2019年6月4日(火) 「ドル円は下げが加速し107円台に」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は朝方には108円台半ばで推移していたが、長期金利の低下を材料に徐々にドル売りが優勢となり108円を割り込む。107円89銭までドル安が進み、108円前後で取引を終える。
- ドル安の流れが一段と強まったことで、ユーロドルも上昇。1.1265までユーロ高ドル安が進む。
- 株式市場はまちまち。ダウは上昇したもののほぼ横ばい。グ−グルをはじめIT株が大きく売られ、ナスダックは120ポイント下げる。反トラスト法違反疑惑の捜査が入る公算が高まったことが材料に。
- 債券相場は大きく続伸。長期金利は一時2.06%台まで低下し、2.07%台に戻して引ける。
- ドル安の流れから金は3日続伸。一方原油価格は4日続落。
5月ISM製造業景況指数 → 52.1
5月自動車販売台数 → 1730万台
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| ドル/円 | 107.89 〜 108.44 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1181 〜 1.1262 |
| ユーロ/円 | 121.14 〜 121.65 |
| NYダウ | +4.74 → 24,819.78ドル |
| GOLD | +16.80 → 1,327.90ドル |
| WTI | −0.25 → 53.25ドル |
| 米10年国債 | −0.142 → 2.071% |
本日の注目イベント
- 豪 豪4月小売売上高
- 豪 豪1−3月期経常収支
- 豪 RBA、キャッシュターゲット
- 欧 ユーロ圏4月失業率
- 欧 ユーロ圏5月消費者物価指数(速報値)
- 米 4月耐久財受注
- 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
- 米 パウエル・FRB議長挨拶
昨日コメントで、「108円割れは時間の問題」と書きましたが、さっそく昨日のNY市場であっさり108円台を割りこみ、107円89銭までドル安が進みました。この水準は、今年正月3日早朝の「フラッシュ・クラッシュ」以来の水準となります。
貿易戦争を巡るニュースが相場を下押しする展開が続いていましたが、昨日は米国内の材料が株価を押し下げ、長期金利を大きく押し下げ、これが円買いにつながっています。米司法省と連邦取引委員会(FTC)がハイテク大手の監督任務を分割することに合意したことを受け、反トラスト法違反の疑いで司法省がグーグルの捜査に着手する準備を始めているとの見方が広がった(ブルームバーグ)ことで、アルファベット(グーグル)やフェイスブック、アマゾンなどIT株が大きく売られました。アルファベット株は3日の市場で一時先週末比7.2%も売られる場面があったようです。この報道でナスダック指数が大きく低下し、債券が一段高となり、長期金利の急低下につながっています。
また、この日行われたセントルイス連銀のブラード総裁の講演内容も「ハト派」的で、金利先安感を加速させた側面もあったようです。ブラード総裁は、「インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある」と述べています。先日クラリダFRB副議長が、条件つきながら利下げの可能性に言及したばかりでしたが、この日は ブラード総裁もエスカレートする貿易戦争がもたらす経済への下振れリスクに対処する必要から、利下げの可能性に触れました。
現時点で市場はすでに7月の会合での利下げの確率を66.9%、9月までの会合では95%の確率で利下げがあると予想しています。本日はNY連銀総裁の講演もあります。同連銀総裁はFOMCでは常に投票権を有しており、その発言には影響力もあるだけに現在の米景気に対してどのような見方をするのか注目されます。昨日発表された5月のISM製造業景況指数も、2016年10月以来となる低水準でした。貿易戦争の影響はすでに出ていると判断できるのかもしれません。
ドル円は108円台を割り込み1月7日に付けた107円77銭前後が視野に入ってきました。1月3日のドルの急落は、どこが底値だったのかいまいち判然としませんが、一瞬ですが105円を割り込んだことは事実のようです。105円〜107円台はそう簡単には割り込むとも思えませんが、出口の見えない貿易戦争がドルの反発を抑える動きはまだしばらく続くと考えざるを得ません。本日のドル円は107円60銭〜108円50銭程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 5/5 | トランプ・米大統領 | 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 | ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。 |
| 5/7 | 中国「環球時報」 | 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 | ドル円の下落を加速させ、株価は下落。 |
| 5/7 | クラリダFRB副議長 | (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 | -------- |
| 5/8 | トランプ・米大統領 | 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 | -------- |
| 5/11 | トランプ・米大統領 | (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 | -------- |
| 5/20 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 | -------- |
| 5/20 | 張明EU大使 | 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 | -------- |
| 5/20 | ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 | 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 | 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。 |
| 5/23 | 人民日報 | 1年余りにわたり米国は「乱暴者」のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。大型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた。 | ドル円110円台から109円46銭まで急落。株価も大幅安となり、長期金利は2.3%台を割り込む。 |
| 5/27 | トランプ・米大統領 | 貿易に関して、われわれは恐らく8月に両国にとって非常に好ましい何かを発表するだろう。日本の対米ビジネスは米国の対日ビジネスよりがはるかに多いため、われわれは少し巻き返す必要がある。われわれは逆に対日ビジネスを増やしたい。 | -------- |
| 5/29 | 人民日報 | 米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない。 | ドル円109円15銭近辺まで円高が進む。米国株は連日の大幅安。 |
| 5/29 | クラリダFRB副議長 | イールドカーブに注目している。最近のフラット化の大部分は世界の金融情勢が原因であり、FEDが政策を検討する際、重要な意味を持つ。 | ドル円下落。債券は買われ、株価のも上昇。 |
| 5/30 | トランプ・米大統領 | メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで同国からの輸入品に5%の関税を課す。 | ドル円109円台を割り込み、日経平均株価は300円以上の下落。 |
| 6/2 | 中国国防相 | 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 | -------- |
| 6/2 | 王受分中国商務次官 | 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 | -------- |
| 6/3 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 | ドル円108円台前半から107円台後半に。 |



