今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年7月29日(月) 「米第2四半期GDP2.1%」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 米GDP速報値を受けドル円は小幅に続伸。発表直後に108円83銭までドル高が進んだが、その後は緩やかに下落し、108円70−75銭で越週。
  • ユーロドルも下落し、1.1112前後まで売られたがその後はやや買い戻され、1.11台半ばまで反発。
  • 株式市場は揃って反発。ダウは51ドル高。ナスダックとS&P500は最高値を更新。
  • 債券は小幅に上昇し、長期金利は2.07%台へと低下。
  • 金は反発し、原油は続伸。
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4−6月GDP(速報値) → 2.1%
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ドル/円 108.60 〜 108.83
ユーロ/ドル 1.1112 〜 1.1144
ユーロ/円 120.79 〜 121.13
NYダウ +51.47 → 27,192.45ドル
GOLD +4.60 → 1,419.30ドル
WTI +0.18 → 56.20ドル
米10年国債 −0.011 → 2.070%

本日の注目イベント

  • 英 英6月消費者信用残高
  • 英 英6月 マネーサプライ

注目の米第2四半期GDPは「2.1%」と、前期よりは減速していたものの、市場予想の「1.8%」を上回り、米景気の底堅さを示しました。企業の設備投資と輸出が減少しましたが、個人消費が大幅に増え指数を押し上げました。米中貿易戦争の影響から企業が先行きに慎重な姿勢を見せている一方、株高による資産効果から個人は財布の紐を緩めていることが確認された格好です。発表直後にドル円は108円83銭まで買われましたが、それまで既にドルが買われていたこともあり、上昇は限定的で、109円には届きませんでした。株式市場では、長期金利がやや低下したことでナスダックとS&P500が、共に最高値を更新しています。

ブル−ムバーグによると、トランプ大統領は今週ホワイトハウスで開かれた通商関連の会議で、為替介入の可能性を当面却下したようです。自国・地域の通貨を安い方向に誘導している諸外国についてトランプ大統領は懸念しているが、「だからといってドルを引き下げるという話にはならない」とクドロー国家経済会議(NEC)委員長がCNBとのインタビューで語ったと伝えています。トランプ大統領は中国や欧州が自国通貨を使ってゲームをしており、それが通貨安につながっていると批判しており、「米国も同じ事をやるべきだ」と怒りを表したことがあり、そこからすると、今回の報道はやや違和感があります。今後も、米貿易赤字が劇的に減少しないことが分かれば、再び通貨安批判を口にすることは十分予想され、このリスクは常に意識しておくべきでしょう。

今週は、いよいよ明日からFOMCが開催されます。利下げ幅はどうやら「25bp」で決まりそうです。先週末のGDPでもそうでしたが、米景気は成長スピードが鈍化してはいるものの、リセッションに陥るような状況からは程遠く、の段階で「50bp」の利下げを行う理由は見つけにくいと思います。まして今回は「予防的利下げ」の側面が強く、良好な経済状況の下での、必要以上の大幅な利下げはバブルを醸成することにもつながります。足元の極めて好調な株価の推移からしても、「25bp」が相当かと思います。今回「25bp」引き下げ、その先は経済データ次第というのが、FRBの最も予想されるスタンスでしょう。貿易問題と中国や欧州の景気減速がリスク要因として存在しますが、それがどの程度米景気に影響を与えるかは未知数です。パウエル議長は、当然この辺りのリスクを意識しながらも、景気の推移をしっかりと注視し、必要ならさらに利下げを行うというスタンスを取るのではないかと考えます。

ドル円は108円台を定着させるような動きです。米利下げ観測にも市場が慣れてきており、足元のドル円はどちらかと言えば上値を試しているようにも見えます。ただ厳密に言えば「ニュートラル」に近いといったところでしょう。ここからは、31日の利下げ後の観測が、「今年の利下げが、あと1回なのか2回なのか」と、どちらがより正当化されるのかで、方向が決まってくると思われます。本日のドル円は108円30銭〜109円程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
6/13 クドロー国家経済会議委員長 トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 --------
6/14 ロス商務長官 G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 --------
6/18 ドラギECB総裁 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 ユーロドル小幅に下落。
6/19 FOMC声明文 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。
6/24 ロウ・RBA総裁 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。
6/24 カプラン・ダラス連銀総裁 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう --------
7/2 カーニー・BOE総裁 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。
7/7 トランプ大統領 イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) --------
7/10 パウエルFRB議長 貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている。見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼす可能性はある。通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府が扱う多くの政策課題がなお解決されていない。 ドルは売られ、株、債券、金などが買われる。
7/17 ベージュブック 「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているものの、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」 --------
7/18 ムニューシン米財務長官 将来に検討することはあり得る問題だが、現時点でのドル政策に変更はない。 --------
7/18 ウイリアムズ・NY連銀総裁 各国・地域の中央銀行は経済に問題が生じている場合は、迅速に行動を起こすべきだ。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/18 クラリダ/FRB副議長 見通しに対する不確実性が高まっており、景気が下落するのを待ってから行動するのは望ましくないと当局は考えている。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/19 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 米経済は実際、かなり良好だ。経済が良好である限り、それが継続すれば、緩和に必要はない。 --------
7/24 ムニューシン財務長官 強いドルを信じている。それが力強い米経済や良好な株式相場を表している。そして特に大統領の経済政策によって、米国は他国を上回るペースの経済成長を達成している。 --------
7/25 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 需要の伸びが十分でなければ、金融政策を一段と緩和して追加的支援を提供する用意がある。 豪ドル円75円台半ばから → 75円台前半に下落。
7/25 ドラギ・ECB総裁 見通しは特に製造業で悪くなる一方だ。製造業が重要な国の見通しも悪化に歯止めがかかっていない。全ての政策手段を調整する用意がある。 ユーロドル1.1101まで下落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和