今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年7月1日(月) 「窓を開けて取り引き開始。米中首脳会談と米朝会談で。」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は107円台後半でもみ合い。G20を控え積極的な取引は見られず、経済指標の発表にも反応が薄く、107円80−85銭で越週。
  • ユーロドルは1.13台半ばから後半での取り引き。底値が徐々に固まってきたものの、1.14台ではユーロ売り意欲も旺盛。
  • 株式市場は3指数とも揃って上昇。ナスダックは8000の大台を回復し、ダウは73ドル高。
  • 債券相場は続伸。長期金利は2.0%近辺まで低下。
  • 金は上昇し、原油は反落。
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米 5月個人所得               → 0.5%
米 5月個人支出               → 0.4%
米 5月PCEコアデフレータ         → 1.5%
米 6月シカゴ購買部協会景気指数       → 49.7
米 6月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 98.2
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ドル/円 107.64 〜 107.95
ユーロ/ドル 1.1351 〜 1.1392
ユーロ/円 122.45 〜 122.78
NYダウ +73.38 → 26,599.96ドル
GOLD +1.70 → 1,413.70ドル
WTI −0.96 → 58.47ドル
米10年国債 −0.090 → 2.005%

本日の注目イベント

  • 日 6月日銀短観
  • 中 6月財新製造業PMI
  • 独 独6月失業率
  • 独 独6月製造業PMI(改定値)
  • 欧 ユーロ圏6月製造業PMI(改定値)
  • 欧 ユーロ圏5月マネーサプライ
  • 欧 ユーロ圏5月失業率
  • 英 英5月消費者信用残高
  • 米 6月ISM製造業景況指数
  • 米 クラリダ・FRB副議長講演

この週末は、今年前半の最後の週でしたが象徴的な出来事がありました。G20に米中首脳会談、さらには「電撃的」とも言える米朝首脳会談があり、トランプ氏は米国大統領として初めて北朝鮮の地に足を踏み入れました。米中首脳会談では、予想したとおり、制裁関税第4弾の発動は見送られ、貿易協議を再開することで合意しました。トランプ大統領と金正恩委員長の会談については、先週金曜日の段階で、トランプ氏が「2分でも会えればいい」とツイートしていたこともあり、可能性はありましたが、まさか50分も会談し、しかも北朝鮮の地に入ったことは驚きでした。これで、「G20会合」の存在がますます影を薄くしたような気もします。

米中首脳会談では、3000億ドル(約32兆3600億円)相当の中国製品に対する追加関税の発動を先送りし、さらにトランプ氏はファーウェイに対する禁輸措置を緩和し、米企業に同社への部品売却を条件つきながらも認めると語っています。米中首脳で話合われた内容については明らかになってはいませんが、トランプ氏は会談終了後に「予想よりもはるかに良いものだった」とツイートしていました。今後制裁関税第4弾発動の可能性が全くなくなったわけではありませんが、ひとまず貿易戦争の激化は回避された格好です。昨日中国の6月製造業PMIが発表されましたが、「50」の節目を下回っただけではなく、事前予想を下回る「49.4」でした。中国景気は3月頃、一旦は底入れしたとの観測もありましたが、今回の指標を見る限り再び下落基調に転じ、2番底を探る展開になっている可能性もあり、米国との貿易問題をこれ以上こじらせるわけにはいかないといった事情もあります。

米朝会談では、その仲介役を担ったと思われる、韓国の文大統領の誇らしげな顔も印象的でしたが、トランプ大統領と金委員長それぞれに、早い時期に会わなければならない「事情」もあったようです。トランプ氏は言うまでもなく、2020年の大統領選が始まっており、現職大統領としての立場を最大限に有効活用したと見られます。そのためには「目に見える成果」が必要だったはずで、今回2つの「成果」を持ち帰ることに成功したと言えます。また金委員長も、制裁が長く続いており国内の経済状態も厳しい中、打開策が求められており、そのためにはトランプ氏に直接会うのが最も有効だったと思われます。ちょうどタイミングよく、相手から「会いたい」とのオファーがあったため、万難を排して会談の実現に奔走したのではないかと予想されます。今回の会談では、お互いが首都ワシントンと平壌に招待することも約束したようです。

今朝のドル円は「窓を開けて」取り引きが始まっています。既に先週記録した戻り高値の108円15銭を大きく上回る108円台半ばまでドルが買い戻されています。本日はさすがの日本株も大幅な上昇を見せることでしょう。海外市場が上記材料をまだ織り込んでいないことから、今日1日を考えると、ドルは底堅く推移すると予想します。レンジは108円〜109円程度と見ています。

明日(7月2日)の「アナリストレポート」は都合によりお休みとさせていただきます。ご愛読者の皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解くださいますようお願い申し上げます。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
5/5 トランプ・米大統領 中国との通商協議は続いているが、進展があまりに遅い。中国側が再交渉を企てている。ノー。10%の(関税)は金曜日(10日)に25%にあがるだろう。 ドル円111円台前半から110円29銭まで急落。
5/7 中国「環球時報」 「中国は協議の一時的な中断を含めて、他に想定される結果に十分備えている」 ドル円の下落を加速させ、株価は下落。
5/7 クラリダFRB副議長 (当局による利下げは)「現時点でその状況にあるとは考えていない。どちらの方向にも金利を動かす強い論拠は見られない」 --------
5/8 トランプ・米大統領 「中国の劉鶴副首相が取引をするため米国にやってくる。様子を見ているが、年1千億ドル超の関税が米国の金庫に入ってくるのにとても満足している」 --------
5/11 トランプ・米大統領 (中国は)「今、行動することが賢明だろう。最近の交渉で中国は手ひどく打ちのめされたので、次の選挙まで待った方が良さそうだと感じていると思う。だが唯一の問題は私が勝利するであろうことを彼らが知っていることだ」 --------
5/20 ブラード・セントルイス連銀総裁 PCEコア指数が前年同月比1.6%上昇という状況について、「この状況が長引くようであれば、利下げ、インフレ期待の中心を再び2%にするよう私はFOMCでより強く主張する」 --------
5/20 張明EU大使 中国には自国の正当な権利と利益を守るための揺るぎない決意がある。米国が闘うというなら、われわれは最後までそれに付き合い、真剣に闘う。言い換えるなら、ボールは米側のコートにある。 --------
5/20 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 雇用をより促進するため、来月の会合で政策金利引き上げの検討を行う。低いキャッシュレートは雇用の伸びを後押しし、インフレが目標と合致するタイミングを早める。 豪ドル円76銭台前半 → 75円80銭前後まで下落。
5/23 人民日報 1年余りにわたり米国は「乱暴者」のように振舞ってきた。関税を振りかざし、貿易戦争をあおり、ルールに基づく多国間貿易システムを攻撃した。大型関税を課すことで米国は自らのコミットメントとWTOルールを無視し、国際ルールより一方的な利益を意図的に優先させた。 ドル円110円台から109円46銭まで急落。株価も大幅安となり、長期金利は2.3%台を割り込む。
5/27 トランプ・米大統領 貿易に関して、われわれは恐らく8月に両国にとって非常に好ましい何かを発表するだろう。日本の対米ビジネスは米国の対日ビジネスよりがはるかに多いため、われわれは少し巻き返す必要がある。われわれは逆に対日ビジネスを増やしたい。 --------
5/29 人民日報 米国は貿易戦争で中国が応酬する能力を過小評価すべきでない。 ドル円109円15銭近辺まで円高が進む。米国株は連日の大幅安。
5/29 クラリダFRB副議長 イールドカーブに注目している。最近のフラット化の大部分は世界の金融情勢が原因であり、FEDが政策を検討する際、重要な意味を持つ。 ドル円下落。債券は買われ、株価のも上昇。
5/30 トランプ・米大統領 メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで同国からの輸入品に5%の関税を課す。 ドル円109円台を割り込み、日経平均株価は300円以上の下落。
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
6/13 クドロー国家経済会議委員長 トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 --------
6/14 ロス商務長官 G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 --------
6/18 ドラギECB総裁 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 ユーロドル小幅に下落。
6/19 FOMC声明文 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。
6/24 ロウ・RBA総裁 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。
6/24 カプラン・ダラス連銀総裁 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和