2019年7月4日(木) 「金利低下を背景に全ての商品が買われる展開」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は休日を控え参加者が少ない中、小幅に反発金利は低下したものの、株価が大幅に続伸したことで107円88銭までドルが買われ、この日の高値圏で引ける。
- ユーロドルは引き続き方向感がなく、1.13を挟んでの展開。1.1272まで売られたが、ポジション調整の域を出ず。
- 株式市場は金利低下を材料に大幅に続伸。ダウは179ドル高で史上最高値を更新。S&P500とナスダックも最高値を更新し、3指数が揃って高値を記録。
- 債券市場は経済指標の下振れを手掛かりに続伸。長期金利は1.95%台まで低下。
- 金と原油は揃って上昇。
6月ADP雇用者数 → 10.2万人
5月貿易収支 → −555億ドル
新規失業保険申請件数 → 22.1万件
5月耐久財受注(改定値) → −1.3%
6月ISM非製造業景況指数 → 55.1
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| ドル/円 | 107.57 〜 107.88 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1272 〜 1.1312 |
| ユーロ/円 | 121.50 〜 121.80 |
| NYダウ | +179.32 → 26,966.00ドル |
| GOLD | +12.90 → 1,420.90ドル |
| WTI | +1.09 → 57.34ドル |
| 米10年国債 | −0.024 → 1.950% |
本日の注目イベント
- 豪 豪5月小売売上高
- 欧 ユーロ圏5月小売売上高
- 米 NY休場(独立記念日)
NY株式市場では株価の上昇が止まりません。ダウは179ドル上昇し、これで他の指数には遅れたものの「史上最高値」を更新し、2万7000ドルが視野に入ってきました。先行するS&P500もナスダックも上昇し、この日は主要3指数が揃って最高値を更新しています。ドル円は小幅ながら反発し、107円台後半をつけてはいますが、ユーロドルに代表されるように、為替市場だけが「蚊帳の外」といった印象です。
昨日のNY市場では金も買われ、債券も買われています。6月のADP雇用者数が予想を下回る10.2万人だったことで、政策金利引の引き下げが進むといった見方から商品全般が買われている状況です。このところのパターンは、「経済指標の下振れ→金融緩和策の強化→金利低下を材料に株や金が上昇」といった動きが定着してきたかのようです。昨日は先行指標でもある、ISM製造業景況指数も予想を下回り2年ぶりの低水準で、特に中小企業の雇用は1年4カ月ぶりの低下でした。この結果を受けて、ISMは「回答者のコメントには、貿易・関税問題を理由に一定の不確実性が存在する」との分析結果を発表しています。
確かにこのところの経済指標は雇用を中心に悪化傾向が顕著で、FRBによる利下げ回数の増加観測を高めることになり、それが株価の上昇につながってはいますが、その前に、経済指標の下振れは景気そのものが悪いということを認識しておくべきではないかと思います。景気の悪化は、企業業績の悪化につながり、企業業績と株価は切っても切り離すことは出来ません。今の株価の上昇は、典型的な「金融相場」と言えると思います。ナバロ米国家通商会議(NTC)委員長は、ブルームバーグとのインタビューで、「米金融当局が金利を引き下げ、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を議会が承認し、トランプ大統領の成長計画を推進すれば、ダウ平均株価は3万ドルに到達する」と述べています。
ECBの次期総裁にIMFのラガルド専務理事が指名されました。ECBの第4代総裁は少なくも、理事会メンバーの中から選ばれると予想していただけに、この人事はサプライズでした。ECB総裁に女性が就任するのは初めてですが、フランスからは2人目の総裁で、これでドイツ出身の総裁誕生がまた先送りになりました。欧州委員会の委員長にドイツ出身のフォンデアライエン氏が就任するため、独仏でポストを分けたとの批評もありますが、ECB総裁の方がはるかに格上で、フランスが「漁夫の利を得た」格好です。「欧州の大国ドイツ」に対する警戒感や、やっかみなどが背景にあるようですが、ラガルド氏はIMFの前はフランスの財務大臣でしたが、セントラル・バンカーとしての経験はありません。それでもハト派のイメージが強く、これも株価の上昇に一役買ったようです。
またトランプ氏が空席のFRB理事にウオーラー、シェルトン両氏を指名したことも、FRBの利下げを促すと見られています。因みにシェルトン氏はトランプ氏の非公式アドバイザーを務めておりFRB内ではトランプ氏の意向を代弁すると見られ、この人事も株価の上昇につながったようです。金利低下観測が全ての商品上昇のドライバーになっていると見られますが、果たしてこの先、市場が予想するようにFRBが年内に2〜3回の利下げを行うのでしょうか?株価の上昇が続けば、いわゆる「資産効果」から個人消費の拡大につながります。GDPの7割を個人消費が占める米経済にとって、個人消費が伸びれば他の経済指標にも波及し、景気が再び拡大基調に戻るというシナリオも考えられます。そうなると、市場の前のめりの予測も修正局面を迎える場面があるかもしれません。
ドル円は107−109円のレンジを形成しそうですが、その中でも上値の重さが意識されます。戻り売りのスタンスはまだ有効だと思われます。本日のドル円は107円30〜108円程度を予想します。米国が祝日のため、大きな動きはないと思われますが、どうでしょう。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 6/2 | 中国国防相 | 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 | -------- |
| 6/2 | 王受分中国商務次官 | 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 | -------- |
| 6/3 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 | ドル円108円台前半から107円台後半に。 |
| 6/4 | パウエルFRB議長 | これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 | NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。 |
| 6/4 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 | -------- |
| 6/5 | カプラン・ダラス連銀総裁 | (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 | -------- |
| 6/6 | ドラギ・ECB総裁 | 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 | -------- |
| 6/10 | トランプ大統領 | 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 | -------- |
| 6/10 | トランプ大統領 | 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 | -------- |
| 6/13 | クドロー国家経済会議委員長 | トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 | -------- |
| 6/14 | ロス商務長官 | G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 | -------- |
| 6/18 | ドラギECB総裁 | 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 | ユーロドル小幅に下落。 |
| 6/19 | FOMC声明文 | 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 | ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。 |
| 6/24 | ロウ・RBA総裁 | 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 | 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。 |
| 6/24 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう | -------- |
| 7/2 | カーニー・BOE総裁 | 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 | ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。 |



