今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年6月27日(木) 「ドル円反発し107円台後半に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は反発。この日は終始107円台で推移し、米長期金利の上昇や、G20前のショートの買い戻しで107円85銭までドル高に。
  • ユーロドルは前日とほぼ同じ水準で推移。1.1392まで上昇したものの、1.14台に届かず。
  • 株式市場はまちまち。ダウは続落したもののナスダックはマイクロン・テクノロジーが上昇を牽引し25ポイント高。
  • 債券相場は大幅に反落。重要イベントを前に利益確定の売りに押され下落。長期金利は2.04%台へと上昇。
  • 金は5日ぶりに反落。原油価格は在庫が減少していたことや、イラン情勢の不透明さから大幅高となり59ドル台に。
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5月耐久財受注 → 1.3%
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ドル/円 107.60 〜 107.85
ユーロ/ドル 1.1348 〜 1.1392
ユーロ/円 122.19 〜 122.63
NYダウ −11.40 → 26,536.82ドル
GOLD −3.30 → 1,415.40ドル
WTI +1.55 → 59.38ドル
米10年国債 +0.062 → 2.047%

本日の注目イベント

  • 日 若田部日銀副総裁青森市で挨拶
  • 中 中国5月工業利益
  • 独 独6月消費者物価指数(確定値)
  • 欧 ユーロ圏6月消費者信頼感指数(確定値)
  • 米 1−3月GDP(確定値)
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 5月中古住宅販売件数成約指数

ドル円は前々日につけた、106円77銭の安値から約1円ほど反発しています。この戻り幅は今回の下落局面では初めてのことで、G20と米中首脳会談という「ビッグイベント」を前に各市場でポジションの巻き戻しが起きたことが背景かと思われます。連日上昇していた米債券市場では利益確定の売りに長期金利が、前日の1.98%台から2.05%近くまで上昇し、ドル円を押し上げる源動力になっています。そのドル円も、ショートの手仕舞いが中心となり107円台後半まで反発してきました。また、5年10カ月ぶりの高値を記録した金も一旦上昇が止まっています。

相変わらず口が滑らかなトランプ大統領は昨日、FOXビジネス・ネットワークとのインタビューで様々なことに言及しています。まずは米中首脳会談に関して、もし中国に対する関税が発動される場合、税率は25%ではなく10%になるかもしれないと述べています。トランプ氏は「私はプランB(次善の策)で、それは25%ではなく、10%になる可能性がある」と述べ、中国も習主席のことも好きだが、「中国はあまりに長い間、われわれを食い物にしてきた。ピンポン玉のように通貨安を誘導している」と主張しています。これに対して同じFOXテレビのインタビューに応じたロス商務長官は、「協議が不調に終わった場合のトランプ大統領の関税賦課の警告ははったりではない」と語っています。(ブルームバーグ)

トランプ氏はさらに、自分はパウエルFRB議長を降格させる権限があるとし、「(パウエル氏は)以前は全く無名だった。私が彼を有名にしてやったので、彼は自分がいかに気骨があるかを示したいのだ。いいだろう、それなら見せてもらおうじゃないか。彼は良い仕事をしていない」と語り、さらに「FRB議長にはFRBの人間ではなく、ドラギECB総裁を据えるべきだ」と述べ、再びパウエル議長を批判しています。またトランプ氏は日米安保条約にも触れ、「日本が攻撃されれば、米国はいかなる犠牲を払ってもわれわれは闘う。だが米国が攻撃されても、日本にはわれわれを助ける必要がない。ソニー製のテレビで見るだけだ」と述べ、条約が余りにも一方的だと感じていると語っています。(ブルームバーグ)

米中首脳会談は29日に夕食を挟んで行われるようですが、まだ詳しい情報は入っていません。結果が分かるのは29日夜か、30日(日)の朝方かもしれません。そのため、為替に影響が出るのは1日早朝のオセアニア市場ということになりそうです。金曜日のNYの引け値からは「窓を開けて」取引が始まる可能性があり、注意が必要です。

ドル円は短期的には上昇傾向を示していますが、「日足」を見るとまだ下落局面は続いていると判断できます。108円台に乗せれば「MACD」ではゴールデンクロスが発生する可能性が高いと思われますが、今年のドルの最高値である4月24日の112円40銭から描くことのできる「レジスタンスライン」は、108円30銭を大きく超えないとブレイクしません。米中首脳会談で劇的に合意がなされれば話は別でしょうが、まだ戻り売りのスタンスが有効かと思います。もっとも、市場関係者の多くが「合意はない」と予想しているだけに、その場合の反応はかなりのものが想定されます。一応注意は必要かと思います。本日のドル円は107円30銭〜108円10銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
5/20 張明EU大使 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 --------
5/20 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。
5/23 人民日報 1年余りにわたり米国は「乱暴者」のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。大型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた。 ドル円110円台から109円46銭まで急落。株価も大幅安となり、長期金利は2.3%台を割り込む。
5/27 トランプ・米大統領 貿易に関して、われわれは恐らく8月に両国にとって非常に好ましい何かを発表するだろう。日本の対米ビジネスは米国の対日ビジネスよりがはるかに多いため、われわれは少し巻き返す必要がある。われわれは逆に対日ビジネスを増やしたい。 --------
5/29 人民日報 米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない。 ドル円109円15銭近辺まで円高が進む。米国株は連日の大幅安。
5/29 クラリダFRB副議長 イールドカーブに注目している。最近のフラット化の大部分は世界の金融情勢が原因であり、FEDが政策を検討する際、重要な意味を持つ。 ドル円下落。債券は買われ、株価のも上昇。
5/30 トランプ・米大統領 メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで同国からの輸入品に5%の関税を課す。 ドル円109円台を割り込み、日経平均株価は300円以上の下落。
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
6/13 クドロー国家経済会議委員長 トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 --------
6/14 ロス商務長官 G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 --------
6/18 ドラギECB総裁 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 ユーロドル小幅に下落。
6/19 FOMC声明文 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。
6/24 ロウ・RBA総裁 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。
6/24 カプラン・ダラス連銀総裁 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和