今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年6月28日(金) 「ドル円108円台を回復したものの、同水準を維持できず」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 東京時間に108円15銭まで買われたドル円は、海外市場では徐々に軟調となり、NYでは107円67銭まで下落。G20での米中首脳会談の結果が読み切れないことで、ドルの上値は重い。
  • ユーロドルは横ばい。1.13台半ばを中心に20ポイント程の値幅で推移。
  • 株式市場は前日と同じような展開となり、ダウは下落したものの、ナスダックは上昇。米中首脳会談を前に動きも鈍く、ダウは10ドル安。
  • 債券市場は反発。長期金利は2.01%台に低下。
  • 金は続落し、原油は小幅ながら続伸。
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1−3月GDP(確定値)   → 3.1%
新規失業保険申請件数     → 22.7万件
5月中古住宅販売件数成約指数 → 1.1%
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ドル/円 107.67 〜 107.95
ユーロ/ドル 1.1357 〜 1.1377
ユーロ/円 122.40 〜 122.73
NYダウ −10.24 → 26,526.58ドル
GOLD −3.40 → 1,412.00ドル
WTI +0.05 → 59.43ドル
米10年国債 −0.033 → 2.014%

本日の注目イベント

  • 日 5月失業率
  • 日 6月東京都区部消費者物価指数
  • 日 5月鉱工業生産
  • 日 G20大阪サミット
  • 欧 ユーロ圏6月消費者物価指数(速報値)
  • 英 英1−3月期GDP(改定値)
  • 米 5月個人所得
  • 米 5月個人支出
  • 米 5月PCEコアデフレータ
  • 米 6月シカゴ購買部協会景気指数
  • 米 6月ミシガン大学消費者マインド(確定値)

いよいよ本日からG20大阪サミットが始まります。すでに昨日から首脳同士の外交活動が始まっており、昨日は大阪で日中首脳が会談をおこなっています。会談では、来年の春に習主席を国賓として招きたいという申し出を、中国側も受け入れ、日中韓関係を「永遠の隣国」として今後さらに関係を強化していくことで合意しています。また、中国側から拉致問題に関する言及があったことはややサプライズでしたが、習主席は先週の訪朝の際に、拉致問題に関する日本の立場を金委員長に伝えたことを明らかにしています。米中首脳会談を前に、日本側との距離を縮めておこうという思惑があると見られているようです。

注目の米中首脳会談は明日の11時30分から行われます。これに先だってクドロー国家経済会議(NEC)委員長は、合意がなければ、米国は中国製品に追加関税を賦課する可能性があることにあらためて触れ、「われわれに良い取引をすることに中国が前向きなら、われわれは見方を変えるかもしれない」と述べています。また、「中国との協議には合意履行が含まれる必要がある」とも述べ、引き続き中国側に圧力をかけているようです。中国側も会談では、ファーウェイに対する禁止措置の撤回を米国に要求していくと米紙は伝えていますが、どうなるのか明日の結果は読み切れません。ただ、ここまで米国が圧力をかけてきた以上、「決裂」という選択肢は考えられません。その場合、直ちに制裁関税第4弾が発動され、減速傾向が鮮明な中国景気が一段と悪化することになるからです。

一方で米国側の要求を全て飲むようだと、中国国内から「弱腰」との批判も噴出し、習主席の指導者としての立場にも微妙な影響が出てくることから、米国側の要求にもある程度条件をつけることも予想されます。結局、最終合意には至らないものの、米国の貿易赤字解消に対するコミットを行いながら、核心的な問題については今後も協議を継続することで会談を終えるのではないかと、個人的には考えています。仮にそうなった場合の市場の反応は、どちらかと言えばポジティブではないかと思います。制裁関税第4弾の発動は、米中どちらにも痛みを伴うものですが、中国側により強い痛みが襲うことになります。中国側もその点については十分理解していると考えます。従って、中国側がどこまで譲歩して来るのかが焦点です。

G20では米中貿易問題だけではなく、ロシアやトルコなどとの関係についてもトランプ大統領は首脳会談を通じて話し合われるものと思われます。先のアルゼンチンサミットでは首脳宣言に「保護貿易主義に反対する」といった文言は盛り込まれませんでした。米国が強く反対したからだと伝えられていますが、今回はそのような文言が盛り込まれるのか、議長国としての日本の立場が試されます。

ドル円は昨日の東京時間に108円台を回復し、108円15銭まで上昇しましたが、海外市場ではその流れが続きませんでした。本日もトランプ氏はメルケル独首脳やプーチン・ロシア大統領などとの会談が予定されています。今日の段階では為替への影響はないと思われますが、伝えられるニュースのヘッドラインで動く可能性はあるかもしれません。来週月曜日の早朝の動きには注意が必要です。本日のドル円は107円30銭〜108円20銭程度を予想します。

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今週24日は「昭和の天才歌手」美空ひばりの命日で、もう30年も経つそうです。52歳で亡くなったので、生きていれば82歳です。日経新聞「春秋」に、「今日が命日のもう一人の女性のことなどほとんど忘れられているに違いない」とのコラムがありました。ちょうど50年前に自ら命を絶った立命館大学の学生だった高野悦子のことでした。1970年代に広く読まれた「二十歳の原点」は、当時ベストセラーでした。そしてコラムには、「書棚にこの本が眠っている人はたくさんおられよう」と続きます。筆者も学生時代に読み、その後も読み返したことがあるので書棚を探してみたら、ありました。この新聞記事を読まなければ、二度と手に取るとはなかったかもしれません。もういちどゆっくり読んで見たいと思います。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
5/20 張明EU大使 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 --------
5/20 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。
5/23 人民日報 1年余りにわたり米国は「乱暴者」のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。大型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた。 ドル円110円台から109円46銭まで急落。株価も大幅安となり、長期金利は2.3%台を割り込む。
5/27 トランプ・米大統領 貿易に関して、われわれは恐らく8月に両国にとって非常に好ましい何かを発表するだろう。日本の対米ビジネスは米国の対日ビジネスよりがはるかに多いため、われわれは少し巻き返す必要がある。われわれは逆に対日ビジネスを増やしたい。 --------
5/29 人民日報 米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない。 ドル円109円15銭近辺まで円高が進む。米国株は連日の大幅安。
5/29 クラリダFRB副議長 イールドカーブに注目している。最近のフラット化の大部分は世界の金融情勢が原因であり、FEDが政策を検討する際、重要な意味を持つ。 ドル円下落。債券は買われ、株価のも上昇。
5/30 トランプ・米大統領 メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで同国からの輸入品に5%の関税を課す。 ドル円109円台を割り込み、日経平均株価は300円以上の下落。
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
6/13 クドロー国家経済会議委員長 トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 --------
6/14 ロス商務長官 G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 --------
6/18 ドラギECB総裁 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 ユーロドル小幅に下落。
6/19 FOMC声明文 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。
6/24 ロウ・RBA総裁 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。
6/24 カプラン・ダラス連銀総裁 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和