今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年6月12日(水) 「ユーロドル1.13台で小動き」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は108円台半ばから後半で推移。一時は108円80銭まで買われたものの、株価が下落に転じたことで108円台半ばまで水準を切り下げ、取引を終える。
  • ユーロドルは1.13台で底堅く推移。ECBメンバーの中銀総裁が量的緩和再開の用意があるとの発言が伝わり、やや水準を下げ1.1320近辺まで下落。
  • 株式市場は揃って反落。ダウは小幅ながら7日ぶりに下落。上昇が続いていたことで、利益確定の売りが優勢に。
  • 債券相場はほぼ横ばい。長期金利は2.14%台で小幅に低下。
  • 金は反発し、原油は変わらず。
****************
5月生産者物価指数 → 0.1%
****************
ドル/円 108.44 〜 108.80
ユーロ/ドル 1.1320 〜 1.1338
ユーロ/円 122.74 〜 123.07
NYダウ −14.17 → 26,048.51ドル
GOLD +1.90 →  1,331.20ドル
WTI +0.01 → 53.27ドル
米10年国債 −0.005 → 2.143%

本日の注目イベント

  • 豪 豪6月ウエストパック消費者信頼感指数
  • 中 中国5月消費者物価指数
  • 中 中国5月生産者物価指数
  • 欧 ドラギ・ECB総裁講演
  • 米 5月消費者物価指数
  • 米 5月財政収支

ドル円は海外市場ではやや水準を切り上げ、108円80銭までドル高が進み、約2週間ぶりの水準を付けましたが、その後はNY株式市場で好調だった株価がマイナスに転じたことで、108円台半ばまで押し戻され、結局、昨日の水準に戻っています。来週にはFOMCが開催され、さらにその翌週にはG20も開かれ、重要イベントを控えていることで、値動きも緩やかなものになっています。また、この日も「トランプ節」は健在でしたが過激な内容もなく、市場も余り関心を示さなくなったのかもしれません。

トランプ大統領は再び米金利に触れ、米金利は高すぎるとツイートし、「ばかげた量的引き締めに追いうちをかけている!彼らは全くわかっていない!」と批判し、さらにユーロを引き合いに出し、「ユーロとその他の通貨は米ドルに対して下落誘導されているため、米国はひどく不利な立場に置かれている」とも述べていました。また、最大の懸念材料である米中貿易問題については、「合意を先延ばししているのは、実は私だ。中国とは素晴らしい合意をまとめるか、まったく合意なしで終わるのかどちらかだ」と述べ、中国が今年交渉済みの条件に立ち戻らない限り、最終合意するつもりがないことを表明しています。(ブルームバーグ)

トランプ氏は前日にも、習近平主席がG20での会談に応じない場合には、3000億ドル(約32兆5000億円)の中国製品に25%か、それ以上の関税を課すと豪語しています。このような、最悪の事態になる可能性は低いと思われますが、これまでのトランプ氏の言動やこのところの中国側の強硬発言を考えると、ないとは思いますが、リスクに備える必要があるかもしれません。これに対して中国外務省報道官は11日北京で、「米国がG20サミットに合わせて米中首脳会談を行う期待を幾度も表明していることに、われわれは注目している。これに関する情報が入れば、いずれ発表する」との見解を示しています。

ユーロドルが徐々に下値を切り上げてきました。景気後退が鮮明で、多くの投資家がユーロ売りスタンスを維持していますが、1.10近辺が底堅く、このところのドル安の流れから水準を切り上げてきました。注目は「日足」の「200日移動平均線」がある1.1365―70レベルをしっかりと抜けるかどうかです。ユーロショートが溜まっているだけに、ドル円が再び107円台まで落ちるようだと、ユーロドルもストップロスを巻き込みながらこのレベルを上抜けする可能性もあり得ると予想しています。「MACD」では、「シグナル」は依然としてマイナス圏ですが、「マックD」はすでにプラス圏入りしており、微妙な値位置にいることを物語っていると言えます。また一目均衡表では、昨年9月以来抵抗帯である雲を3度も上抜けして、上昇に転じたかと思わせましたが、全て押し戻され下落基調に戻されています。今回が4回目の挑戦となりますが、ここでも「4度目の正直」になるのかどうか、微妙なところと言えます。今後の動きに注目したいと思います。

本日のドル円は108円20銭〜108円90銭程度と予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
5/20 張明EU大使 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 --------
5/20 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。
5/23 人民日報 1年余りにわたり米国は「乱暴者」のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。大型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた。 ドル円110円台から109円46銭まで急落。株価も大幅安となり、長期金利は2.3%台を割り込む。
5/27 トランプ・米大統領 貿易に関して、われわれは恐らく8月に両国にとって非常に好ましい何かを発表するだろう。日本の対米ビジネスは米国の対日ビジネスよりがはるかに多いため、われわれは少し巻き返す必要がある。われわれは逆に対日ビジネスを増やしたい。 --------
5/29 人民日報 米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない。 ドル円109円15銭近辺まで円高が進む。米国株は連日の大幅安。
5/29 クラリダFRB副議長 イールドカーブに注目している。最近のフラット化の大部分は世界の金融情勢が原因であり、FEDが政策を検討する際、重要な意味を持つ。 ドル円下落。債券は買われ、株価のも上昇。
5/30 トランプ・米大統領 メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで同国からの輸入品に5%の関税を課す。 ドル円109円台を割り込み、日経平均株価は300円以上の下落。
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和