今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年6月21日(金) 「円高加速し107円台前半に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は下げ足を早め107円21銭までドル安が進む。FRBが緩和姿勢を強めたことに加え、イランが米国のドローンを撃墜したことで緊張が高まり円買いを加速。
  • ドル安の流れはユーロにも波及し、ユーロドルは1.1317までユーロ高が進む。
  • 株式市場は大幅高となり4日続伸。FOMCで政策金利の引き下げの可能性が示唆されたことで株価の上昇に勢いが。ダウは249ドル上昇し、S&P500も27ポイント上昇し、最高値を更新。
  • 債券相場も続伸。長期金利は一時2%を割り込み、1.97%台まで低下。急速な低下に警戒感も出て、引けは2.02%台まで戻す。
  • 米国とイランとの緊張の高まりから金価格は急騰。前日比48ドル上昇し、約5年9カ月ぶりの高値となる1396ドル台に。原油価格も大幅に上昇し、56ドル台に乗せる。
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経常収支(1−3月)       → −1304億ドル
新規失業保険申請件数       → 21.6万件
6月フィラデルフィア連銀景況指数 → 0.3
5月景気先行指標総合指数     → 0.0%
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ドル/円 107.21 〜 107.76
ユーロ/ドル 1.1271 〜 1.1317
ユーロ/円 121.08 〜 121.81
NYダウ +249.17 → 26,753.17ドル
GOLD +48.10 → 1,396.90ドル
WTI +2.89 → 56.65ドル
米10年国債 +0.005 → 2.028%

本日の注目イベント

  • 日 5月消費者物価指数
  • 独 独6月製造業PMI(速報値)
  • 独 独6月サービス業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏6月総合PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏6月製造業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏6月サービス業PMI(速報値)
  • 米 5月中古住宅販売件数
  • 米 ブレイナード・FRB理事講演
  • 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
  • 加 カナダ4月小売売上高

ドル円は前日のFOMC前の水準から1円を超える円高に振れています。前日は、FOMCの声明文とその後のパウエル議長の発言で一旦は108円を割り込んだドル円でしたが、その後は108円台前半で東京市場に戻ってきました。しかし昨日は東京市場が開くと同時に円高が加速しました。米長期金利が2%を割り込んだことで。ドル売り円買いが進み、これまでサポートとして機能していた107円80−90銭の水準をあっさり割り込みました。個人的にはこのレベルでもう少しもみ合うと予想していましたが、米金利の急低下を前に無力でした。

東京時間では株価が緩やかに上昇する一方、円高の流れは止まらず、これまでのように株価は上がればドルが買われる展開とは異なり、夕方にかけては107円台半ばを割り込む水準まで円高が進みました。3時半から始まった黒田日銀総裁の記者会見にかけては一旦107円70−80銭まで反発しましたが、NY時間ではイランによる米ドローン撃墜のニュースに再び円が買われ、107円台前半までドル安が進んだ展開です。G20で米中首脳会談が実施されることで、貿易戦争に歯止めがかかるかもしれないといった期待感も出てきた矢先での緊張の高まりです。

ホルムズ海峡での緊張の高まりから、原油価格は急騰し、金も大幅に上昇しています。通常このような時にはリスク資産である株式も売られる傾向にありますが、昨日は株式が大幅な上昇をみせています。金利低下が鮮明になったとはいえ、多くの市場がリスクに対する構えをみせている状況の中で、株価だけが無風といった現象には危ういものがあると思われます。米金利が低下する中、何かのきっかけで株価も下落基調に転じたら、円高がさらに進むことも予想されます。

これまでも米中貿易戦争、米長期金利低下、イラン問題など、ドル円では下方リスクの方が高いと指摘してきましたが、ドルが上昇するきっかけが見つからないのが現実です。来週の米中首脳会談で米中が劇的な合意に達するようであれば、ドルが急反発する可能性がありますが、それは期待できません。「必要ならばちゅうちょなく追加緩和を検討する」と述べた黒田総裁の言葉も、これまでの繰り返しで市場へのインパクトはありません。もっとも、「為替レートは金融政策の目標にしていない」とも述べていることから、円高を阻止するといった考えはそもそも持ち合わせてはいません。またマイナス金利の深堀や市場介入といった行動を取った場合、米財務省から「為替操作国」と認定されるリスクもあるため、安易には動けないといった事情もあります。

本日は107円を割り込むかどうかが一つの焦点ですが、割り込むようだと円高がさらに加速し、1月3日の「フラッシュ・クラッシュ」でつけたレベルも視野に入ってくるかもしれません。予想レンジは106円70銭〜107円70銭程度をみます。

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政府は今週、2019年度版「少子化社会対策白書」を決定し、内閣府が18年に実施した意識調査の結果を発表しました。結婚を希望している人に結婚していない理由を問うと、「適当な相手に巡り合わない」との回答が46.8%で最大だったそうです。確かになかなか出会いの場がないのでしょうが、それは昔も同じ。「草食系男子」が多くなり、自分から積極的に働きかけをしなくなったこともその理由の一つかもしれません。この記事の直ぐ上に、「子ども・若者白書」に関する記事もあり、そこには全国で40歳〜64歳までのひきこもりが、推計61万3000人もいるとのこと。この数字の大きさには驚きましたが、結婚したくても相手がいないことと、ひきこもりとの間には密接な関係がありそうです。そして、女性の側からも「結婚しなくても、一生つきあっていけるパートナーがいればいい・・・・」そんな言葉が聞こえてきます。果たして、そんな都合のいい人がどれだけいるでしょうか?難しい問題です。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
5/20 張明EU大使 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 --------
5/20 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。
5/23 人民日報 1年余りにわたり米国は「乱暴者」のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。大型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた。 ドル円110円台から109円46銭まで急落。株価も大幅安となり、長期金利は2.3%台を割り込む。
5/27 トランプ・米大統領 貿易に関して、われわれは恐らく8月に両国にとって非常に好ましい何かを発表するだろう。日本の対米ビジネスは米国の対日ビジネスよりがはるかに多いため、われわれは少し巻き返す必要がある。われわれは逆に対日ビジネスを増やしたい。 --------
5/29 人民日報 米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない。 ドル円109円15銭近辺まで円高が進む。米国株は連日の大幅安。
5/29 クラリダFRB副議長 イールドカーブに注目している。最近のフラット化の大部分は世界の金融情勢が原因であり、FEDが政策を検討する際、重要な意味を持つ。 ドル円下落。債券は買われ、株価のも上昇。
5/30 トランプ・米大統領 メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで同国からの輸入品に5%の関税を課す。 ドル円109円台を割り込み、日経平均株価は300円以上の下落。
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
6/13 クドロー国家経済会議委員長 トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 --------
6/14 ロス商務長官 G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 --------
6/18 ドラギECB総裁 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 ユーロドル小幅に下落。
6/19 FOMC声明文 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和