今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年7月25日(木) 「米ナスダック、S&Pが最高値更新」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は午前中に108円を割り込み、107円93銭まで売られたが、その後反発し108円25銭近辺まで上昇。108円を挟む展開が続き、明確な方向感に乏しい。
  • ユーロドルは1.11台前半から半ばで推移し、1.11台定着を試すような動きに。今夜のECB理事会での緩和観測が上値を抑える。
  • 株式市場はまちまち。ダウは売られたものの半導体銘柄が上昇し、ナスダックと、S&P500は最高値を更新。
  • 債券相場は反発し、長期金利は2.04%台へ低下。
  • 金は3日続伸。原油は反落。
*******************
6月新築住宅販売件数 → 64.6万件
*******************
ドル/円 107.93 〜 108.25
ユーロ/ドル 1.1133 〜 1.1156
ユーロ/円 120.36 〜 120.54
NYダウ −79.22 → 27,269.97ドル
GOLD +1.90 → 1,423.60ドル
WTI −0.89 → 55.88ドル
米10年国債 −0.038 → 2.043%

本日の注目イベント

  • 独   独7月ifo景況感指数
  • 欧   ECB政策金利発表
  • 欧   ドラギ・ECB総裁記者会見
  • トルコ トルコ中銀政策金利発表
  • 米   6月耐久財受注
  • 米   新規失業保険申請件数
  • 米   企業決算 → スターバックス、アルファベット、インテル

ドル円は108円25銭近辺が天井の様相を示し、昨日の東京時間でも、その後のNY時間でもこの水準で折り返す展開が続いています。もっとも、下値の方も107円台後半では下げ止まり、方向感に乏しい動きです。本日のECB理事会を皮切りに、来週は日銀の決定会合、さらには月末のFOMCと、主要中銀の金融政策発表を控えており、動きにくいことが背景になっています。特に今回の会合では当局が金融緩和に動くとの観測が強く、市場関係者の関心も高まっています。

その中でもFOMCでの利下げはほぼ100%と、確実視されており、注目は「利下げ幅」とその後、年内にあと何回利下げが見込めるのかという点に集まっています。直近の金利先物市場では「0.3%」の利下げを示唆していますが、個人的には25bpの利下げを予想しています。一部には50bpの利下げを予想する向きも依然としてあるようですが、メンバーの中には利下げそのものに反対の立場の委員もおり、経済データもそこまで景気の悪化を示してはいない中、50bpの利下げ幅はFRBにとってもリスクではないかと思います。またその場合には「市場を納得させうる、それなりの論拠」を示す必要もあり、そうでなければトランプ大統領の圧力に屈したと受け止められるリスクがあります。今回は25bpの利下げを決め、その後年内3回のFOMCで経済データを考慮しながら、1回から2回の利下げを行うというのがメインシナリオかと思います。

ムニューシン米財務長官は24日、CNBCとのインタビューで、「強いドルを信じている。それが力強い米経済や良好な株式相場を表している。そして特に大統領の経済政策によって、米国は他国を上回るペースの経済成長を達成している」と述べ、長期的には強いドルが米経済に有益との考えを示しまた。(ブルームバーグ)トランプ大統領は今月3日のツイッターに、「中国と欧州は大きな為替操作ゲームに興じており、(米国は)同じ事をやるべきだ。さもなければわれわれは今後も間抜けであり続けることになる」と、投稿しており、トランプ大統領がドル高を望まないのは明らかです。トランプ大統領に最も近いと見られるムニューシン氏が、このタイミングで「ドル高容認発言」を行ったことにやや違和感があります。そして発言の最後の部分は、トランプ大統領に対する「忖度」と受け止めていますが、どうでしょう。

イギリスの新しい首相にボリス・ジョンソン氏が就任し、すでに組閣も始まっています。「合意なき離脱」の可能性が高まったと見られながらも、昨日の欧州市場ではポンドドルが100ポイントほど上昇しています。昨日ある会合で、イギリスの大手銀行の為替担当者は、「メイ氏は真面目の人で、常に直球しか投げてこなかったため、全て打ち返された。修正案を3回議会に提案したが、受け入れられなかった。ジョンソン氏はカーブやナックルなどの、くせ球を投げる人だ。合意なき離脱の可能性は高まったが、同時にEUと合意する可能性も高まった。もっとも、くせ玉を投げるだけにデッドボールを与えてしまう可能性もあるが・・・」と、絶妙なたとえで二人の違いを説明していました。

ドル円は、今夜のECB理事会終了までは大きな動きはないと見られます。それも、基本的にはユーロドルの動きに追随する展開になる予想されます。仮に10〜20bpの利下げを決めるようなら、ユーロドルが節目の1.10を割り込み、ドル高が進む可能性があり、ドル円も108円台半ばを試すことになるかもしれません。市場のコンセンサスは、「今回はフォワードガイダンスに徹し、年内に政策金利を10〜20bp引き下げ、来年から資産購入を再開する」といったところです。本日のドル円は107円80銭〜108円50銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
6/13 クドロー国家経済会議委員長 トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 --------
6/14 ロス商務長官 G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 --------
6/18 ドラギECB総裁 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 ユーロドル小幅に下落。
6/19 FOMC声明文 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。
6/24 ロウ・RBA総裁 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。
6/24 カプラン・ダラス連銀総裁 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう --------
7/2 カーニー・BOE総裁 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。
7/7 トランプ大統領 イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) --------
7/10 パウエルFRB議長 貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている。見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼす可能性はある。通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府が扱う多くの政策課題がなお解決されていない。 ドルは売られ、株、債券、金などが買われる。
7/17 ベージュブック 「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているものの、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」 --------
7/18 ムニューシン米財務長官 将来に検討することはあり得る問題だが、現時点でのドル政策に変更はない。 --------
7/18 ウイリアムズ・NY連銀総裁 各国・地域の中央銀行は経済に問題が生じている場合は、迅速に行動を起こすべきだ。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/18 クラリダ/FRB副議長 見通しに対する不確実性が高まっており、景気が下落するのを待ってから行動するのは望ましくないと当局は考えている。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/19 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 米経済は実際、かなり良好だ。経済が良好である限り、それが継続すれば、緩和に必要はない。 --------
7/24 ムニューシン財務長官 強いドルを信じている。それが力強い米経済や良好な株式相場を表している。そして特に大統領の経済政策によって、米国は他国を上回るペースの経済成長を達成している。 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和