2019年6月20日(木) 「FOMCを受けドル円108円を割り込む」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 108円台半ばで推移していたドル円はFOMCを受け107円90銭まで下落。利下げの可能性を示唆したことで、金利低下と歩調を合わせドル売りが優勢に。
- ユーロドルも小幅に反発。前日1.12割れまで売られたがFOMC後に1.1255までユーロ高が進む。
- 株式市場は続伸。パウエル議長のハト派的な発言もありダウは3日続伸。他の主要指数も揃って上昇。
- 債券相場も続伸。長期金利は直近最低水準を下回る2.02%台まで低下。
- 金と原油はともに反落。
| ドル/円 | 107.90 〜 108.49 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1201 〜 1.1255 |
| ユーロ/円 | 121.25 〜 121.66 |
| NYダウ | +38.46 → 26,504.00ドル |
| GOLD | −1.90 → 1,348.80ドル |
| WTI | −0.14 → 53.76ドル |
| 米10年国債 | −0.036 → 2.023% |
本日の注目イベント
- 日 日銀金融政策決定会合
- 日 黒田日銀総裁記者会見
- 欧 ユーロ圏6月消費者信頼感
- 欧 ECB経済報告
- 英 英5月小売売上高
- 英 BOE金融政策発表
- 英 BOE議事録
- 英 カーニー・BOE総裁講演
- 英 英保守党党首選、下院議員による第4回投票
- 米 経常収支(1−3月)
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 6月フィラデルフィア連銀景況指数
- 米 5月景気先行指標総合指数
今朝方3時に発表されたFOMCの結果は、市場予想通り政策金利の据え置きを決め、声明では「辛抱強くなる」との文言が削除され、「不確実性」が高まったとして、利下げの可能性を示唆しました。発表を受けて為替市場はドル安で反応し、ドル円は直後に108円を割り込み、107円90銭までドル安が進みましたが、108円台に押し戻されてNYでの取引を終えています。米10年物債券は買われ、利回りが2.02%台まで低下し、6月3日に記録した直近最低水準を下回っています。また株式市場では前日大幅高を演じたこともあり、利下げを好感しながらも小幅高に終わっています。
声明では、「見通しを巡る不確実性が高まった」と指摘し、「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」としました。またブルームバーグによると、今回の政策決定は全会一致ではなく、セントルイス連銀のブラード総裁が0.25%の利下げを主張し、反対票を投じています。
パウエル議長の下でのFOMC会合で、反対票が投じられたのは今回が初めてとなったようです。また経済予測に関しても当局者の間で意見が分かれており、17人のメンバーのうち8人が年内の利下げを予想し、他の8人が据え置き、残り一人は利上げ予想しています。
パウエル議長は記者会見で、「同僚と私には1つの包括的な目標がある。景気拡大の維持だ」と述べ、「多くの政策当局者は利下げの論拠が強まったと考えている」と語っており、市場はこの部分が「ややハト派寄り」と受け止めたようです。また、トランプ大統領が再三金融当局を批判していることについては、「法律で私には4年の任期があることは明白であり、私はこの任期を全うする意向だ」と、トランプ氏の露骨な批判に対して反論していました。今回のFOMCを通過し来月の利下げはほぼ確実となりましたが、市場はすでに「その先」を読み始めています。利下げ傾向が定着し、年内2〜3回の利下げに突き進んで行くのかどうかに焦点が移っていきます。
今朝はFOMC関連のニュース一色でしたが、その中に米中首脳会談に関する記事もありました。昨日開かれた米下院歳入委員会の公聴会で、USTR代表のライトハイザー氏は「劉鶴中国副首相と電話会談する計画だ」と発言しています。(ブルームバーグ)ライトハイザー氏は、「対話は続いており、中国側と会うことになっている」と語り、同氏とムニューシン財務長官が劉氏と直接対面する予定だとしています。来週のG20で、米中首脳会談は最終日にあたる29日の夜に行われる見込みですが、その前にも実務レベルのトップ同士が話し合うことのようです。FOMCが終わり、次の関心事は本日の日銀決定会合と、最大の注目材料である米中首脳会談ということになります。ドル円は今回も108円割れのレベルではサポートされた形になっています。FRBが金融緩和策へ再び舵を切り直したことが鮮明になったことで、107円80−90銭の「予想外に底堅いレベル」を切り崩して、ジリジリと107円に向かうのか、あるいは上記米中首脳会談がドルの支えになるのか、注目されます。
本日の日銀決定会合もこれまでより注目度が高まっています。政策変更はないと思いますが、米金利の低下傾向や円高観測、さらには外部環境の不確実性などを背景に、「必要とあれば、追加緩和の用意がある」といった言葉が、黒田総裁の口から出てきそうです。本日のドル円は107円80銭〜108円60銭程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 5/5 | トランプ・米大統領 | 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 | ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。 |
| 5/7 | 中国「環球時報」 | 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 | ドル円の下落を加速させ、株価は下落。 |
| 5/7 | クラリダFRB副議長 | (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 | -------- |
| 5/8 | トランプ・米大統領 | 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 | -------- |
| 5/11 | トランプ・米大統領 | (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 | -------- |
| 5/20 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 | -------- |
| 5/20 | 張明EU大使 | 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 | -------- |
| 5/20 | ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 | 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 | 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。 |
| 5/23 | 人民日報 | 1年余りにわたり米国は「乱暴者」のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。大型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた。 | ドル円110円台から109円46銭まで急落。株価も大幅安となり、長期金利は2.3%台を割り込む。 |
| 5/27 | トランプ・米大統領 | 貿易に関して、われわれは恐らく8月に両国にとって非常に好ましい何かを発表するだろう。日本の対米ビジネスは米国の対日ビジネスよりがはるかに多いため、われわれは少し巻き返す必要がある。われわれは逆に対日ビジネスを増やしたい。 | -------- |
| 5/29 | 人民日報 | 米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない。 | ドル円109円15銭近辺まで円高が進む。米国株は連日の大幅安。 |
| 5/29 | クラリダFRB副議長 | イールドカーブに注目している。最近のフラット化の大部分は世界の金融情勢が原因であり、FEDが政策を検討する際、重要な意味を持つ。 | ドル円下落。債券は買われ、株価のも上昇。 |
| 5/30 | トランプ・米大統領 | メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで同国からの輸入品に5%の関税を課す。 | ドル円109円台を割り込み、日経平均株価は300円以上の下落。 |
| 6/2 | 中国国防相 | 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 | -------- |
| 6/2 | 王受分中国商務次官 | 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 | -------- |
| 6/3 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 | ドル円108円台前半から107円台後半に。 |
| 6/4 | パウエルFRB議長 | これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 | NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。 |
| 6/4 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 | -------- |
| 6/5 | カプラン・ダラス連銀総裁 | (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 | -------- |
| 6/6 | ドラギ・ECB総裁 | 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 | -------- |
| 6/10 | トランプ大統領 | 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 | -------- |
| 6/10 | トランプ大統領 | 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 | -------- |
| 6/13 | クドロー国家経済会議委員長 | トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 | -------- |
| 6/14 | ロス商務長官 | G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 | -------- |
| 6/18 | ドラギECB総裁 | 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 | ユーロドル小幅に下落。 |
| 6/19 | FOMC声明文 | 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 | ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。 |



