今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年7月22日(月) 「米大幅利下げ観測後退」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は反発し108円目前まで上昇。前日のNY連銀総裁の発言で急速に高まった「0.5%利下げ」観測が後退。ドル円は107円97銭まで買われた後、107円80−90銭で越週。
  • ユーロドルは1.12が底固いものの、上値を追う勢いもなく再び1.1204まで下落。ユーロ円も120円78銭前後まで売られ、前日の安値に並ぶ。
  • 株式市場は反落。「0.5%の利下げ」観測が後退したことに加え、ホルムズ海峡で英国籍石油タンカーが拿捕されたことでダウは68ドル安。ナスダックも60ポイント売られ8200を割り込む。
  • 債券は反落。長期金利は2.05%台へと小幅に上昇。
  • 金は反落し、原油価格は7日ぶりに反発。
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7月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 98.4
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ドル/円 107.59 〜 107.97
ユーロ/ドル 1.1204 〜 1.1239
ユーロ/円 120.78 〜 120.97
NYダウ −68.77 → 27,154.20ドル
GOLD −1.40 → 1,426.70ドル
WTI +0.33 → 55.63ドル
米10年国債 +0.031 → 2.055%

本日の注目イベント

  • 日 黒田日銀総裁講演

昨日の参院選では連立与党が過半数を獲得したものの、憲法改正の発議に必要な3分の2を獲得するには至っていません。消費税引き上げや年金問題が争点の一部でもありましたが、国民の多くはそこを含めて「アベノミクス」を評価しているということになるのでしょう。今後は消費税引き上げ後の経済対策などが打ち出されることになろうかと思いますが、連立与党の基盤が安定したことで、本日の株式市場にとっても「支援材料」になる可能性があります。

中東ホルムズ海峡の緊張がさらに高まってきました。イランの革命防衛隊が英国のタンカーを拿捕した問題で、英国政府はイランに対して「重大な結果」が起こり得ると警告を発し、拿捕された「ステナ・インペロ」を即時解放するよう要求しています。ハント英外相は声明で、英国は来週、さらなる措置を講じると表明し、英国紙によると、イラン資産の凍結を含む外交・経済上の措置を検討しているようです。また英政府は、イランに再度制裁を科すためにEUと国連に働きかける可能性があると報じています。(ブルームバーグ)イランがこれ以上挑発的な行為に出れば、米英が協力して軍事行動に出る可能性も高まってきそうです。

18日のウイリアムズNY連銀総裁の発言を受け、今月末のFOMCでの利下げ幅が「0.5%」になるのではといった見方が急速に高まり、これがドル円を107円台前半まで押し下げましたが、先週末はその見方が急速に後退しています。金利先物市場では、45%以上あった「0.5%利下げの確率」は、足元では14.5%程度まで低下してきました。セントルイス連銀のブラード総裁は、「7月の会合では0.25%の利下げを支持する」と述べ、シカゴ連銀のエバンス総裁と並んで「ハト派」の代表格である、ボストン連銀のローゼングレン総裁は19日CNBCとのインタビューで、「米経済は実際、かなり良好だ。経済が良好である限り、それが継続すれば、緩和は必要はない」と語り、利下げには否定的な姿勢を示しています。今回のFOMCでは、これまでの発言を踏まえると、多くの投票権を有するメンバーが利下げは必要との認識を持っており、利下げは動かないと思われますが、どうやら「0.25%」の利下げで落ち着きそうな気配です。

107円21銭まで売られたドル円は再び107円台後半まで戻ってきました。ただ、依然として上値の重さは意識されます。先週、ドル円は108円37銭前後まで上昇する場面もありましたが、結局上昇は「1時間足」の200時間線を明確に抜けずに抑えられていました。現在その200時間足は108円10−15銭にあります。上値ではまずはこのレベルが意識されると思われます。参院選での連立与党の勝利を受け、今日の日本株がどのような動きをするのか注目されます。予想レンジは、株価の動きにもよりますが、107円40銭〜108円10銭程度とみます。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
6/13 クドロー国家経済会議委員長 トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 --------
6/14 ロス商務長官 G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 --------
6/18 ドラギECB総裁 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 ユーロドル小幅に下落。
6/19 FOMC声明文 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。
6/24 ロウ・RBA総裁 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。
6/24 カプラン・ダラス連銀総裁 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう --------
7/2 カーニー・BOE総裁 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。
7/7 トランプ大統領 イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) --------
7/10 パウエルFRB議長 貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている。見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼす可能性はある。通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府が扱う多くの政策課題がなお解決されていない。 ドルは売られ、株、債券、金などが買われる。
7/17 ベージュブック 「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているものの、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」 --------
7/18 ムニューシン米財務長官 将来に検討することはあり得る問題だが、現時点でのドル政策に変更はない。 --------
7/18 ウイリアムズ・NY連銀総裁 各国・地域の中央銀行は経済に問題が生じている場合は、迅速に行動を起こすべきだ。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/18 クラリダ/FRB副議長 見通しに対する不確実性が高まっており、景気が下落するのを待ってから行動するのは望ましくないと当局は考えている。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/19 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 米経済は実際、かなり良好だ。経済が良好である限り、それが継続すれば、緩和は必要はない。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和