今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年6月25日(火) 「金5年10カ月ぶりの高値を記録」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は107円台前半から半ばで小動き。G20を控えていることから様子見の雰囲気が支配的に。
  • ユーロドルは続伸。IFO企業景況指数がそれほど下振れしていなかったことを好感し1.1404まで上昇。
  • 株式市場はまちまち。ダウは8ドル上昇したものの、ヘルスケアが売られS&P500は小幅安。
  • 債券相場は反発。長期金利は2.01%台まで低下し、再び2%割れを試す展開に。
  • 金は続伸し、1418ドル台に。原油価格もイラン情勢の緊迫を背景に続伸。
ドル/円 107.26 〜 107.53
ユーロ/ドル 1.1380 〜 1.1404
ユーロ/円 122.21 〜 122.39
NYダウ +8.41 → 26,727.54ドル
GOLD +18.10 → 1,418.20ドル
WTI +0.47 → 57.90ドル
米10年国債 −0.040 → 2.014%

本日の注目イベント

  • 日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(4月24日、25日分)
  • 米 4月FHFA住宅価格指数
  • 米 4月ケース・シラ−住宅価格指数
  • 米 6月リッチモンド連銀製造業指数
  • 米 5月新築住宅販売件数
  • 米 6月消費者信頼感指数
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 米 パウエル・FRB議長講演
  • 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
  • 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演

トランプ大統領は予定通り、イランに対する追加制裁を発表。最高指導者ハメネイ師や軍高官8人に制裁を科しました。米国内に保有する個人資産を凍結しましたが、バグダッドの米大使館が4月にフェイスブックに掲載した資料によると、ハメネイ師は推計2000億ドル(約21兆3600億円)相当の資産を保有していると見られています。(ブルームバーグ)トランプ氏は24日ホワイトハウスで、制裁によりハメネイ師と同師の組織は金融リソースにアクセスできなくなると説明し、「イランの最高指導者は同政権による敵対的行為に究極的に責任を負う」と述べています。

今週は最重要イベントである「G20大阪サミット」が開催され、ここで米中首脳会談が行われることになっており、市場はこのイベントを前にして動きにくい状況になってきました。ドル円は引き続き上値は重いものの、昨日は値幅もわずか27銭程度でした。株式市場も、FRBによる利下げ期待だけではここからもう一段上昇する勢いもなく、さらなる支援材料が必要な状況です。そんな中、ユーロドルの上昇が目立っています。昨日は6月のIFO企業景況指数が発表され、前回よりも悪化していたものの予想通りだったことでユーロが買われ、一時1.1404まで上昇。約3カ月ぶりの高値をつけました。また、債券市場でもイランに対する追加制裁の発表を受けて、安全資産の債券と金が買われ、長期金利は再び2%に迫る水準まで低下し、金価格は5年10カ月ぶりとなる1420ドル台まで上昇する場面がありました。

市場が将来のリスクに対して身構えている証ですが、恐怖指数と言われる「VIX指数」は節目の「20」を下回っており、足元でも「15.3」程度で推移しています。株価が堅調なことがその背景ですが、その株価は利下げ期待に支えられており、7月の利下げ確率はほぼ100%になっています。また、年内3回の利下げを予想する向きも徐々に増えてきました。ただそんな中、市場の前のめりの利下げ期待に警鐘をならすFRBメンバーもいます。

ダラス連銀のカプラン総裁は24日、利下げを巡って懸念を表明しています。「現時点で金融刺激を増やせば米経済の過剰と不均衡が一段と拡大し、最終的に制御が困難かつ面倒になる恐れがあると懸念している」とダラス連銀が公表した論文で述べています。総裁は、「貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まった」ことを認めながらも、それでも利下げの準備はまだ整っていないとし、「米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見守るのが賢明だろう」と述べています。総裁は、緩和政策による過剰流動性を懸念しており、リーマンショックの再現を心配しているようです。ドル円は本日も引き続き小動きかと思いますが、ユーロドルがさらに一段高を見せるようだと、再び107円割れを試す可能性も出てきそうです。ユーロドルは日足の雲を「明確に抜けて」おり、この状況は昨年9月以来のこととなります。上値のメドは1.1420〜30前後かと思いますが、ここからは「週足」の厚い雲にぶつかります。本日のドル円は107円〜107円70銭程度と予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
5/20 張明EU大使 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 --------
5/20 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。
5/23 人民日報 1年余りにわたり米国は「乱暴者」のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。大型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた。 ドル円110円台から109円46銭まで急落。株価も大幅安となり、長期金利は2.3%台を割り込む。
5/27 トランプ・米大統領 貿易に関して、われわれは恐らく8月に両国にとって非常に好ましい何かを発表するだろう。日本の対米ビジネスは米国の対日ビジネスよりがはるかに多いため、われわれは少し巻き返す必要がある。われわれは逆に対日ビジネスを増やしたい。 --------
5/29 人民日報 米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない。 ドル円109円15銭近辺まで円高が進む。米国株は連日の大幅安。
5/29 クラリダFRB副議長 イールドカーブに注目している。最近のフラット化の大部分は世界の金融情勢が原因であり、FEDが政策を検討する際、重要な意味を持つ。 ドル円下落。債券は買われ、株価のも上昇。
5/30 トランプ・米大統領 メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで同国からの輸入品に5%の関税を課す。 ドル円109円台を割り込み、日経平均株価は300円以上の下落。
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
6/13 クドロー国家経済会議委員長 トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 --------
6/14 ロス商務長官 G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 --------
6/18 ドラギECB総裁 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 ユーロドル小幅に下落。
6/19 FOMC声明文 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。
6/24 ロウ・RBA総裁 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。
6/24 カプラン・ダラス連銀総裁 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和