今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年6月13日(木) 「米中貿易問題・・・ボールは中国に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 欧州市場で108円20銭前後まで売られたドル円はNYに入ると上昇。108円54銭まで反発したが、CPIが低調だったことで上値は限定的となり、108円50銭近辺で引ける。
  • ユーロドルは小幅に反落。1.1274まで売られる場面があり、前日よりやや水準を下げる。
  • 株式市場は続落。利下げ観測の効果もやや低減し、この日はハイテク株や金融株が売られる。ダウは43ドル下げたものの、2万6000ドルの大台は維持。
  • 債券相場は米中貿易問題の先行き懸念から買われる。長期金利は2.12%と、小幅に低下。
  • 金は続伸。原油価格は在庫の増加が重石となり大幅に続落。5カ月ぶりの安値となる、51ドル14セントで取引を終える。
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5月消費者物価指数 → 0.1%
5月財政収支    → −2078億ドル
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ドル/円 108.27 〜 108.54
ユーロ/ドル 1.1283 〜 1.1341
ユーロ/円 122.32 〜 122.84
NYダウ −43.68 → 26,004.83ドル
GOLD +5.60 → 1,336.80ドル
WTI −2.13 → 51.14ドル
米10年国債 −0.023 → 2.120%

本日の注目イベント

  • 豪 豪5月雇用統計
  • 独 独5月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 ユーロ圏4月鉱工業生産
  • 米 5月輸入物価指数
  • 米 新規失業保険申請件数

ドル円は108円台で一進一退の動きが続いています。FOMCとG20という、ビッグイベントを控えており、その内容次第で相場はどちらにも動く可能性があり、結果を見極めるまでは動きにくいということなのでしょう。ただ、その前に立ちはだかっているのが、トランプ大統領の予想不可能な「ツイート」です。

前日、「米中問題で結論を遅らせているのは実は自分だ」、とツイートしたトランプ氏は、昨日ホワイトハウスで記者団に対して、「自分に最終期限はない」と発言した上で、自分の頭部を指し、「私の最終期限はここにある」と述べています。(ブルームバーグ)すでに「ボール」は中国側に投げられており、中国が今後どのような対応を見せるのかを待っている状況です。その上で、大阪で行われるG20で習主席が会談に応じないようなら、3000億ドル(約32兆5千億円)相当の中国製品に対して直ちに25%か、それ以上の関税をかけると警告しています。さらに中国側の譲歩についても、中途半端なものを受け入れる意思はなく、先の交渉で合意した内容の厳しいものを要求しています。中国側も、相手がトランプ氏だけに、最悪の事態もないとは言えないと警戒しているものと思われます。

このように、非常の厳しい米中のかけ引きが続いていますが、ブルームバーグは北京大学の張健准教授の言葉を紹介しています。同教授は、「中国指導者として過去数十年間で最も強大な権限を手にした習主席でさえ、就任後6年間で最も厳しい立場に追い込まれている。トランプ氏の脅しに屈せば、国内で弱腰と見られるリスクがある。会談を拒めば、トランプ氏は貿易対立を2020年の大統領選まで引き延ばす公算が大きいため、中国は経済コストを支払わされる」と述べています。

また中国政府関係者の言葉も紹介し、貿易問題を担当する政府関係者は、「米国との協議は両国首脳の介入がなければこれ以上進展できない地点に到達した」とのことです。

確かに、このままでは時間ばかりがいたずらに過ぎてしまい、米中トップが直接会って、会談するしか解決の糸口は見つからないと思われます。個人的には「最低でも会談は実現する」と予想していますが、それでも合意に達するのは容易ではないでしょう。ただ一方で中国側としても、合意するしか選択肢はないように思います。

本日も、水準は前日と変わらず動きのない1日になりそうです。ドル円は108円20銭〜108円90銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
5/20 張明EU大使 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 --------
5/20 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。
5/23 人民日報 1年余りにわたり米国は「乱暴者」のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。大型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた。 ドル円110円台から109円46銭まで急落。株価も大幅安となり、長期金利は2.3%台を割り込む。
5/27 トランプ・米大統領 貿易に関して、われわれは恐らく8月に両国にとって非常に好ましい何かを発表するだろう。日本の対米ビジネスは米国の対日ビジネスよりがはるかに多いため、われわれは少し巻き返す必要がある。われわれは逆に対日ビジネスを増やしたい。 --------
5/29 人民日報 米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない。 ドル円109円15銭近辺まで円高が進む。米国株は連日の大幅安。
5/29 クラリダFRB副議長 イールドカーブに注目している。最近のフラット化の大部分は世界の金融情勢が原因であり、FEDが政策を検討する際、重要な意味を持つ。 ドル円下落。債券は買われ、株価のも上昇。
5/30 トランプ・米大統領 メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで同国からの輸入品に5%の関税を課す。 ドル円109円台を割り込み、日経平均株価は300円以上の下落。
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和