2019年8月14日(水) 「ドル円107円手前まで急反発」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 105円06銭まで売られたドル円は急反発。トランプ政権が中国に課す関税を巡り、一部品目を12月15日まで延期することを発表したことで、106円98銭までドル高に振れる。
- ユーロドルはドル円ほどの動意は見せず、引き続き1.12を挟んでもみ合う。
- 株式市場は急反発。米中貿易戦争が緩和されるとの見方に、ダウは一時500ドルを超える上昇を見せ、382ドル高で取引きを終える。アップルなど、中国関連銘柄が上昇を牽引。
- 債券相場はリスク回避の動きが後退し反落。長期金利は1.7%台を回復。
- リスク回避モードが後退したことで、金は売られ、原油は大幅に続伸。
7月消費者物価指数 → 0.3%
****************
| ドル/円 | 105.16 〜 106.98 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1171 〜 1.1229 |
| ユーロ/円 | 117.97 〜 119.57 |
| NYダウ | +382.20 → 26,279.91ドル |
| GOLD | −3.10 → 1,514.10ドル |
| WTI | +2.17 → 57.16ドル |
| 米10年国債 | +0.058 → 1.703% |
本日の注目イベント
- 豪 豪8月ウエストパック消費者信頼感指数
- 中 中国7月小売売上高
- 中 中国7月鉱工業生産
- 独 独4−6月期GDP(速報値)
- 欧 ユーロ圏4−6月期GDP(速報値)
- 欧 ユーロ圏6月鉱工業生産
- 英 英7月消費者物価指数
- 米 7月輸入物価指数
《本日も日本株の下落に伴ってドル円は105円方向を試すことが予想されます。ただ、105円が大きな節目になる可能性もあります。気になるのは、ここにきて筆者も含め多くの専門家や投機筋が、円高がさらに進むと予想し始めているという点です。105円前後が当面の底値になる可能性も、上記理由からわずかですがないとは言えません。注意が必要です。》
この文章は昨日の「アナリストレポート」の最後の部分です。日本が祝日だった12日の欧州市場でドル円は105円05銭を付けた後反発し、昨日の夕方7時過ぎにもほぼ同じ水準である105円06銭までドルが売られ、その後驚きのドル急騰でした。105円前後を2度アタックして跳ね返されたことで、やはり、105円前後は注意を要する水準だったと言えます。もっとも、ここまでの反発を予想できた人はいないはずで、これも「トランプリスク」のなせる業(わざ)です。
トランプ政権は中国からの輸入品に賦課する10%の追加関税について、一部品目に関して発動を9月1日から12月15日まで延期すると発表しました。品目にはエレクトロニクス製品や衣服などが含まれており、延期した理由は「クリスマスシーズンに影響が出るから」ということのようです。「開いた口がふさがらない」とは、このことです。それならば、8月1日に「中国からの製品3000億ドル(約32兆1000億円)に9月1日から10%の関税をかける」と発表しなければよかったわけです。「最初に相手を脅しておいて、相手の出方を見ながら制裁を緩めていく」という、トランプ流のディールです。当初9月1日をデッドラインとしたものの、これまでに中国側が譲歩する気配もなく、むしろ農産物の大量輸入を取り消すなど、攻勢に出てきたことが「想定外」だったのかもしれません。
今回の「発動」、「延期」で、金融市場は大混乱し、かなりの損出をこうむった投資家もいると思われます。7月末のドル円は109円でした。そこから105円05銭まで約4円ドル安が進み、NYダウは、2万7198ドルから12日には2万5897ドルまで売られ、日経平均株価も同じような展開です。米長期金利は、2.05%台から一時は1.59%台まで急落し、この間金価格は100ドルも上昇しています。このように、8月1日の突然の発表を受け、金融・商品市場は大混乱させられました。米国の大統領として、もう少し慎重さが求められます。仮に2020年の大統領選に勝つようなことがあれば、さらにあと4年このような事態が起こる可能性があるということです。
ドル円はこの発表を受け、105円台前半から107近辺まで一気に買い戻しが進みましたが、ドル円との相関が高い米長期金利の上昇率からすれば、買われ過ぎだったと言えます。その証拠に、ユーロドルでは、それほどドル高は進んでいません。ドル円のショートが溜まっていたということでしょうが、ストップが巻き込まれたのと、お盆休みのため、参加者が少なかったことも理由として挙げられそうです。株式市場でも中国関連銘柄などが大きく上昇しており、ナスダック指数は、前日比で約1.95%も上昇しました。
問題は、これでドル円も105円前後で「当面の底値を確認」したのかどうかという点です。結論から言えば、まだ底値を打ったとは言えないと考えています。日足チャートを見る限りまだそこまでの転換は示唆していません。「MACD」では「マックD」と「シグナル」がちょうど交わったところで、ドル円が天井を付けたようで、まだ「ゴールデンクロス」は示現していません。また、これでFRBによる政策金利引き下げスタンスが変わるものでもありません。このように考えると、現時点ではまだドル安の流れは変わっていないと考えます。
本日は日本株の反発具合にもよりますが、107円台を回復するようだと、今度はドルの反転に注意する必要が生じますが、それまでにはまだ時間が必要でしょう。本日の予想レンジは106円〜107円といったところでしょうか。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/2 | カーニー・BOE総裁 | 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 | ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。 |
| 7/7 | トランプ大統領 | イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) | -------- |
| 7/10 | パウエルFRB議長 | 貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている。見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼす可能性はある。通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府が扱う多くの政策課題がなお解決されていない。 | ドルは売られ、株、債券、金などが買われる。 |
| 7/17 | ベージュブック | 「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているものの、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」 | -------- |
| 7/18 | ムニューシン米財務長官 | 将来に検討することはあり得る問題だが、現時点でのドル政策に変更はない。 | -------- |
| 7/18 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 各国・地域の中央銀行は経済に問題が生じている場合は、迅速に行動を起こすべきだ。 | ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。 |
| 7/18 | クラリダ/FRB副議長 | 見通しに対する不確実性が高まっており、景気が下落するのを待ってから行動するのは望ましくないと当局は考えている。 | ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。 |
| 7/19 | ローゼングレン・ボストン連銀総裁 | 米経済は実際、かなり良好だ。経済が良好である限り、それが継続すれば、緩和に必要はない。 | -------- |
| 7/24 | ムニューシン財務長官 | 強いドルを信じている。それが力強い米経済や良好な株式相場を表している。そして特に大統領の経済政策によって、米国は他国を上回るペースの経済成長を達成している。 | -------- |
| 7/25 | ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 | 需要の伸びが十分でなければ、金融政策を一段と緩和して追加的支援を提供する用意がある。 | 豪ドル円75円台半ばから → 75円台前半に下落。 |
| 7/25 | ドラギ・ECB総裁 | 見通しは特に製造業で悪くなる一方だ。製造業が重要な国の見通しも悪化に歯止めがかかっていない。全ての政策手段を調整する用意がある。 | ユーロドル1.1101まで下落。 |
| 7/29 | トランプ大統領 | 米金融当局の動きは全て誤っている。小幅な利下げでは十分ではないが、いずれにせよわれわれは勝利する! | -------- |
| 7/30 | 日銀金融政策決定会合声明文 | 「物価安定に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」 | -------- |
| 7/31 | パウエルFRB議長 | 「この利下げの本質は、長期にわたる一連の利下げの始まりではない」と、「サイクル半ばでの政策調整だとわれわれは捉えている」 | ドル円は50ポイントほどドル高に、株価は大幅に売られ、ダウは一時400ドルを超える下落に。 |
| 8/5 | 中国人民銀行 | 「一国主義や貿易保護主義、および対中追加関税などの影響で元相場は今日7元を突破した」人民元安が進み、声明文で。 | ドル円106円台半ばから105円台後半へ。日経平均株価500円を超える下落。 |
| 8/5 | トランプ大統領 | 「為替操作だ。中国は自国通貨を歴史的な安値付近にまで押し下げた。これは<為替操作>と呼ばれる。Fedよ聞いているか?これは重大な違反で、時とともに中国の力を大きく弱めることになる」 | -------- |
| 8/5 | ムニューシン財務長官 | 「中国の直近の措置が作り出した不公正な競争上の優位を是正するため国際通貨基金(IMF)と協力する」米財務省が中国を為替操作国に認定したことについてコメント。 | ドル円106円近辺から105円台半ばまで下落。 |
| 8/6 | トランプ大統領 | 「(FRBの)無能ぶりは見るに堪えない。いとも簡単に対処できるのに。いずれにせよ、われわれは勝利する。当局はより大幅かつ早急な利下げを行い、そのひどい量的引き締めを即刻停止しなくてはならない」 | -------- |
| 8/8 | トランプ大統領 | 「米国の大統領として、私が非常に強いドルを喜ぶと考えている人もいるだろう。だが私は喜んでいない。他国と比較した米金融当局の高い金利水準は、ドルを高い水準で維持し、米国の素晴らしい製造企業が競争するのをより難しくしている」 | -------- |



