 FOMC議事録 フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 公表後、ややドルが上昇。
4/11 クラリダ/FRB副議長 「現在の景気拡大局面が今年半ばに米史上の最長記録を更新する可能性は非常に高い」 --------
4/12 ムニューシン・米財務長官 「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」 --------
4/13 黒田・日銀総裁 「金融政策の余地がないと決め付けることはできない。わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」 --------
4/13 ドラギ・ECB総裁 「中銀の独立性に関し、確かに懸念している・・・・。世界で最も重要な地域においてだ」IMFの会合で、FRBに利下げ圧力をかけているトランプ大統領を暗に批判したと思える発言を。 --------
4/14 トランプ・米大統領 「FRBは適切に仕事をしていなかった。もしそうしていれば米株価はさらに5000−10000ポイント上昇していただろう。量的引き締めは破壊的だ。真逆のことをすべきだった」あらためてFRBを批判。 --------
4/23 トランプ・米大統領 「ハーレーは現在31%のEUの関税に苦しんでいる。この関税の一部を相殺するため、ハーレーは製造拠点を海外に移転せざるを得なかった。EUの関税率は2021年6月に66%に引き上げられる。米国に対し、非常に不当だ。われわれは報復する!」 --------
4/25 日銀金融政策決定会合 「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」 ドル円111円台後半から売られる。
4/30 トランプ・米大統領 「中国が金融緩和で大規模な景気刺激策と取っている。われわれのFRBは低インフレにも関わらず、絶え間なく利上げを実施した」「FOMCが1ポイントの利下げを実施すれば、米経済はロケットのように上昇する」 --------
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
5/20 張明EU大使 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 --------
5/20 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和