今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年7月17日(水) 「ドル円再び反発し108円台前半に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は107円台から反発。小売売上高が予想を上回ったことや、長期金利が上昇したことでドルが買われた。ドル円は108円37銭まで上昇。
  • 独ZEW景況感指数が予想以上に悪化していたことでユーロドルは1.1202まで下落。再び1.12割れを試す展開になるのかが焦点に。
  • 株式市場は揃って反落。良好な経済指標に金利が上昇したことで、利益確定の売りが勝った。ダウは23ドル安く、ナスダックは35ポイント下落。
  • 債券相場は続落。長期金利は2.1%台を回復。
  • 金は反落。原油はポンペオ国務長官のイラン問題での前向きな発言で大幅安に。
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6月輸入物価指数     → −0.9%
6月小売売上高      → 0.4%
6月鉱工業生産      → 0.0%
6月設備稼働率      → 77.9%
7月NAHB住宅価格指数 → 65
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ドル/円 107.92 〜 108.37
ユーロ/ドル 1.1202 〜 1.1224
ユーロ/円 121.09 〜 121.53
NYダウ −23、53 → 27,335、63ドル
GOLD −2.30 → 1,411.20ドル
WTI −1.96 → 57.62
米10年国債 +0.014 → 2.103%

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏6月消費者物価指数(改定値)
  • 欧 G7財務相・中央銀行総裁会議(仏、シャンティイ)
  • 英 英6月消費者物価指数
  • 米 6月住宅着工件数
  • 米 6月建設許可件数
  • 米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
  • 米 企業決算 → IBM、ネットフリックス、バンク・オブ・アメリカ
  • 加 カナダ6月消費者物価指数

ドル円は前日の107円80銭台から再び反発しており、上値は重いものの、107円台では底堅い展開が続いています。市場関係者が最も注目しているのが「金利」ということのようです。「金利」が中心にいて、その金利が低下するとドルが売られ、株は買われます。一方昨日のように、金利が上昇すると、株は売られ、ドルが買われる傾向にあるようです。このような傾向は今に始まったわけではありませんが、株価とドル円が全く「逆相関」に動くという状況はそれほど頻繁には見られません。市場関係者にとって、「金利」が最大の関心事だという証左です。

6月の小売売上高が予想を上回り、大半のカテゴリーで増加していました。前月比0.4%の増加で、自動車とガソリンを除いた小売売上高も0.7%増加しています。これで4カ月連続の伸びとなり、今月末のFOMCでの議論の一つになるかもしれません。株価の上昇が続いており、個人の財布の紐が緩んでいると考えられます。再三指摘しているように、米国人が株式に投資している割合は高く、株価の上昇は「資産効果」として、個人の懐を潤すことになります。含み益が増えれば、欲しいものを買うというのは極めて自然な行動です。従ってこのまま株価の上昇が続くようだと、個人消費がGDPに占める割合も大きいだけに、GDPの上振れという効果も期待できるかもしれません。個人的には、この株価の上昇は長くは続かないと予想していますが、株式の専門家の中には「それでも株価は上がる」と強気の人も多いようです。

好調な経済指標が利下げ観測をやや後退させてはいますが、今月のFOMCでの利下げは揺るがないところでしょう。パウエル議長は昨日、フランス中銀主催の夕食会で講演を行い、経済成長に関する米金融当局の基本シナリオは「引き続き堅固だ」とした上で、「特に貿易を巡る動向と世界経済の面で、この見通しに対する不確実性は増している」と発言しています。(ブルームバーグ)ここでも先日の議会証言と同じように「不確実性」という言葉を使っており、今月のFOMCでの利下げに踏み切る論拠を支えるものになっていると推察できます。

事務レベルでの電話協議が再開された米中通商協議は、このまま生産的であればムニューシン財務長官は訪中の用意があると述べていましたが、トランプ大統領は昨日ホワイトハウスで開かれた閣議で、「対中関税に関しては、われわれが望めばまだやれることは多い。われわれが望むなら、3250億ドル(約35兆1800億円)相当に別途関税を課すことができる」と発言し、自分が望めば中国からの輸入品に追加関税を課すことができることを改めて述べています。(ブルームバーグ)習近平主席とのトップ会談で通商協議は再び動き出しましたが、関税発動は一時的に「棚上げ」されているだけだということを印象付けているようです。

ドル円は107円台半ばを試す展開ではないものの、今日も上値はそれほど期待できないでしょう。基本レンジの107−109円の中での「もみ合い」と見ています。21日の参院選と月末のFOMCで、どちらかに動く可能性はありますが、もしそれでも動かないようだと、「サマーバケーション」入りとなり、さらに膠着することも予想されます。本日のレンジは107円90銭〜108円60銭程度と見ます。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
6/13 クドロー国家経済会議委員長 トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 --------
6/14 ロス商務長官 G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 --------
6/18 ドラギECB総裁 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 ユーロドル小幅に下落。
6/19 FOMC声明文 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。
6/24 ロウ・RBA総裁 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。
6/24 カプラン・ダラス連銀総裁 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう --------
7/2 カーニー・BOE総裁 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。
7/7 トランプ大統領 イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) --------
7/10 パウエルFRB議長 貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている。見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼす可能性はある。通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府が扱う多くの政策課題がなお解決されていない。 ドルは売られ、株、債券、金などが買われる。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和