今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年7月26日(金) 「ECB緩和策を示唆」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 上値の重かったドル円は米経済指標が良かったことや長期金利の上昇に108円75銭までドルが買われ、2週間ぶりのドル高水準をつける。
  • ECB理事会後のドラギ総裁の発言にユーロドルは乱高下。1.1101まで下げたのち1.1189近辺まで上昇。
  • 株式市場は下落。ドラギECB総裁の発言を受け、長期金利が上昇したことを嫌気した売りが優勢に。ダウは128ドル下落し、他の指数も揃って下落。
  • 債券相場は反落。長期金利は2.08%台へ。
  • 金は反落し、原油価格は小幅に上昇。
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6月耐久財受注    → 2.0%
新規失業保険申請件数 → 20.6万件
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ドル/円 108.08 〜 108.75
ユーロ/ドル 1.1101 〜 1.1188
ユーロ/円 120.05 〜 121.37
NYダウ −128.99 → 27,140.98ドル
GOLD −8.90 → 1,414.70ドル
WTI +0.14 → 56.02ドル
米10年国債 +0.038 → 2.081%

本日の注目イベント

  • 日 7月東京都区部消費者物価指数
  • 米 4−6月GDP(速報値)
  • 米 企業決算 → マクドナルド、ツイッター

事前予想通り、ECBは昨日の理事会で追加利下げや量的緩和策の検討を行っていく方針を決めました。理事会後のドラギ総裁の会見では、その内容を巡りユーロドルが乱高下し、ドル円は欧州と米金利が上昇したことを受け、108円75銭までドル高が進みました。

ドラギ総裁は会見で、「見通しは特に製造業で悪くなる一方だ。製造業が重要な国の見通しも悪化に歯止めがかかっていない」と語った上で、「全ての政策手段を調整する用意がある」と述べています。また緩和政策は、「長期期間、強力な緩和姿勢が必要となる」との認識も示しています。ECBは9月にもマイナス金利のさらなる拡大に踏み切ると見られますが、会見の中でドラギ総裁が、「利下げ幅の議論はなかった」と、ややタカ派的な発言を行ったことで、ユーロが買い戻される場面もありました。ドラギ総裁の強弱の発言を受けて、ユーロドルは1.11割れ目前までユーロ安が進みましたが、その後は大きく反発するなど、乱高下し、ユーロ円も同時に1円を超える値動きを見せました。

ドル円は、予想外の上昇でした。108円25銭前後のマイナーなレジスタンスを抜けただけではなく、108円台半ばも超え、2週間ぶりに108円台後半までドルが買われています。ここからは「日足の雲の下限」に接近します。この雲は厚さもあり、抜け切るには109円台後半までドル高が進む必要があります。抜けないとは言えませんが、それでもこの水準からさらにドルが上昇するには、それなりにインパクトのある材料が不可欠です。一方で、なかなか見る機会のない「月足」チャートでは、長い間108円を挟む展開が続いていることから、ローソク足が雲を下抜けする気配を見せています。昨日の東京時間から欧州時間にかけてはドルの頭が重く、仮に今朝108円前後で帰って来たら、雲を下回っていた可能性もあります。「月足」のため、来週木曜日には雲抜けが示現するのかどうかが判明するでしょう。もし抜ければ、実に2013年1月以来ということになります。

昨日はトルコ中銀の政策金利発表もありました。200ベーシスほどの利下げは予想されていましたが、何と425ベーシスの利下げでした。トルコ中銀は1週間物レポ金利を4.25%引き下げ、19.75%とすることを決めました。トルコは高インフレに苦しんでいましたが、直近のインフレ率は15.7%まで低下してきており、GDPもマイナス成長だったことで、利下げは正当化されますが、引き下げ幅はややサプライズでした。この決定を受け、トルコリラ円も下げましたが、ドル円が上昇したこともあり、その後下げ幅を埋めています。425ベーシスの利下げは、一部にはエルドアン大統領の圧力との見方もあるようです。エルドアン氏は、米金融当局に再三利下げ圧力をかけているトランプ大統領よりも強権で、つい先日、中銀総裁をクビにしています。エルドアン氏が今後さらに利下げ圧力を強めることも予想され、このまま順調にインフレが低下すればいいのですが、高止まりする中で利下げを強行すれば「スタグフレーション」につながる恐れもあり、景気低迷と物価高が同時進行する可能性もあります。リラ円は19円を中心に上下50銭程度で安定しており、昨年8月の「トルコショック」のような事態にはなりにくいと思われますが、戦闘機や戦車など、軍事兵器を巡っては米国との関係が悪化し、ロシアに急接近しています。引き続き政治的リスクと地政学的リスクは高いと見られます。

ドル円は目先の上値のメドは109円でしょう。7月10日にドル高が進んだ際にも、108円99銭までで上昇を抑えられ、109円台回復には失敗しています。本日米国では第2四半期GDP速報値が出ます。「1.8%」と、米中貿易戦争の影響もあり、前期よりも弱いと見られていますが、結果が上振れするようだと、利下げ観測の後退から長期金利が上昇し、ドル円も109円を試すことがないとは言えません。上で述べた「それなりにインパクトのある材料」の一つになるかもしれません。本日のレンジは108円20銭〜109円程度を予想します。

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民法(相続関係)が今年、昭和55年以来約40年ぶりに改正されます。知っておいて便利なのが、相続が開始され、亡くなった人の預金口座が凍結されても、遺産分割協議が終わる前でも預貯金の払い戻しができるようになったことです。筆者も10年ほど前に経験しましたが、預金が引き出せないため葬儀費用などの捻出に苦労しましたが、改正法では今月1日から被相続人預金の一定額を遺産分割前に払い戻せることになりました。払い戻し額は150万円までと制限はありますが、これで相続が開始されても葬儀費用などの面で苦労することが少なくなるのかもしれません。単独で払い戻せる金額は、ざっと相続開始時預貯金額の3分の1に、法定相続人の人数を掛けたものです。詳細は法務省のHPに載っています。ご参考までに。では、良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
6/13 クドロー国家経済会議委員長 トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 --------
6/14 ロス商務長官 G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 --------
6/18 ドラギECB総裁 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 ユーロドル小幅に下落。
6/19 FOMC声明文 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。
6/24 ロウ・RBA総裁 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。
6/24 カプラン・ダラス連銀総裁 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう --------
7/2 カーニー・BOE総裁 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。
7/7 トランプ大統領 イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) --------
7/10 パウエルFRB議長 貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている。見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼす可能性はある。通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府が扱う多くの政策課題がなお解決されていない。 ドルは売られ、株、債券、金などが買われる。
7/17 ベージュブック 「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているものの、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」 --------
7/18 ムニューシン米財務長官 将来に検討することはあり得る問題だが、現時点でのドル政策に変更はない。 --------
7/18 ウイリアムズ・NY連銀総裁 各国・地域の中央銀行は経済に問題が生じている場合は、迅速に行動を起こすべきだ。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/18 クラリダ/FRB副議長 見通しに対する不確実性が高まっており、景気が下落するのを待ってから行動するのは望ましくないと当局は考えている。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/19 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 米経済は実際、かなり良好だ。経済が良好である限り、それが継続すれば、緩和に必要はない。 --------
7/24 ムニューシン財務長官 強いドルを信じている。それが力強い米経済や良好な株式相場を表している。そして特に大統領の経済政策によって、米国は他国を上回るペースの経済成長を達成している。 --------
7/25 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 需要の伸びが十分でなければ、金融政策を一段と緩和して追加的支援を提供する用意がある。 豪ドル円75円台半ばから75円台前半に下落。
7/25 ドラギ・ECB総裁 見通しは特に製造業で悪くなる一方だ。製造業が重要な国の見通しも悪化に歯止めがかかっていない。全ての政策手段を調整する用意がある。 ユーロドル1.1101まで下落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和