2019年7月3日(水) 「ドル円再び108円を割り込む」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は売られ、再び108円台を割り込む。米長期金利が低下し欧州との貿易摩擦を懸念する声が拡大。ドル円は107円77銭まで下落し、107円90銭前後で取り引きを終える。
- ユーロドルは1.13を挟んでもみ合う。ドルが売られたことで、ユーロを買う動きもあったが、続かず。1.1312までユーロ高が進んだが、この日はユーロ円の売りもユーロの上値を押さえる。
- 株式市場は続伸。世界的な金利低下を背景に、株式市場への資金流入は継続。ダウは69ドル高。S&P500とナスダックは最高値を更新。
- 債券相場は続伸し、長期金利は1.97%台へと急低下。
- 金は大幅に反発。原油価格は利益確定の売りに押され大幅安。
6月自動車販売台数 → 1730万台
******************
| ドル/円 | 107.77 〜 108.29 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1283 〜 1.1312 |
| ユーロ/円 | 121.71 〜 122.37 |
| NYダウ | +69.25 → 26,786.68ドル |
| GOLD | +18.70 → 1,408.00ドル |
| WTI | −2.84 → 56.25ドル |
| 米10年国債 | −0.05 → 1.974% |
本日の注目イベント
- 豪 豪5月住宅建設許可件数
- 豪 豪5月貿易収支
- 中 中国6月財新サービス業PMI
- 中 中国6月財新コンポジットPMI
- 独 独6月サービス業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏6月サービス業PMI(改定値)
- 米 6月ADP雇用者数
- 米 5月貿易収支
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 5月耐久財受注(改定値)
- 米 6月ISM非製造業景況指数
- 米 独立記念日の前日で株式・債券市場は短期取引
- 加 カナダ5月貿易収支
米中貿易問題で最悪の事態が避けられたことを好感し、月曜日のドル円は窓を開けて上昇しました。しかし、108円台半ばまで上昇したドル円は再び108円台を割り込んできました。直接の要因は米長期金利の低下でした。米10年債利回りは直近の最も低い水準を下回り、2016年11月以来となる1.97%台まで低下してきました。日米金利差の縮小を手掛かりにドル売りが進み、107円77銭までドル安に振れています。これで、ドル円は米中首脳会談前の水準に押し戻されたことになります。
米金利の低下は、世界的に金利が低下していることが影響している部分もあります。日本やドイツだけではなく、フランスの国債も買われ金利が低下してきました。イングランド銀行のカーニー総裁は昨日、「貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている」と述べ、そのため「大規模な政策対応が必要になる可能性がある」との認識を示しました。この発言も主要国の金利低下に拍車をかけたようです。さらに米国とイランとの緊張が高まっており、ポンペオ国務長官は「イランが核開発を進めれば、経済圧力を強化する」と表明し、今後のイラン側の対応次第では、米国による軍事行動もないとは言えません。
米金利が低下する一方、米国の株式市場には資金が流入し、株価の上昇が止まりません。昨日はS&P500とナスダックが最高値を更新し、ダウも8カ月ぶりの高値を記録しています。外部環境は景気を含めて多くのリスクが散見される状況下で、金利低下だけをはやして株価が上昇する足元の動きに違和感を覚える市場関係者も多いと思いますが、運用結果が全てのこの世界、多くの投資家が株を買えば、追随して株を買わざるを得ません。仮に大きく下げたとすれば、その時は多くの投資家が一緒に傷を負うことになるからです。「We are in the same boat」、投資家から良く聞かれる言葉です。
米長期金利との相関が高いドル円は、今後米金利の低下傾向が続く以上なかなか上昇気流に乗ることができません。以前にも述べましたが、まだ足元の動きは株高がドルの下落を支えている部分もありますが、株価が急落すれば、リスクオフの流れから金利が低下する可能性は高く、そのような状況になると円高が急速に加速すると予想されます。今の株価に対する楽観的な見方が今後も続けばいいですが、一旦崩れるとその時の谷も深いものと予想されるため、常に目配りは必要です。本日のドル円は107円40銭〜108円20銭程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 6/2 | 中国国防相 | 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 | -------- |
| 6/2 | 王受分中国商務次官 | 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 | -------- |
| 6/3 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 | ドル円108円台前半から107円台後半に。 |
| 6/4 | パウエルFRB議長 | これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 | NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。 |
| 6/4 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 | -------- |
| 6/5 | カプラン・ダラス連銀総裁 | (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 | -------- |
| 6/6 | ドラギ・ECB総裁 | 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 | -------- |
| 6/10 | トランプ大統領 | 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 | -------- |
| 6/10 | トランプ大統領 | 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 | -------- |
| 6/13 | クドロー国家経済会議委員長 | トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 | -------- |
| 6/14 | ロス商務長官 | G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 | -------- |
| 6/18 | ドラギECB総裁 | 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 | ユーロドル小幅に下落。 |
| 6/19 | FOMC声明文 | 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 | ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。 |
| 6/24 | ロウ・RBA総裁 | 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 | 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。 |
| 6/24 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう | -------- |
| 7/2 | カーニー・BOE総裁 | 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 | ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。 |



