今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年7月5日(金) 「米市場祝日で動かず」

ひと目で分かる昨晩の動き

欧州市場

  • ドル円は107円80銭を挟んで小動き。参加者も少なく値動きは限定的。
  • ユーロドルも値幅は20ポイント以下と小動き。1.1273から1.1290までと、終始1.12台での取り引きに。
ドル/円 107.75 〜 107.84
ユーロ/ドル 1.1273 〜 1.1290
ユーロ/円 121.53 〜 121.70
NYダウ ------ → 26,966.00ドル
GOLD ------ → 57.34ドル
米10年国債 ------ → 1.950%

本日の注目イベント

  • 日 5月景気先行指数
  • 中 中国6月サービス製造業PMI
  • 独 独5月製造業新規受注
  • 米 6月雇用統計
  • 加 カナダ6月就業者数
  • 加 カナダ6月失業率

米国が「独立記念日」の祝日のため、為替はほとんど動きがありません。さらに今夜6月の米雇用統計が発表されることも様子見気分を強めており、今日この後の値動きも21時過ぎまで期待はできません。

世界的に金利低下が進む中、昨日はドイツ国債が買われ、金利が一段と低下しています。ドイツの10年物国債の利回りはマイナス0.41%まで低下し、ECBの中銀預金金利であるマイナス0.4%を初めて下回りました。ブルームバーグによると、ドイツ国債の利回り低下を受け、投資家はイタリアやギリシャといったよりリスクの高い資産に向かっていると伝えています。ECBの次期総裁にIMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事が指名され、同氏が就任すれば利下げや景気刺激策を強化し、利回りはさらに低下するとの見立てがあるようです。因みにオランダの10年債利回りもマイナス0.25%まで低下し、フランスもマイナス0.13%台、スウェーデンもマイナス圏に沈んでいます。欧州の安全国であるスイスに至ってはマイナス0.69%で昨日の取り引きを終えています。こうなると、下がったとはいえ、まだプラス1.95%台の米10年債は相対的に投資妙味が高まり、資金が集まる理由も理解できるというものです。

米国とイランの緊張が続いている中、昨日イギリスの特殊部隊がイベリア半島南端にある英領ジブラルタルの沖合で、大型タンカーを拿捕したというニュースがありました。タンカーは欧米の制裁に違反してシリアにイラン産原油を輸送している途中とのことです。これを受けてイランは拿捕が違法だと抗議をしており、イランを巡る緊張はさらに高まっています。イランのウラン濃縮度を巡る問題では米国がイランに圧力をかけていますが、トランプ大統領は反発するイランに対して「イランよ、脅迫はやめたほうがよい。前例のない痛みのしっぺがえしが待っているぞ」と、軍事行動を示唆するような警告もしており、イランの今後の出方次第では一触即発の状況が高まる恐れもあります。

今夜は6月の雇用統計が発表されます。雇用統計では、非農業部門雇者数の伸びがここ3カ月連続で急激に鈍化しています。これらが、まだ一時的なものなのか、あるいはすでに労働市場に景気後退の影響が出始めているのか、非常に注目されます。現在「16万人」と予想されている6月の雇用者数が予想通りか、あるいは若干でも上回るようなら、利下げ観測の後退につながり、株価が下落し、金利が上昇し、ドル円は堅調に推移するものと予想します。もちろんその逆の場合にはドルが売られ、107円割れがあるのかどうかが焦点になります。「日足」の一目均衡表が示すように、ドル円は依然として下落基調が続いており、ドルの戻りを売るスタンスが有効のようですが、一方で「MACD」ではすでにゴールデンクロスが点灯しており、微妙な状況になっています。この状況は、今年1月3日の「フラッシュ・クラッシュ」後の戻り基調の局面とよく似ています。この局面では、結局「MACD」が勝利を収めたことはご承知の通りです。予想レンジはややワイドに、107円〜108円30銭程度とします。

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先週、日経ヴェリタスの編集後記に「グレー・リノ」(灰色のサイ)に関する記事がありました。金融市場でよく使われる言葉に「ブラック・スワン」(黒い白鳥)があります。白鳥は普通白いので、黒い白鳥はめったに御目にかかれないことから、「めったに起こらないが、起きたら大変な事態になる」ことの例えとして使われています。これ対して、「グレー・リノ」は、市場において高い確率で起こるとされているのに、軽視されているリスクのことを言うようです。われわれの周りにもすでに「グレー・リノ」がいるのかも知れません。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
6/13 クドロー国家経済会議委員長 トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 --------
6/14 ロス商務長官 G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 --------
6/18 ドラギECB総裁 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 ユーロドル小幅に下落。
6/19 FOMC声明文 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。
6/24 ロウ・RBA総裁 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。
6/24 カプラン・ダラス連銀総裁 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう --------
7/2 カーニー・BOE総裁 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和