今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年8月9日(金) 「米株式市場大幅上昇でVIX指数低下」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は上値が重い展開が続いているものの、105円台では底堅い動きを見せ、106円を挟んでもみ合う。105円90銭まで売られたが、株価の上昇に円を買う動きも限定的だった。
  • ユーロドルも1.12を挟む展開に。1.12台前半が抜け切れないものの、ドル安の流れから1.11台半ばもしっかり。
  • 株式市場は3指数とも揃って大幅に上昇。中国人民元の中心レートが元高方向に設定されたことを好感。ダウは371ドル高で取り引きを終える。
  • 債券相場は小幅に上昇。長期金利は1.71%台へ低下。
  • 金は5日ぶりに反落。原油価格は大幅に反発。
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新規失業保険申請件数 → 20.9万件
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ドル/円 105.90 〜 106.24
ユーロ/ドル 1.1177 〜 1.1233
ユーロ/円 118.49 〜 119.17
NYダウ +371.12 → 26,378.19ドル
GOLD −10.10 → 1,509.50ドル
WTI +1.45 → 52.54ドル
米10年国債 −0.017 → 1.717%

本日の注目イベント

  • 日 4−6月GDP(速報値)
  • 中 中国7月消費者物価指数
  • 中 中国7月生産者物価指数
  • 独 独6月貿易収支
  • 独 独6月経常収支
  • 欧 国際エネルギー機関(IEA)月報
  • 英 英4−6月期GDP(速報値)
  • 英 英6月鉱工業生産
  • 英 英6月貿易収支
  • 加 カナダ7月住宅着工件数
  • 加 カナダ6月建設許可件数
  • 加 カナダ7月就業者数
  • 加 カナダ7月失業率

昨日も為替は東京市場の動きに比べNY市場の動きは小幅で、どちらかと言えば少なくともドル円では東京主導の動きになっています。株価は大きく乱高下しているものの、ドル円との相関が強い米長期金利が1.7%台で推移し、限定的になっていることが背景かと思われます。106円20−30銭前後が上値の壁になりつつある一方、105円後半では底堅い動きになっています。

トランプ大統領が再び金融当局に利下げ圧力をかけています。トランプ氏はツイートで、「米国の大統領として、私が非常に強いドルを喜ぶと考えている人もいるだろう。だが私は喜んでいない」とし、「他国と比較した米金融当局の高い金利水準は、ドルを高い水準で維持し、米国の素晴らしい製造企業が競争するのをより難しくしている」と主張しました。具体的はキャタピラー、ボーイング、ディアといった企業名を挙げています。(ブルームバーグ)今回のツイートでは、直接ドル高をけん制してはいませんが、今後米国の貿易赤字が目に見えて減少しない状況になれば、直接的な物言いもありそうです。

トランプ氏がFRBに大幅な利下げを求めていますが、今月はFOMCが開催されないため、9月のFOMCでは利下げの可能性が非常に高いと予想されます。それも、先月のように25bpの利下げ幅ではなく、50bpの可能性もあります。今朝時点での利下げ確率は25bpが「66.2%」で、50bpも「33.8%」あります。9月の会合では利下げがあるかどうかではなく、利下げ幅が問題なのかもしれません。インドやタイが利下げを行い、ニュージーランドは予想を上回る50bpの利下げを行うなど、世界景気の下振れ予測を理由に、多くの国が利下げ競争の波に巻き込まれています。加えて、執拗なまでのホワイトハウスからの利下げ圧力もあり、パウエル氏率いるFRBもある意味、「外堀を埋められた」格好です。従って、仮に9月の会合で50bpの利下げを断行したとしても、トランプ氏の圧力に屈したとの評価は避けられるような気もします。9月の会合はFOMCが17−18日で、日銀が18−19日となっており、次回は日銀にとっても「相手の手の内」が見えるため、動きやすいと考えられます。まだ1カ月以上も先の話ですが、世界の多くの中銀が利下げ競争の流れに引き込まれている状況の中、金融・商品市場に最も影響力のあるFOMCの決定は、今後のドル円を予想する上ではカギになります。

本稿執筆時(6時30分)にはドル円がスルスルと下落し、105円72銭前後まで落ちてきました。米国が中国ファーウェイとの取り引き再開のライセンス決定を先送りしたとの報道で、NYのクローズからはやや円高方向に振れています。米国株が大きく反発していることから、ドル円も急激に円高が進む可能性は低いと思いますが、円高に弱い日本株からすると、米国株ほど日経平均株価は上昇しないのかもしれません。今朝の株価がマイナスで始まるようだと、前日記録した105円50銭を再度試しに行く可能性もあります。なかなかドルが反転するきっかけがつかめない状況が続いています。

本日のドル円は105円30銭〜106円30銭程度と予想します。

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今月に入って米国では銃乱射事件で29人の尊い命が奪われました。この銃乱射事件の背景は増悪犯罪(ヘイトクライム)の可能性が高いと警察では見ているようですが、それは、今全米で吹き荒れている「白人至上主義」と無関係ではないようです。テキサス州の商業施設で20人、オハイオ州の繁華街で9人が先週土曜日、日曜日に銃の犠牲になっています。米国では今年だけでも7月時点で銃による死者の数が、すでに8000人を大きく超え、9000人に迫るところまで増えています。日本の昨年1年間の交通事故による死亡者の数が3532人でしたので、その数がいかに大きいか分かります。それでも、多くの米国民は「銃を持つことは憲法で保障された国民の権利」と言うのでしょう・・・・・。そして、「銃は自分を守るために持つ」と声高に主張します。上記2つの事件の犯人も自分を守るために持っていた銃で、人をあやめてしまいました。「Guns don’t kill people. People kill people 」(銃は人を殺さない。人が人を殺すのだ)という全米ライフル協会が何度も繰り返すこの文言も、筆者には詭弁に聞こえます。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/2 カーニー・BOE総裁 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。
7/7 トランプ大統領 イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) --------
7/10 パウエルFRB議長 貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている。見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼす可能性はある。通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府が扱う多くの政策課題がなお解決されていない。 ドルは売られ、株、債券、金などが買われる。
7/17 ベージュブック 「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているものの、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」 --------
7/18 ムニューシン米財務長官 将来に検討することはあり得る問題だが、現時点でのドル政策に変更はない。 --------
7/18 ウイリアムズ・NY連銀総裁 各国・地域の中央銀行は経済に問題が生じている場合は、迅速に行動を起こすべきだ。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/18 クラリダ/FRB副議長 見通しに対する不確実性が高まっており、景気が下落するのを待ってから行動するのは望ましくないと当局は考えている。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/19 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 米経済は実際、かなり良好だ。経済が良好である限り、それが継続すれば、緩和に必要はない。 --------
7/24 ムニューシン財務長官 強いドルを信じている。それが力強い米経済や良好な株式相場を表している。そして特に大統領の経済政策によって、米国は他国を上回るペースの経済成長を達成している。 --------
7/25 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 需要の伸びが十分でなければ、金融政策を一段と緩和して追加的支援を提供する用意がある。 豪ドル円75円台半ばから → 75円台前半に下落。
7/25 ドラギ・ECB総裁 見通しは特に製造業で悪くなる一方だ。製造業が重要な国の見通しも悪化に歯止めがかかっていない。全ての政策手段を調整する用意がある。 ユーロドル1.1101まで下落。
7/29 トランプ大統領 米金融当局の動きは全て誤っている。小幅な利下げでは十分ではないが、いずれにせよわれわれは勝利する! --------
7/30 日銀金融政策決定会合声明文 「物価安定に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」 --------
7/31 パウエルFRB議長 「この利下げの本質は、長期にわたる一連の利下げの始まりではない」と、「サイクル半ばでの政策調整だとわれわれは捉えている」 ドル円は50ポイントほどドル高に、株価は大幅に売られ、ダウは一時400ドルを超える下落に。
8/5 中国人民銀行 「一国主義や貿易保護主義、および対中追加関税などの影響で元相場は今日7元を突破した」人民元安が進み、声明文で。 ドル円106円台半ばから105円台後半へ。日経平均株価500円を超える下落。
8/5 トランプ大統領 「為替操作だ。中国は自国通貨を歴史的な安値付近にまで押し下げた。これは<為替操作>と呼ばれる。Fedよ聞いているか?これは重大な違反で、時とともに中国の力を大きく弱めることになる」 --------
8/5 ムニューシン財務長官 「中国の直近の措置が作り出した不公正な競争上の優位を是正するため国際通貨基金(IMF)と協力する」米財務省が中国を為替操作国に認定したことについてコメント。 ドル円106円近辺から105円台半ばまで下落。
8/6 トランプ大統領 「(FRBの)無能ぶりは見るに堪えない。いとも簡単に対処できるのに。いずれにせよ、われわれは勝利する。当局はより大幅かつ早急な利下げを行い、そのひどい量的引き締めを即刻停止しなくてはならない」 --------
8/8 トランプ大統領 「米国の大統領として、私が非常に強いドルを喜ぶと考えている人もいるだろう。だが私は喜んでいない。他国と比較した米金融当局の高い金利水準は、ドルを高い水準で維持し、米国の素晴らしい製造企業が競争するのをより難しくしている」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和