今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年6月14日(金) 「ホルムズ海峡でタンカー攻撃される」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は中東ホルムズ海峡で2隻のタンカーが攻撃されたことで108円25銭まで円高に振れる場面も。ただその後は大きな値動きもなく108円30銭台で推移。
  • ユーロドルは続落。IMFが域内の経済成長に否定的な見方を示したことで、1.1268まで下落。
  • 株式市場はホルムズ海峡で不安な動きがあったにもかかわらず反発。ダウは100ドルを超える上昇を見せ、他の指数も揃って反発。
  • 債券相場は続伸。長期金利は2.09%台に低下。
  • 金は3日続伸。原油価格はホルムズ海峡で日本の船舶を含む2隻のタンカーが攻撃されたことで反発。前日比1.14ドル高の52.28ドルで引ける。
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5月輸入物価指数   → −0.3%
新規失業保険申請件数 → 22.2万件
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ドル/円 108.25 〜 108.53
ユーロ/ドル 1.1268 〜 1.1296
ユーロ/円 122.10 〜 122.48
NYダウ +101.94 → 26,106.77ドル
GOLD +6.90 → 1,343.70ドル
WTI +1.14 → 52.28ドル
米10年国債 −0.026 → 2.094%

本日の注目イベント

  • 日 4月鉱工業生産(確定値)
  • 中 中国5月小売売上高
  • 中 中国5月鉱工業生産
  • 欧 IEA月報
  • 英 カーニー・BOE総裁講演
  • 米 5月小売売上高
  • 米 5月鉱工業生産
  • 米 5月設備稼働率
  • 米 6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

昨日の夕方、中東ホルムズ海峡で日本の船舶を含む2隻のタンカーが何者かに攻撃されたとのニュースが入ってきました。安倍首相がイランを訪問したタイミングでもあり、驚きでしたが、ポンペオ米国務長官はワシントンで、「イランに責任がある」との判断を示していますが、現時点ではイランは関与を否定しています。

この報道を受けて、ドル円では円が買われ、WTI原油価格も大きく上昇しましたが、前日の大幅安を埋めるには至っていません。リスクオフから米債券市場では債券が買われ、金利は低下しましたが、リスクに弱い株は大きく値を上げています。この日発表された週間失業保険申請件数が予想に反して増えていたことがFRBによる利下げ観測へとつながり、株価を押し上げたものと見られます。米株式市場は先週から利下げという「好材料」をテコに、大きく上昇を続けています。

米失業保険申請件数は2009年3月の66万件からほぼ一貫して減少してきました。ただ減少傾向をよく見ると、今年に入ってからは5月に一度20万件を割り込むことがありましたが、その週以外では20万件というボーダーラインを割り込むことがなく、減少傾向に歯止めがかかったようにも見えます。先週発表されたADP雇用者数や、労働省が発表した雇用統計では、雇用者数が予想を大きく下回るサプライズだったことは記憶に新しいところです。これらを総合してみると、好調だった米労働市場にもジワリと景気減速の波が押し寄せて来たとも考えられます。もちろん、その背景は米中貿易戦争に代表されるように、関税問題が大きく影響しています。

ここ最近は、米経済指標が予想を下回ると、FRBによる利下げ観測が高まり、株価が上昇する傾向がありますが、そもそも金利を引き下げることは景気が悪いということと表裏一体です。そして、景気が悪いにもかかわらず株価が上がるというロジックは長く続くはずがありません。懸念されるのは、利下げが進んでも株価が下がり続ける状況になることです。そのような状況下では、株安、金利低下、リスクオフから円高が急速に進む可能性があるからです。

このように、米経済にも暗雲が立ち込めている状況の中、米中貿易問題は中国側に投げたボールが返って来ないためやや手詰まり感が漂っています。トランプ大統領は中国へ圧力をかけ続けていますが、昨日はクドロー国家経済会議(NEC)委員長もホワイトハウスで同じように中国へ警告を発しています。委員長は、「トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない」と語り、「会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう」と述べています。(ブルームバーグ)

昨日もこの欄で述べましたが、中国は今この問題にどのように対処しようかと作戦を練っている所だと考えます。会談を拒否すれば「ゲームオーバー」は目に見えており、中国側が大きな経済負担を強いられることなり、会談で米国側の要求を飲めば、弱腰と見られ国内での権力の低下につながります。それでも、個人的には来週あたりには「会談する用意がある」とのメッセージが中国側から発せられると予想しています。会談で合意するかどうかは別にしても、少なくとも中国に「会談拒否」という選択肢はないと考えます。本日のドル円は108円〜108円70銭程度と予想します。

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今月3日に金融庁が公表した、市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」が話題になっています。要は、年金だけでは毎月5万円不足し、95歳まで生きるとしたら、2000万円足らないという内容です。このようなことは以前から指摘されていたことであって、不足分は当然蓄えを取り崩していくということです。これが「国民に不安を与えた」として、金融庁が矢おもてに立たされているようです。

このワーキング・グループは神田秀樹学習院大学教授を座長とし、著専門家21名以が昨年8月から12回も議論を重ねたもので、財務省や日銀もアドバイザーとして名を連ねています。「人生100歳時代」ということもあり、今後各自が自助努力をしなければならないとう事実を伝えたということで、それなりに意義があるものと考えますが・・・。
報告書には、「おわりに」と称してこんな文章があります。「日本人は長生きするようになった。さらに、現在の高齢者は昔に比べて格段 に元気であり、社会で活躍し続けている。これ自体は素晴らしいことであり、 多くの人にとっても、社会全体にとっても望ましいことである。しかしながら、 寿命が延び活動し続けるということは、それだけお金がかかるということを意味する。(だから)今から準備を始めることが重要と考えられる」その通りで、実に適格な提言だと思いますが・・・・
良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
5/20 張明EU大使 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 --------
5/20 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。
5/23 人民日報 1年余りにわたり米国は「乱暴者」のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。大型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた。 ドル円110円台から109円46銭まで急落。株価も大幅安となり、長期金利は2.3%台を割り込む。
5/27 トランプ・米大統領 貿易に関して、われわれは恐らく8月に両国にとって非常に好ましい何かを発表するだろう。日本の対米ビジネスは米国の対日ビジネスよりがはるかに多いため、われわれは少し巻き返す必要がある。われわれは逆に対日ビジネスを増やしたい。 --------
5/29 人民日報 米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない。 ドル円109円15銭近辺まで円高が進む。米国株は連日の大幅安。
5/29 クラリダFRB副議長 イールドカーブに注目している。最近のフラット化の大部分は世界の金融情勢が原因であり、FEDが政策を検討する際、重要な意味を持つ。 ドル円下落。債券は買われ、株価のも上昇。
5/30 トランプ・米大統領 メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで同国からの輸入品に5%の関税を課す。 ドル円109円台を割り込み、日経平均株価は300円以上の下落。
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
6/13 クドロー国家経済会議委員長 トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和