今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年7月18日(木) 「ドル円108円を挟んでもみ合い」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 108円台で推移していたドル円は再び下落し107円台後半に。米長期金利の低下を手掛かりにドル売りが進んだが、低調な売買が続き値幅は限定的。
  • ユーロドルは1.12が壁となり小幅に反発。
  • 株式市場は3指数とも揃って続落。米中通商協議の先行きが依然として不透明なことなどが材料視されダウは115ドル安。
  • 住宅関連の指標が予想を下回ったことで債券相場は反発。長期金利は2.04%台へと低下。
  • 金は反発し、原油価格は3日続落。
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6月住宅着工件数 → 125.3万件
6月建設許可件数 → 122.0万件
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ドル/円 107.94 〜 108.32
ユーロ/ドル 1.1200 〜 1.1234
ユーロ/円 121.16 〜 121.48
NYダウ −115.78 → 27,219.85ドル
GOLD +12.10 → 1,423.30ドル
WTI −0.84 → 56.78
米10年国債 −0.057 → 2.045%

本日の注目イベント

  • 豪 豪6月雇用統計
  • 日 6月貿易収支
  • 英 英6月小売売上高
  • 米 7月フィラデルフィア連銀景況指数
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 6月景気先行指標総合指数
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
  • 米 企業決算 → ブラックストーン、マイクロソフト、モルガンスタンレー

ドル円は再び108円を割り込み107円台後半まで下げてきました。ベースと見られるレンジは107−109円ですが、その中でも、108円半ばから上が重いのか、あるいは107円80銭より下が底堅いのか、なかなか判断できない状況が続いています。

昨日のNY市場では6月の住宅着工件数が前月比0.9%減の125.3万件と予想を下回り、金利低下が進んでいる割には伸びていないことが材料視されました。先行指標である建設許可件数も予想を下回っています。住宅市場はFRBの段階的な政策金利引き上げに伴って、昨年1年はほぼ低調な伸びを示していましたが、今年の春先から徐々に回復傾向を見せていました。長期金利が急低下したことで、住宅ローン金利も低下していますが、それでも住宅着工件数が伸びないことにやや意外感が広がり、昨日の債券相場の上昇につながったと見られます。債券が買われ金利が低下したことで、定石通りドル円は売られましたが、昨日は株も売られており、この辺りがこれまでの動きとは異なっています。もっとも、これは一方的に買われすぎていた反動と見ることができ、株価の下落基調が始まったと判断するには時期尚早と言えます。

ベージュブックが公開されましたが、今回のそれは市場への影響はほとんどなかったようです。ベージュブックでは、景気は拡大しているものの、そのペースは緩慢だとして、「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているものの、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」と記されています。これは、先週のパウエル議長の議会証言とも整合していると言えます。

今朝の経済紙に東京株式市場の売買高が2012年のアベノミクス以前の水準に戻りつつあるとの記事がありましたが、為替市場でも低調さは同じようなものです。1日の値幅が出ないことで、売買を手控える投資家が増えていると見られます。足元のドル円は米長期金利の動きとほぼ連動していることから、長期金利が2%台で安定してきたことでドル円の動きも限定的になっています。6月には一時1.93%台まで低下した米長期金利でしたが、再び2%を割り込むようだと、ドル円も107円台半ばを下回る水準が想定されます。ここは、米長期金利の動きを注視するしかありません。本日のドル円は107円60銭〜108円30銭程度と予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
6/13 クドロー国家経済会議委員長 トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 --------
6/14 ロス商務長官 G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 --------
6/18 ドラギECB総裁 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 ユーロドル小幅に下落。
6/19 FOMC声明文 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。
6/24 ロウ・RBA総裁 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。
6/24 カプラン・ダラス連銀総裁 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう --------
7/2 カーニー・BOE総裁 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。
7/7 トランプ大統領 イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) --------
7/10 パウエルFRB議長 貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている。見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼす可能性はある。通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府が扱う多くの政策課題がなお解決されていない。 ドルは売られ、株、債券、金などが買われる。
7/17 ベージュブック 「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているものの、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和