2019年7月9日(火) 「ドル円続伸し108円台後半に」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は続伸。特段材料はなかったものの、金利の上昇に108円81銭まで買われ、約1カ月ぶりのドル高に。
- ユーロドルも徐々に上値を切り下げたが、1.12台は割り込めず前日と同じ展開に。
- 株式市場は続落。パウエル議長の議会証言を控え投資家は慎重な姿勢を見せる中、売りが優勢となりダウは115ドル安。
- 債券相場は小幅ながら続落。長期金利は2.04%台へと上昇。
- 金は小幅に続落し、原油は続伸。
5月消費者信用残高 → 170.9億ドル
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| ドル/円 | 108.52 〜 108.81 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1207 〜 1.1227 |
| ユーロ/円 | 121.74 〜 121.97 |
| NYダウ | −115.98 → 26,806.14ドル |
| GOLD | −0.10 → 1,400.00ドル |
| WTI | +0.15 → 57,66 |
| 米10年国債 | +0.014 → 2.048% |
本日の注目イベント
- 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
- 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
- 米 クオールズ・FRB副議長講演
- 加 カナダ6月住宅着工件数
- 加 カナダ5月建設許可件数
昨日の東京タイムでは株価の下落に歩調を合わせ、ドル円もジリ安となり、108円28銭前後まで売られましたが、その後の海外市場ではドルが上昇に転じ、NY市場では約1カ月ぶりとなる108円81銭までドル高が進みました。昨日の海外では特段ドルを買い戻す材料はなかったものの、先週末の雇用統計の影響を引きずっていることと、米長期金利が若干上昇したことが手掛かりになっていると思われます。
報道されているように、イランはウラン濃縮度が2015年の核合意で定められた規定上限を超えたと発表し、さらに濃縮度を20%まで引き上げる可能性もあると警告しています。核兵器への転用が可能になるウラン濃縮度は90%以上とされているため、直ちに核攻撃などのリスクが高まったわけではありませんが、トランプ大統領は「イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない」と発言し、ペンス副大統領も、「トランプ大統領の下、米国はイランが核兵器を保有することを決して許すことはない」と語っています。(ブルームバーグ)米国はすでにイランに対する制裁措置を実施していますが、さらに追加の制裁措置が近く発表されるものと思われます。先月末には朝鮮半島非武装地帯の板門店で電撃的な米朝首脳会談が持たれ、朝鮮半島の地政学的リスクが後退したばかりでしたが、「一難去ってまた一難」といった状況です。
ただそれでも市場はそれほど指し迫った緊張だとは認識していないようで、昨日のNY市場では安全資産の債券が売られ、安全通貨の円も売られる展開でした。原油価格と金は引き続き高水準で推移しており、この部分でイラン情勢の緊張をかい間見ることはできますが、まだリスクオフを加速させているわけではありません。明日のパウエル議長による議会証言が控えていることも、動きを鈍くしていると思われますが、市場の関心は、やはり今後の米金融政策の方向性に集まっていると思われます。議会証言では、今月末のFOMCでの政策変更に関する何らかの言及があると予想されています。良好な雇用統計を受け、「0.5%の利下げ」の目は既になくなったと思われ、「0.25%の利下げ」で決まりかと思います。そして市場はさらにFRBの次の動きを模索することに集中し、年内あと何回利下げが行われるのかを予測し始めます。また、トランプ大統領が再三FRBに対して利下げ圧力をかけていることもあり、議会では「金融政策の独立性」を巡って質問が出る可能性もあります。「政治的圧力には一切屈しない」といったコメントも予想されますが、そうなると再びトランプ大統領の反感をかうことにもなります。仮に、パウエル議長の任期満了前にパウエル氏を解任したら、トルコのエルドアン大統領と同じ失態を演じたことになり、歴史に名を残すことになります。
ドル円は108円台後半まで上昇したことで、「日足」よりも短いチャートでは全て「雲抜け」を完了しており、底堅い動きになって来ました。引き続き、ドルの戻り売りのスタンスが有効かとは思いますが、その水準には慎重さが必要になっています。予想レンジは108円30銭〜109円10銭程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 6/2 | 中国国防相 | 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 | -------- |
| 6/2 | 王受分中国商務次官 | 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 | -------- |
| 6/3 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 | ドル円108円台前半から107円台後半に。 |
| 6/4 | パウエルFRB議長 | これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 | NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。 |
| 6/4 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 | -------- |
| 6/5 | カプラン・ダラス連銀総裁 | (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 | -------- |
| 6/6 | ドラギ・ECB総裁 | 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 | -------- |
| 6/10 | トランプ大統領 | 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 | -------- |
| 6/10 | トランプ大統領 | 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 | -------- |
| 6/13 | クドロー国家経済会議委員長 | トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 | -------- |
| 6/14 | ロス商務長官 | G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 | -------- |
| 6/18 | ドラギECB総裁 | 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 | ユーロドル小幅に下落。 |
| 6/19 | FOMC声明文 | 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 | ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。 |
| 6/24 | ロウ・RBA総裁 | 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 | 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。 |
| 6/24 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう | -------- |
| 7/2 | カーニー・BOE総裁 | 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 | ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。 |
| 7/7 | トランプ大統領 | イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) | -------- |



