今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年7月30日(火) 「ポンドドル2年4カ月ぶりの安値に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 東京時間に108円42銭まで売られたドルは、海外市場では反発。NYでは、ポンドがドルに対して売られたことでドル円も108円90銭までドル高が進む。
  • ユーロドルはFOMCを前にポジション調整の動きに。ユーロ買い戻しが優勢となり、1.1151前後まで上昇。
  • EUのユンケル委員長がジョンソン英首相との再交渉には応じないと述べたと伝えられ、ポンドドルは大きく下落。一時は1.23台後半まで売られ、2017年3月以来の安値を記録する。
  • 株式市場は前日と反対の動きとなり、ダウは上昇し、ナスダックとS&P500は反落。
  • 債券相場はほぼ横ばい。
  • 金と原油は3日続伸。
ドル/円 108.63 〜 108.90
ユーロ/ドル 1.1114 〜 1.1151
ユーロ/円 120.74 〜 121.30
NYダウ +28.90 → 27,221.35ドル
GOLD +1.10 → 1,420.40ドル
WTI +0.67 → 56.87ドル
米10年国債 −0.0005 → 2.065%

本日の注目イベント

  • 豪 豪6月住宅建設許可件数
  • 日 6月失業率
  • 日 6月鉱工業生産
  • 日 日銀金融政策決定会合
  • 日 黒田日銀総裁記者会見
  • 独 独8月GFK消費者信頼感
  • 独 独7月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 ユーロ圏月消費者信頼感指数(確定値)
  • 米 6月個人所得
  • 米 6月個人支出
  • 米 6月PCEコアデフレータ
  • 米 5月ケース・シラ−住宅価格指数
  • 米 6月中古住宅販売件数成約指数
  • 米 7月消費者信頼感指数
  • 米 米中通商協議(上海、31日まで)

「小幅な利下げでは十分でない」・・・。本日から始まるFOMCを前に、トランプ大統領は金融当局に執拗に圧力をかけています。トランプ氏は、「米金融当局の動きは全て誤っている。小幅な利下げでは十分ではないが、いずれにせよわれわれは勝利する!」とツイートし、「金融当局はあまりに早い段階で<引き上げ>、その幅も大き過ぎた」と加え、さらに「欧州と中国はさらに金利を引き下げ、金融システムに資金を追加供給し、自国の製造業者の製品販売を大いに後押しするだろ」と述べています。(ブルームバーグ)今回のFOMCでは、一時は「50bpの利下げ」機運も高まりましたが、現時点での利下げは「25bp」が広く見込まれています。トランプ氏は、これを暗に「50bpか、それ以上にしろ」と言っているようです。

英国のEUからの離脱を巡り、ポンドドルが大きく売られています。EUのユンケル委員長がジョンソン首相との再交渉には応じない姿勢を示したと伝えられ、「合意なき離脱」の可能性が高まったことや、英経済にも悪影響を与えるとの見方から、ポンドドルは1.2375近辺まで売られました。この水準は、2017年3月以来のポンド安となっています。ドル円もポンドドルで、ドルが買われポンドが売られた影響を受けたと見られます。ドル円は108円90銭まで買われ、今回も109円台回復には至っていませんが、7月10日以来、約3週間ぶりのドル高をつけています。「利下げが確実視されている割にはドルが下がらない」状況が続いており、FOMC前にドルの買い戻しが緩やかに進んでいるようです。

本日は日銀決定会合があり、午前中には政策発表があると思われます。マイナス金利政策のさらなる深堀は今回見送られると予想していますが、4月に決定した「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」というフォワードガイダンスを延長する可能性があります。また、「必要ならちゅうちょなく行動する」との言葉も、引き続き繰り返されると思いますが、実際に行動を起こすとすれば、やはり有事の場合ということで、急激な円高が進んだ場合や、10月に消費税率を引き上げた後、景気が後退した場合などが考えられます。さらに、FRBの金融政策が決まる前というタイミングも、なかなか日銀を動きづらくしている側面もあるようです。米金融政策の変更は世界の金融市場に大きな影響を与えるため、米国の政策がはっきりする前には動きにくいということでしょう。

短期的な動きを示す「1時間足」を見ると、ドル円は雲の下限にサポートされながら、108円90銭まで上昇しています。また移動平均線の並びかたでも、長期の200時間線が一番下にあり、短期の移動平均線が一番上に来ており、短期的な昇傾向は鮮明になっています。この傾向が明日のFOMC後に崩れるのかどうかが焦点です。本日のドル円は108円40銭〜109円10銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
6/2 中国国防相 対話したいならドアは開いている。戦いたいなら戦う。準備はできている。 --------
6/2 王受分中国商務次官 米中貿易協議の中断について米国に全責任がある。今後いかなる議論も誠実さと相互尊重、平等を基礎におく必要がある。全てが合意されるまで、何も合意はない。 --------
6/3 ブラード・セントルイス連銀総裁 インフレ率とインフレ期待を目標に近づけるのを助け、予想より急激な景気減速に備えた保険を確保するためにも、政策金利に下方向の調整を加えることは近く正当化される可能性がある。貿易の抑制が米経済に直接及ぼす影響は比較的小さいが、世界の金融市場を通じて広がる影響はより大きくなる可能性がある。 ドル円108円台前半から107円台後半に。
6/4 パウエルFRB議長 これまでと同様、景気拡大を維持するためわれわれは適切な行動を取る。労働市場は力強く、インフレ率は当局の対称的な2%の目標付近にある。 NYダウが512ドル急騰するなど、米国株はほぼ前面高の展開に。
6/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレがやや低めのため必要に応じて政策を調整する余地はあるが、経済のファンダメンタルズは引き続き底堅い。個人消費も底堅い。これが実際に何を意味するのかわれわれは熟慮する必要がある。 --------
6/5 カプラン・ダラス連銀総裁 (政策金利を引き下げるという)その判断を下すには時期尚早だ。 --------
6/6 ドラギ・ECB総裁 最新の経済指標は世界的な向かい風がユーロ圏経済の見通しを圧迫していることを示している。理事会は不測の事態には行動し、あらゆる措置を取る準備ができている。 --------
6/10 トランプ大統領 中国の習近平国家主席がG20での会談に応じない場合、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆5000億円)に対して直ちに25%の関税を課す可能性がある。 --------
6/10 トランプ大統領 当局は大きな誤りを犯し、私の言うことを聞かなかった。金利を大幅、かつ急速に上げすぎた。米国の金融当局はわれわれにとって、とても有害だ。 --------
6/13 クドロー国家経済会議委員長 トランプ大統領は会談への強い意欲を表明したが、会談はまだ正式に準備されてない。会談が実現しない場合には重大な結果に直面する可能性がある。しかし、大統領は会談をする方を好むだろう。 --------
6/14 ロス商務長官 G20では、よくても前向きに協議を再開するという合意にとどまりそうだ。 --------
6/18 ドラギECB総裁 見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合は追加の刺激策が必要になるだろう。利下げは政策手段の一部であり、資産購入も選択肢だ。 ユーロドル小幅に下落。
6/19 FOMC声明文 「見通しを巡る不確実性が高まった」「これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」 ドル円は108円台半ばから108円割れまで下落。株高、債券高となり長期金利は2.02%台まで低下。
6/24 ロウ・RBA総裁 世界経済は減速しているが、なお、それほど悪くない状態にある。金融緩和が以前ほど有効でない可能性が高い。 豪ドルドル、0.6935近辺から20ポイント程上昇。
6/24 カプラン・ダラス連銀総裁 貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう --------
7/2 カーニー・BOE総裁 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。
7/7 トランプ大統領 イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) --------
7/10 パウエルFRB議長 貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている。見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼす可能性はある。通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府が扱う多くの政策課題がなお解決されていない。 ドルは売られ、株、債券、金などが買われる。
7/17 ベージュブック 「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているものの、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」 --------
7/18 ムニューシン米財務長官 将来に検討することはあり得る問題だが、現時点でのドル政策に変更はない。 --------
7/18 ウイリアムズ・NY連銀総裁 各国・地域の中央銀行は経済に問題が生じている場合は、迅速に行動を起こすべきだ。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/18 クラリダ/FRB副議長 見通しに対する不確実性が高まっており、景気が下落するのを待ってから行動するのは望ましくないと当局は考えている。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/19 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 米経済は実際、かなり良好だ。経済が良好である限り、それが継続すれば、緩和に必要はない。 --------
7/24 ムニューシン財務長官 強いドルを信じている。それが力強い米経済や良好な株式相場を表している。そして特に大統領の経済政策によって、米国は他国を上回るペースの経済成長を達成している。 --------
7/25 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 需要の伸びが十分でなければ、金融政策を一段と緩和して追加的支援を提供する用意がある。 豪ドル円75円台半ばから → 75円台前半に下落。
7/25 ドラギ・ECB総裁 見通しは特に製造業で悪くなる一方だ。製造業が重要な国の見通しも悪化に歯止めがかかっていない。全ての政策手段を調整する用意がある。 ユーロドル1.1101まで下落。
7/29 トランプ大統領 米金融当局の動きは全て誤っている。小幅な利下げでは十分ではないが、いずれにせよわれわれは勝利する! --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和