今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年5月31日(金) 「米長期金利さらに低下」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は反発し109円93銭まで上昇したが、110円台乗せには至らず。その後長期金利の低下に伴い、109円台半ばまで売られ、前日と同水準で引ける。
  • ユーロドルは売られ、年初来安値に近い水準までユーロ安が進んだが、その後1.11台半ばまで反転。
  • 株式市場は3日ぶりに反発。ハイテク株や生活関連銘柄が上昇。ダウは43ドル上昇し、3主要指数は揃って上昇。
  • 債券相場は続伸し、長期金利は2.21%台まで低下。短期金利との逆イールドは拡大。
  • 金は続伸。原油は大幅に続落し、56ドル台に。
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1−3月GDP(改定値)   → 3.1%
新規失業保険申請件数     → 21.5万件
4月中古住宅販売件数成約指数 → −1.5%
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ドル/円 109.48 〜 109.93
ユーロ/ドル 1.1116 〜 1.1141
ユーロ/円 121.90 〜 122.26
NYダウ +43.47 → 25,169.83ドル
GOLD +6.10 → 1,292.40ドル
WTI −2.22 → 56.59ドル
米10年国債 −0.047 → 2.213%

本日の注目イベント

  • 日   4月失業率
  • 日   5月東京都区部消費者物価指数
  • 日   4月鉱工業生産(速報値)
  • 中   5月製造業PMI(速報値)
  • 中   5月非製造業PMI(速報値)
  • 中   5月コンポジットPMI(速報値)
  • トルコ トルコ1−3月期GDP
  • 独   独5月消費者物価指数(速報値)
  • 英   英4月消費者信用残高
  • 英   英4月 マネーサプライ
  • 米   4月個人所得
  • 米   4月個人支出
  • 米   4月PCEコアデフレータ
  • 米   5月シカゴ購買部協会景気指数
  • 米   5月ミシガン大学消費者マインド
  • 加   カナダ1−3月期GDP

ドル円は昨日の東京時間日中から小幅に上昇し、NY市場では110円台回復には至りませんでしたが、109円93銭までドルが買われました。ただその後は、この日NY経済クラブで行なわれたクラリダFRB副議長の講演内容で、長期金利が低下した影響もあり、109円台半ばまで押し戻され、結局前日と同じレベルで戻ってきました。

クラリダ副議長は、「イールドカーブに注目している。最近のフラット化の大部分は世界の金融情勢が原因であり、FEDが政策を検討する際、重要な意味を持つ」と発言し、やや「ハト派」的だったと受け止められドルを押し下げました。副議長はさらに、「インフレ率はFEDの予想より低くなっている」とも述べ、将来の金融緩和を連想させるような物言いも行っています。米長期金利は昨日も低下し、2017年4月以来の低水準をつけています。また5年債と2年債との逆イールドも拡大しており、市場は徐々に「利下げ」を意識し始めているようです。個人的には、米経済の基本となる雇用は安定しており、住宅市場にもようやく底入れを示す指標も散見され、さらに昨日は個人消費も上方修正されるなど、現時点では米経済指標に関して特段下振れを示す傾向が高まったわけではありません。従って、「利下げ」を前提としたポジションメイクは時期尚早かと考えています。もっとも、これも米中貿易戦争の行方次第であることは言うまでもありません。明日から中国が米国に対して対抗措置として発表した、米国製品600億ドル(約6兆6000億円)に対する関税が25%に引き上げられます。

本日は注目の中国PMIが朝方10時に発表されます。前回「50.1」だった製造業PMIは「49.9」と、節目の「50」を割り込むと予想され、前回「54.3」だった非製造業は横ばいと予想されており、やはり米国の制裁関税の影響が表れてきていると予想されます。さらに下振れしているようだと、日本株がさらに売られ、ドル円も軟調な展開になると見ています。NY市場でもミシガン大学消費者マインド確定値の発表があり、こちらも今回は注目度が高まっているようです。

株式市場と債券市場では大きく動いていますが、為替市場は相変わらず盛り上がりません。それもそのはず、先週23日に110円を割り込んだドル円は、下げが加速して109円を割り込むわけでもなく、昨日の反発でも110円台を回復するに至っていません。この動きはドル円だけではなく、ユーロドルでも同様な動きで、ここ2週間以上は、1.12台前半から1.10のレンジで推移しています。低ボラティリティーが続いています。このような動きはまだしばらく続くかと思われますが、いつものことですが、急な値動きに対する用心は怠らないようにしたいものです。本日のドル円は109円10銭〜110円程度と予想します。

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以前この欄でも紹介した、米アマゾンのジェフ・ベゾスCEOが離婚に伴い妻のマッケンジー・ベゾス氏に多額の資産を渡す話題ですが、その金額は実に370億ドル(約4兆円)にもなるそうです。今週28日、マッケンジー氏はその半分以上を慈善活動「ギビング・プレッジ」に寄付することを表明しました。「ギビング・プレッジ」は2010年にビル・ゲイツ夫妻とウォーレン・バフェット氏が始めた慈善活動で、この活動は、「生前ないし遺言で資産の半分以上を寄付すること」が条件になっているようです。マッケンジー氏は、この活動に署名したことを明らかにしました。参加者はこれまでに合計23カ国、204人以上にもなると、ブルームバーグは伝えています。連日「貿易戦争」という文字が躍る中、喜ばしいニュースです。因みに、ベゾスCEOはこの「ギビング・プレッジ」には署名していないそうです。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
4/5 ククドロー・国家経済会議(NEC)委員長 (多くの電話会議を通じて通商合意に)「一段と近づいている」 --------
4/9 IMF・世界経済見通し 「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優勢事項にする必要がある」 ドル円111円台前半から111円割れ。株価も大きく下落。
4/9 ラガルド・IMF専務理事 「世界経済は、微妙な瞬間に直面している」 --------
4/10 FOMC議事録 フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は、今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した。 公表後、ややドルが上昇。
4/11 クラリダ/FRB副議長 「現在の景気拡大局面が今年半ばに米史上の最長記録を更新する可能性は非常に高い」 --------
4/12 ムニューシン・米財務長官 「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」 --------
4/13 黒田・日銀総裁 「金融政策の余地がないと決め付けることはできない。わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」 --------
4/13 ドラギ・ECB総裁 「中銀の独立性に関し、確かに懸念している・・・・。世界で最も重要な地域においてだ」IMFの会合で、FRBに利下げ圧力をかけているトランプ大統領を暗に批判したと思える発言を。 --------
4/14 トランプ・米大統領 「FRBは適切に仕事をしていなかった。もしそうしていれば米株価はさらに5000−10000ポイント上昇していただろう。量的引き締めは破壊的だ。真逆のことをすべきだった」あらためてFRBを批判。 --------
4/23 トランプ・米大統領 「ハーレーは現在31%のEUの関税に苦しんでいる。この関税の一部を相殺するため、ハーレーは製造拠点を海外に移転せざるを得なかった。EUの関税率は2021年6月に66%に引き上げられる。米国に対し、非常に不当だ。われわれは報復する!」 --------
4/25 日銀金融政策決定会合 「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」 ドル円111円台後半から売られる。
4/30 トランプ・米大統領 「中国が金融緩和で大規模な景気刺激策と取っている。われわれのFRBは低インフレにも関わらず、絶え間なく利上げを実施した」「FOMCが1ポイントの利下げを実施すれば、米経済はロケットのように上昇する」 --------
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
5/20 張明EU大使 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 --------
5/20 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。
5/23 人民日報 1年余りにわたり米国は「乱暴者」のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。大型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた。 ドル円110円台から109円46銭まで急落。株価も大幅安となり、長期金利は2.3%台を割り込む。
5/27 トランプ・米大統領 貿易に関して、われわれは恐らく8月に両国にとって非常に好ましい何かを発表するだろう。日本の対米ビジネスは米国の対日ビジネスよりがはるかに多いため、われわれは少し巻き返す必要がある。われわれは逆に対日ビジネスを増やしたい。 --------
5/29 人民日報 米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない。 ドル円109円15銭近辺まで円高が進む。米国株は連日の大幅安。
5/29 クラリダFRB副議長 イールドカーブに注目している。最近のフラット化の大部分は世界の金融情勢が原因であり、FEDが政策を検討する際、重要な意味を持つ。 ドル円下落。債券は買われ、株価のも上昇。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和