今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年6月7日(金) 「NYダウ大幅高で4日続伸」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • メキシコへの関税を巡る報道で上下しているドル円は108円台で推移。関税先送りを検討との報道で108円56銭まで上昇し、108円40銭近辺で取り引きを終える。
  • ユーロドルは堅調に推移。ECBが政策金利据え置きを決めたが、大きな影響はなく、1.12台半ばから1.13台前半で推移。
  • 株式市場は大幅に3日続伸。依然として利下げ観測が株価を押し上げ、この日はエネルギー株などが上昇。ダウは181ドル高と4日続伸。
  • 債券相場は小幅に上昇し、長期金利は2.11%台へと低下。
  • 金は6日続伸し原油も反発。
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4月貿易収支      → −508億ドル
労働生産性(1−3月) → 3.4%
新規失業保険申請件数  → 21,8万件
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ドル/円 108.02 〜 108.56
ユーロ/ドル 1.1245 〜 1.1309
ユーロ/円 121.74 〜 122.40
NYダウ +181.09 → 25,720.66ドル
GOLD +9.10 → 1,342.70ドル
WTI +0.91 → 52.59ドル
米10年国債 −0.017 → 2.117%

本日の注目イベント

  • 日 4月景気動向指数
  • 中 中国5月外貨準備高
  • 独 独4月鉱工業生産
  • 米 5月雇用統計
  • 独 独4月貿易収支
  • 米 4月消費者信用残高
  • 米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
  • 加 カナダ5月就業者数
  • 加 カナダ5月失業率

ドル円はメキシコに対する関税が10日から計画通り発動されるのかどうかといった報道に振り回されています。昨日のNY時間には「関税の延期を検討」との報道が伝わるとドル円は上昇基調を強め、108円56銭までドル高が進み前日の高値を抜きましたが、勢いは見られなかったようです。今朝方には、これも昨日と同じように、ペンス副大統領のコメントとして、「不法移民の流入を巡る関税回避で米国とメキシコはまだ合意に達していない」とブルームバーグが報じて、ドル円はNYのクローズからはやや下押しされています。また「本丸」である米中貿易問題に関して6日、トランプ大統領は仏マクロン大統領との会談後、「G20の後に決断する」と述べ、「習主席に会う。どうなるか様子を見ることになるが、決定は恐らくG20の後になるだろう」と記者団に語っています。

ECBは6日リトニアで理事会を開き、現行の政策金利を少なくとも2020年上期末まで据え置くことを決めました。記者会見の席でドラギ総裁は、「保護主義の高まる脅威」を強調しながら、「最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している」と述べ、「理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている」と景気後退に対処する強い姿勢を見せましたが、一部にはECBの政策手詰まりを感じ取ったとのコメントもあります。ドラギ総裁自身の任期も今秋までで、次期総裁が誰になるのかによって、政策の中身も読み切れない部分があるようです。

NY株が連日大幅な反発を見せています。ダウはここ4日間で900ドルを超える上昇です。パウエル議長が「適切な行動を起こす」と発言し、その後もメキシコとの関税問題が片付いていないにも関わらず、利下げ観測が株価を押し上げる展開が続いている状況です。「パウエル・プットの効果絶大!」といったところでしょうか。昨日もNY連銀総裁の発言がありましたが、基本的にはパウエル議長と同じトーンで、市場への影響はなかったようです。

本日は5月の雇用統計が発表されます。18.5万人と、3.6%の失業率が予想されていましたが、今週水曜日のADP雇用者数がかなりサプライズだった影響なのか、手元のブルームバーグの端末に示されている予想値は、非農業部門雇用者数が17.5万人に下方修正されており、失業率については「空欄」になっています。予想を大きく下回ればさらに利下げ観測が高まり、ドル円は売られると考えられますが、予想を上回るようだと、利下げ観測の後退からドル円が買われることもありそうです。ただ、それでも109円台乗せが「いっぱい・いっぱい」といったところでしょうか。来週109円台で返ってくる確率は低いと予想しています。雇用統計までは108円台で推移し、108円〜108円60銭程度と見ますが、21時半以降を考えると、本日のレンジは107円80銭〜108円80銭程度と予想します。

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米株式市場で有名なアノマリー、「Sell in May」(5月に売れ)は、今年も有効だったようです。NYダウは4月末の水準である2万6592ドルから、5月末には2万4815ドルまで下げ、1777ドル(6.68%)安で終わっています。一方日経平均株価の方はというと、大型連休が始まる最後の営業日であった4月26日が2万2258円で、5月末は2万601円で終わっています。この間の下げ幅は1657円で、率にすると7.4%となり、日本株の方が下げはきつかったことが分かります。米国のアノマリーは今や、日本の株式市場の方がより実現性が高いようです。「母屋(米国)がボヤになれば、離れ(日本)は大火事」とはよく言ったものです。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
5/20 張明EU大使 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 --------
5/20 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。
5/23 人民日報 1年余りにわたり米国は「乱暴者」のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。大型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた。 ドル円110円台から109円46銭まで急落。株価も大幅安となり、長期金利は2.3%台を割り込む。
5/27 トランプ・米大統領 貿易に関して、われわれは恐らく8月に両国にとって非常に好ましい何かを発表するだろう。日本の対米ビジネスは米国の対日ビジネスよりがはるかに多いため、われわれは少し巻き返す必要がある。われわれは逆に対日ビジネスを増やしたい。 --------
5/29 人民日報 米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない。 ドル円109円15銭近辺まで円高が進む。米国株は連日の大幅安。
5/29 クラリダFRB副議長 イールドカーブに注目している。最近のフラット化の大部分は世界の金融情勢が原因であり、FEDが政策を検討する際、重要な意味を持つ。 ドル円下落。債券は買われ、株価のも上昇。
5/30 トランプ・米大統領 メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで同国からの輸入品に5%の関税を課す。 ドル円109円台を割り込み、日経平均株価は300円以上の下落。
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和