今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年5月30日(木) 「ドル円小幅に反発」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は朝方109円17銭前後まで売られたが、その後は株価が下げ幅を縮小したことや、ユーロドルでドル高が進んだことから109円70銭まで上昇。
  • ユーロドルは1.1124まで下落。欧州委員会がイタリア政府に対し、財政規律違反を巡る是正手続きに着手するとの報道からユーロ売りが強まったが1.10台は維持。
  • 株式市場は大幅に続落。米中貿易協議の見通しが立たず、中国がレアアースを報復手段にするとの報道が悪材料に。ダウは一時2万5000ドルを割り込む場面もあったが、引け値は221ドル安と、大台はキープ。
  • 債券相場は小幅ながら続伸。長期金利は2.26%台と、ほぼ横ばい。
  • 金は3日ぶりに反発し、原油は反落。
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5月リッチモンド連銀製造業指数 → 5
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ドル/円 109.19 〜 109.70
ユーロ/ドル 1.1124 〜 1.1157
ユーロ/円 121.57 〜 122.10
NYダウ −221.36 → 25,126.41ドル
GOLD +3.80 → 1,286.30ドル
WTI −0.33 → 58.81ドル
米10年国債 −0.005 → 2.260%

本日の注目イベント

  • 米 1−3月GDP(改定値)
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 4月中古住宅販売件数成約指数
  • 米 クラリダ・FRB副議長講演

米中貿易問題が行き詰まりを見せるなか、中国政府はレアアースを報復措置の手段とすることに言及。これが材料視され、米国株が連日の大幅安となり、ドル円も109円台は維持したものの、東京時間では109円15銭近辺まで円高が進む場面がありました。

中国政府は、「レアアースは米国に対する対抗手段となるだろう」と指摘し、人民日報は論説で、「米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない」と主張しています。米国は、電気自動車やデジタル家電に欠かせないレアアースの8割ほどを中国から輸入しています。ただ実際に中国が米国への輸出を停止すれば、自国の企業にも副作用があり、簡単には禁輸に踏み切れないだろうとの見方が一般的なようです。それでも米中貿易戦争は行き詰ったというよりも、このところはエスカレートしており、金融市場は「米中貿易問題一色」といった様相になっています。

米財務省は半期に一度の為替報告書を公表し、中国を監視リストに指定したものの、「為替操作国」と認定することは見送りました。監視リストには「対米貿易黒字、経常黒字、一方的な為替介入」の3つの条件から判断しているようですが、日本やドイツ、韓国なども監視リストに入っています。「為替操作国」に認定されると経済制裁などが発動され、今後の貿易取引にも大きな影響がでる可能性があります。

ドル円は今回の下落局面でも109円割れは回避しています。ドルの上値が重いのは事実ですが、109円近辺では底堅い動きを見せています。昨日のNY市場では株価が大きく続落し、ダウは一時2万5000ドルの大台を割り込む場面もありました。ただ昨日は前日と異なり、米長期金利の低下がそれほど進まなかったことで、ドル円の下落も限定的となり、対ユーロでドル高が進んだことから109円70銭までドルが買われたものと思われます。

注意したいのは米長期金利の動きです。昨日は2.22%まで低下し、2.0%割れを指摘する声も出てきました。3カ月物Tビル(財務省短期証券)とのスプレッドも最大で13bpに広がり、「逆イールド」が拡大しています。フェデラルファンド(FF)金利先物動向では、FOMCが2020年末までに3度の利下げを行う可能性を市場は完全に織り込んでいます。(ブルームバ−グ)日本の長期金利も昨日はマイナス0.10%まで低下し、2カ月ぶりの低水準を記録しましたが、今後の金利低下余地は米国債の方が大きいことは明白で、米中戦争が長期化すれば、日米金利差は徐々に縮小すると予想されます。従ってドルの上値も限定的となり、緩やかな円高が続く可能性も排除できません。

大阪で行われる「G20」まで、まだ1カ月もあります。なかなかドルが浮上するきっかけが見つからないのが現状で、ドル円がどこまで粘り腰を続けられるのかといった状況です。本日のドル円は109円20銭〜109円90銭程度のレンジを予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
4/5 ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 --------
4/9 IMF・世界経済見通し 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。
4/9 ラガルド・IMF専務理事 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 --------
4/10 FOMC議事録 フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 公表後、ややドルが上昇。
4/11 クラリダ/FRB副議長 「現在の景気拡大局面が今年半ばに米史上の最長記録を更新する可能性は非常に高い」 --------
4/12 ムニューシン・米財務長官 「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」 --------
4/13 黒田・日銀総裁 「金融政策の余地がないと決め付けることはできない。わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」 --------
4/13 ドラギ・ECB総裁 「中銀の独立性に関し、確かに懸念している・・・・。世界で最も重要な地域においてだ」IMFの会合で、FRBに利下げ圧力をかけているトランプ大統領を暗に批判したと思える発言を。 --------
4/14 トランプ・米大統領 「FRBは適切に仕事をしていなかった。もしそうしていれば米株価はさらに5000−10000ポイント上昇していただろう。量的引き締めは破壊的だ。真逆のことをすべきだった」あらためてFRBを批判。 --------
4/23 トランプ・米大統領 「ハーレーは現在31%のEUの関税に苦しんでいる。この関税の一部を相殺するため、ハーレーは製造拠点を海外に移転せざるを得なかった。EUの関税率は2021年6月に66%に引き上げられる。米国に対し、非常に不当だ。われわれは報復する!」 --------
4/25 日銀金融政策決定会合 「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」 ドル円111円台後半から売られる。
4/30 トランプ・米大統領 「中国が金融緩和で大規模な景気刺激策と取っている。われわれのFRBは低インフレにも関わらず、絶え間なく利上げを実施した」「FOMCが1ポイントの利下げを実施すれば、米経済はロケットのように上昇する」 --------
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
5/20 張明EU大使 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 --------
5/20 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。
5/23 人民日報 1年余りにわたり米国は「乱暴者」のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。大型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた。 ドル円110円台から109円46銭まで急落。株価も大幅安となり、長期金利は2.3%台を割り込む。
5/27 トランプ・米大統領 貿易に関して、われわれは恐らく8月に両国にとって非常に好ましい何かを発表するだろう。日本の対米ビジネスは米国の対日ビジネスよりがはるかに多いため、われわれは少し巻き返す必要がある。われわれは逆に対日ビジネスを増やしたい。 --------
5/29 人民日報 米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない。 ドル円109円15銭近辺まで円高が進む。米国株は連日の大幅安。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和