今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年5月24日(金) 「米長期金利一時2.3%を割り込む」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は110円を大きく割り込み、109円46銭まで売られる。欧州を含む世界景気の低迷に加え、米中の貿易摩擦の激化から円を買う動きが拡大。米長期金利の低下もドルの重石に。
  • ユーロドルはドイツのPMIが予想を下回ったことで、1.1108までユーロ安が進んだが、ドル売られたことで1.1187まで反発。
  • 株式市場は大幅に続落。ダウは450ドルに迫る下落を見せる局面もあり、米中貿易問題と世界景気への懸念がリスク回避の流れを加速させた。
  • 安全資産の債券は買われ、長期金利は2.3%割れと急低下。
  • 金は続伸。原油価格は連日の大幅安で57ドル台に。
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新規失業保険申請件数 → 21.1万件
4月新築住宅販売件数 → 67.3万件
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ドル/円 109.46 〜 110.11
ユーロ/ドル 1.1108 〜 1.1187
ユーロ/円 122.14 〜 122.65
NYダウ −286.14 → 25,490.47ドル
GOLD +11.20 → 1,285.40ドル
WTI −3.51 → 57.91ドル
米10年国債 −0.064 → 2.319%

本日の注目イベント

  • 日 4月消費者物価指数
  • 英 英4月小売売上高
  • 米 債券市場は短縮取引
  • 米 4月耐久財受注

ドル円は再び110円を大きく割り込み、円高懸念が再燃してきました。米中貿易摩擦を巡って、米中双方の批判も相次ぎ、協議は今後も継続されるものの合意には至らず、問題解決には相当な時間を要するとの見方が強まってきたことが背景です。昨日のNYでは、米中貿易摩擦問題の悪化から株価が大きく売られ、ダウは一時400ドルを大きく超える下落場面もあり、安全資産の債券が急上昇。長期金利は2017年10月以来となる2.3%割れまで低下して、円を買う動きを加速させました。ドル円は110円を大きく割り込み、109円46銭まで売られ、先週金曜日の水準までドル安が進んでいます。

昨日はWTI原油先物市場でも原油価格が大きく売られています。貿易を巡る米中の対立悪化で、リスク資産を回避する動きが強まったことから、WTI原油価格も前日比6%近い下げを見せ、引け値でも3ドル51セント下げています。ここ2日間の下げも5ドル22セントと、引け値では3月12日以来となる58ドル割れになっています。

引き金になったのは、中国共産党機関紙・人民日報が論説で主張した記事でした。論説では、「1年余りにわたり米国は乱暴者のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた」と強く非難しました。米国に対する非難は今回の人民日報の論説だけではなく、米国が中国製品2000億ドル(約22兆円)に対して25%の関税を発動して以来、多くの政府系メディアが揃って批判的な論調を展開する行動に出ています。このような状況の中、米中が歩み寄るきっかけさえ見つからない状態です。来月末に行われる「G20」での米中トップ会談に期待するしかありませんが、この会談さえも今後の展開次第では開催されなくなることも考えられます。

そんな中、IMFのリサーチャーらが珍しいリポートを公表したと、ブルームバーグは伝えています。リサーチャーらは23日のリポートで、「徴収された関税収入のほぼ全てを負担しているのは米国の輸入企業だ」と分析し、「洗濯機などに課されるこうした関税は米消費者に転嫁されている部分もあるが、その他は企業が利益マージンを削る形で吸収している」と記述されています。結局、「米国の消費者と中国が貿易摩擦の敗者であることは明白だ」とリポートは断じています。ブームバーグは、IMFが最大出資国である米国と意見が対立するのは珍しいと報じています。ただ、IMFトップのラガルド専務理事は、元はフランスの財務大臣であり、トランプ政権がEUに対しても貿易戦争を仕掛けていることを考えれば、個人的には違和感はありません。

ドル円は今週半ばには110円67銭まで反発しましたが、結局「日足」の雲の下限で上昇を抑えられ、再び109円台半ばまで値を下げてきました。先週月曜日のNY市場では109円02銭まで円高が進み、109円割れを回避する形で反発しましたが、再びこのレベルが意識される展開になりそうです。今回、仮に109円近辺までドル安が進んだ場合、前回同様109円台を維持できるかどうかが焦点の一つになります。明日からトランプ大統領夫妻が来日しますが、米中貿易問題の行き詰まりを、安倍首相が仲介する形で緩和できればとの期待もありますが、その可能性は極めて低く、「G20」に期待するとすれば、まだ1カ月も先の話です。米中貿易問題が新たに悪い局面入りしなければいいと思いますが、しばらくはこの問題が相場のカギを握っています。本日のドル円レンジは109円〜109円90銭程度を予想します。

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今年も投資の神様ウォーレン・バフェット氏の生の声を聞きたくて、今月4日、世界中から多くの株主がネブラスカ州、オマハに集まりました。株主総会は例年通り7時間におよび、バフェット氏は株主の質問にユーモアを交えて答えたそうです。そのバフェット氏、今年8月30日で89歳になります。さすがに高齢であるため、ポスト「バフェット」が常に関心事の一つになります。なにしろ時価総額で世界5位、手元の資金も1000億ドル(約11兆円)を有するバークシャー・ハザウェイの経営を担うわけですから、その行動の一つ一つが世界の株価にも影響します。今年の総会で、その後継者の名前がほぼ絞られたようです。アジット・ジャイン氏67歳と、グレッグ・アベル氏56歳がその候補です。バフェット氏が二人の才能を高く評価していることは当然ですが、どちらが後継者に選ばれるのか、そして、不世出の投資家がいつ引退するのか、興味が尽きません。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
4/5 ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 --------
4/9 IMF・世界経済見通し 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。
4/9 ラガルド・IMF専務理事 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 --------
4/10 FOMC議事録 フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 公表後、ややドルが上昇。
4/11 クラリダ/FRB副議長 「現在の景気拡大局面が今年半ばに米史上の最長記録を更新する可能性は非常に高い」 --------
4/12 ムニューシン・米財務長官 「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」 --------
4/13 黒田・日銀総裁 「金融政策の余地がないと決め付けることはできない。わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」 --------
4/13 ドラギ・ECB総裁 「中銀の独立性に関し、確かに懸念している・・・・。世界で最も重要な地域においてだ」IMFの会合で、FRBに利下げ圧力をかけているトランプ大統領を暗に批判したと思える発言を。 --------
4/14 トランプ・米大統領 「FRBは適切に仕事をしていなかった。もしそうしていれば米株価はさらに5000−10000ポイント上昇していただろう。量的引き締めは破壊的だ。真逆のことをすべきだった」あらためてFRBを批判。 --------
4/23 トランプ・米大統領 「ハーレーは現在31%のEUの関税に苦しんでいる。この関税の一部を相殺するため、ハーレーは製造拠点を海外に移転せざるを得なかった。EUの関税率は2021年6月に66%に引き上げられる。米国に対し、非常に不当だ。われわれは報復する!」 --------
4/25 日銀金融政策決定会合 「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」 ドル円111円台後半から売られる。
4/30 トランプ・米大統領 「中国が金融緩和で大規模な景気刺激策と取っている。われわれのFRBは低インフレにも関わらず、絶え間なく利上げを実施した」「FOMCが1ポイントの利下げを実施すれば、米経済はロケットのように上昇する」 --------
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
5/20 張明EU大使 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 --------
5/20 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。
5/23 人民日報 1年余りにわたり米国は「乱暴者」のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。大型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた。 ドル円110円台から109円46銭まで急落。株価も大幅安となり、長期金利は2.3%台を割り込む。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和