今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2019年8月19日(月) 「ドル円106円台半ばでもみ合い」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は小幅に上昇したものの、106円43銭で上げ止まる。中国とドイツが景気対策を検討しているとの報道にリスクがやや後退。
  • ユーロドルは小幅に水準を下げ、1.1066まで下落。
  • 株式市場は大幅に続伸。中国とドイツの景気対策報道を好感しダウは306ドル、ナスダックも129ポイント上昇。
  • 債券相場は反落。長期金利は1.55%台へと上昇。
  • ドルが買われたことで金は反落。原油は3日ぶりに反発。
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7月住宅着工件数 → 119.1万件
7月建設許可件数 → 133.6万件
8月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 92.1
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ドル/円 106.20 〜 106.43
ユーロ/ドル 1.1066 〜 1.1107
ユーロ/円 117.57 〜 118.16
NYダウ +306.62 → 25,886.01ドル
GOLD −7.60 → 1,523.60ドル
WTI +0.40 → 54.87ドル
米10年国債 +0.027 → 1.554%

本日の注目イベント

  • 日 7月貿易収支
  • 欧 ユーロ圏6月経常収支
  • 欧 ユーロ圏7月消費者物価指数(改定値)

ドル円は概ね106円台で推移しています。上値は重いものの、106円割れから105円台半ばではドル買い意欲も強く、依然としてドルの下落リスクの方が高いとは思いますが次の材料を待つ展開になっています。その次の材料は、恐らく今週末にはやってきそうです。ワイオミング州「ジャクソンホール」で行われる、カンザス・シティー連銀恒例の、シンポジュームが今年も世界中の注目を集めることになりそうです。

このシンポジュームには世界中から中銀総裁や、エコノミスト、企業のトップなどが集まり、景気や金融政策などについて議論をするものです。FRBは先週、この会合にパウエル議長が参加し、米国東部時間23日(金)の10時から「金融政策への挑戦」(Challenges for Monetary Policy)と題して、講演を行うと発表しています。また、クオーレ・副議長も、現地時間20日(火)午後4時にソルトレーク・シティーで講演を行うことも発表しています。

毎年8月は材料に乏しく、それだけに「ジャクソンホール」での経済シンポジュームは注目されてきましたが、今回はこれまでになく注目度が高いと思われます。先月末のFOMCでは市場予想通り、25bpの利下げを決めましたが、その後の記者会見でパウエル議長の放った言葉が予想外に「タカ派寄り」であったことを記憶している方も多いのではないかと思いますが、議長は「今回の利下げが長期的な利下げサイクルの始まりではない」と、市場の前のめりの利下げ観測をけん制する発言を行いました。ドル円はこの発言をきっかけに、利下げがあったにも関わらず109円まで上昇しました。タイミングが悪いことに、トランプ大統領が中国製品3000億ドルに対する制裁関税第4弾を唐突に発表したのが翌日8月1日でした。ドル円はこの日以降ジリジリと下げ、105円台半ばまで下落したことは、ご存知の通りです。

このような経緯があった中で、今回パウエル議長の講演が行われるわけです。9月のFOMCでの利下げもほぼ確実視されていますが、問題は「利下げ」ではなく「利下げ幅」です。トランプ大統領やクドロー米国家経済委員会(NEC)委員長などは、相変わらずFRBに対して利下げ圧力をかけ続けています。一方で、出口の見えない米中貿易戦争の影響もあり、株式市場では先週ダウが今年最大の下げ幅となる800ドルも下落するなど、混乱が続いています。また、経済データでも景気の悪化を示す指標も散見され、先週には10年半ぶりに「逆イールド」が発生するなど、もはや「外堀は埋められた」格好になっています。「ジャクソンホール」での講演では、少なくとも「タカ派寄り」の発言はないものと予想しています。政治的圧力に屈することはないとしても、今後も「FRBが利下げスタンスを維持している」という事実を、鮮明に市場に印象付ける必要があると考えます。従って、個人的には9月のFOMCで50bpの利下げを実施すると予想しています。

先週トランプ氏は、近いうちに習近平主席と電話会談を行うことをツイートしていましたが、クドローNEC委員長は、「今後1週間から10日のうちに電話会談を行う」ことを明らかにしています。トランプ氏も、「米国は中国とうまくやっており、話をしている」と述べており、協議がうまくいけば中国側を米国に招いて閣僚協議を行う計画があることも発表しています。また、トランプ氏に近いナバロ大統領補佐官は「力強い経済が2020年を通じて、またそれ以降も続く」とABCテレビの番組で語り、金融政策についても「パウエル議長は鏡に映った自分の姿を見て、『私は政策金利を早く引き上げ過ぎた』と言うべきだ」とあらためてパウエル氏を批判していました。(ブルームバーグ)

本日のドル円はドルの上値がどこまであるのかを確認する動きになりそうです。引き続き値を飛ばす可能性もあるので注意は必要です。レンジは106円〜106円80銭程度を予想します。「8時間足」の雲の下限が106円85銭前後にあります。まずは、この辺りが意識されそうです。

都合により今週、20日(火)と23日(金)は「アナリストレポート」をお休みにさせて頂きます。ご迷惑をおかけいたしますが、宜しくお願い申し上げます。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/2 カーニー・BOE総裁 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。
7/7 トランプ大統領 イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) --------
7/10 パウエルFRB議長 貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている。見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼす可能性はある。通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府が扱う多くの政策課題がなお解決されていない。 ドルは売られ、株、債券、金などが買われる。
7/17 ベージュブック 「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているものの、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」 --------
7/18 ムニューシン米財務長官 将来に検討することはあり得る問題だが、現時点でのドル政策に変更はない。 --------
7/18 ウイリアムズ・NY連銀総裁 各国・地域の中央銀行は経済に問題が生じている場合は、迅速に行動を起こすべきだ。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/18 クラリダ/FRB副議長 見通しに対する不確実性が高まっており、景気が下落するのを待ってから行動するのは望ましくないと当局は考えている。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/19 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 米経済は実際、かなり良好だ。経済が良好である限り、それが継続すれば、緩和に必要はない。 --------
7/24 ムニューシン財務長官 強いドルを信じている。それが力強い米経済や良好な株式相場を表している。そして特に大統領の経済政策によって、米国は他国を上回るペースの経済成長を達成している。 --------
7/25 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 需要の伸びが十分でなければ、金融政策を一段と緩和して追加的支援を提供する用意がある。 豪ドル円75円台半ばから → 75円台前半に下落。
7/25 ドラギ・ECB総裁 見通しは特に製造業で悪くなる一方だ。製造業が重要な国の見通しも悪化に歯止めがかかっていない。全ての政策手段を調整する用意がある。 ユーロドル1.1101まで下落。
7/29 トランプ大統領 米金融当局の動きは全て誤っている。小幅な利下げでは十分ではないが、いずれにせよわれわれは勝利する! --------
7/30 日銀金融政策決定会合声明文 「物価安定に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」 --------
7/31 パウエルFRB議長 「この利下げの本質は、長期にわたる一連の利下げの始まりではない」と、「サイクル半ばでの政策調整だとわれわれは捉えている」 ドル円は50ポイントほどドル高に、株価は大幅に売られ、ダウは一時400ドルを超える下落に。
8/5 中国人民銀行 「一国主義や貿易保護主義、および対中追加関税などの影響で元相場は今日7元を突破した」人民元安が進み、声明文で。 ドル円106円台半ばから105円台後半へ。日経平均株価500円を超える下落。
8/5 トランプ大統領 「為替操作だ。中国は自国通貨を歴史的な安値付近にまで押し下げた。これは<為替操作>と呼ばれる。Fedよ聞いているか?これは重大な違反で、時とともに中国の力を大きく弱めることになる」 --------
8/5 ムニューシン財務長官 「中国の直近の措置が作り出した不公正な競争上の優位を是正するため国際通貨基金(IMF)と協力する」米財務省が中国を為替操作国に認定したことについてコメント。 ドル円106円近辺から105円台半ばまで下落。
8/6 トランプ大統領 「(FRBの)無能ぶりは見るに堪えない。いとも簡単に対処できるのに。いずれにせよ、われわれは勝利する。当局はより大幅かつ早急な利下げを行い、そのひどい量的引き締めを即刻停止しなくてはならない」 --------
8/8 トランプ大統領 「米国の大統領として、私が非常に強いドルを喜ぶと考えている人もいるだろう。だが私は喜んでいない。他国と比較した米金融当局の高い金利水準は、ドルを高い水準で維持し、米国の素晴らしい製造企業が競争するのをより難しくしている」 --------
8/14 ラード・セントルイス連銀総裁 「失業率は50年ぶりの低水準に近い。インフレ率は低位で安定している。やや低過ぎだと私は主張してきたが、基本的には低位安定だ。米景気はリセッションではない。よって、将来を戦略的に考えるのに適した時期だ」 --------
8/14 トランプ大統領 「スプレッド(利回り差)はあまりに大きく、何も分かっていない。パウエル議長とFRBに他国は感謝している。ドイツなど多くの国はゲームに興じている!クレージーな逆イールドカーブ!われわれは簡単に大きな報酬と利益を手に入れるはずなのに、FRBがわれわれの妨げになっている。われわれは勝つだろう」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和