2019年8月26日(月) 「ドル円早朝に105円を割り込む」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は急落。ジャクソンホールでのパウエル議長の講演には反応薄だったものの、米中貿易戦争がさらに激化したことで、ドル円は105円26銭まで下落。
- ユーロドルでもドル安が進んだが限定的。1.1153までユーロが買われる。
- 株式市場は急落。トランプ大統領が中国への関税引き上げを発表したことでダウは600ドルを超える下げに。
- 債券相場は上昇。長期金利は1.53%台へ低下。
- 再びリスク回避の流れが強まったことで金は大幅高。一方原油価格は大幅安。
| ドル/円 | 105.26 〜 106.73 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1051 〜 1.1153 |
| ユーロ/円 | 117.15 〜 118.02 |
| NYダウ | −623.34 → 25,628.90ドル |
| GOLD | +29.10 → 1,537.60ドル |
| WTI | −1.18 → 54.17ドル |
| 米10年国債 | −0.078 → 1.535% |
本日の注目イベント
- 独 独8月ifo景況感指数
- 欧 G7(仏ビアリッツ、最終日)
- 英 カーニー・BOE総裁講演
- 米 7月耐久財受注
ドル円は先週末のNY市場で、一気に105円台前半まで下げました。注目されたジャクソンホールでのパウエル議長の講演では、利下げは示唆したものの、今後の利下げスタンスの継続には触れず、ややタカ派的だった印象です。 議長は、「成長持続へ適切な行動を取る」と発言したものの、一方では米中貿易問題にも言及し、「金融政策は個人消費や設備投資に働きかける強力な手段だが、国際貿易のために確立された規則書にはならない」とし、「政策対応の見本となるような先例がない」と、激化する貿易戦争に対して、金融政策では限界があることに触れていました。
パウエル議長が懸念するように、米中貿易戦争はさらに激化し、泥沼化してきたといった状況です。中国は23日、米国の中国に対する制裁関税第4弾に対抗するため、米国製品750億ドル(7870億円)相当に関税をかけると発表しました。これに対してトランプ氏は「われわれに中国は必要ない」とし、「米国企業には中国からの生産移管を命じる」と投稿し、その後に中国製品に対する関税引き上げを発表しています。具体的には、これまですでに25%の関税を適用している2500億ドル相当に対して30%に引き上げ、さらに9月1日から10%関税適用を予定している1100億ドルに対して15%に引き上げ、自国のクリスマス商戦を懸念して、12月15日まで延期した1600億ドル相当に対する10%の関税を15%に引き上げることを発表しましたこれで中国からの輸入品ほぼ全てに対して15〜30%の関税が課せられることになります。まさに「タリフマン」との異名と取るに相応しい所業と言えます。
米中貿易戦争が一段と激しくなる一方、フランスで行われている「G7」では日米首脳会談が行われ、貿易交渉が基本合意に至っています。細部についてはこれから詰めるとして、9月の国連総会には日米首脳が署名することになったようです。米中貿易問題とは対照的な動きです。
今回の急激な円高は、7月末から円高が進んだ状況によく似ています。7月末にはFRBが25bpの利下げを決め、パウエル議長が利下げは長期的なサイクルの始まりではないと述べたことから、ドル円は109円まで円安が進みました。ただその翌日トランプ氏が突然中国への関税適用を発表し、これをきっかけに105円台まで円高が進んだ経緯があります。今回も、ジャクソンホールでのパウエル氏の講演を期待はずれだと批判をし、その後に関税引き上げを発表しています。トランプ氏は、関税引き上げを発表すれば米国株が大きく下がることは百も承知しており、株価が下がることで、FRBに圧力を加えているのではないかと思えます。「株価の下落はFRBが金利を下げないからだ」・・・・そう言っているようです。
ドル円は早朝にすでに105円を割り込み、104円70銭前後までドル安が進みましたが、その後再びドル売りが加速し、本稿執筆時点では104円46銭まで円高が進み、104円台が常態化しそうな気配です。104円台半ばまで円高が進んだことで、今年1月3日の「フラッシュクラッシュ」を除外すれば、昨年3月26日に記録した円の最高値を抜いています。本日の日経平均株価は、米株の大幅下落と急激な円高で大きく売れると予想されます。 株価の大幅安にともなって円高が進むことも予想され、今週はドル円がどこまで下げるのかを見極めることになりそうです。本日は朝から荒っぽい動きが続いています。値幅は上下どちらにも大きく動きます。予想レンジは、104円20銭〜105円20銭といったところでしょうか。日本株の動きにも注目です。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/2 | カーニー・BOE総裁 | 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 | ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。 |
| 7/7 | トランプ大統領 | イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) | -------- |
| 7/10 | パウエルFRB議長 | 貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている。見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼす可能性はある。通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府が扱う多くの政策課題がなお解決されていない。 | ドルは売られ、株、債券、金などが買われる。 |
| 7/17 | ベージュブック | 「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているものの、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」 | -------- |
| 7/18 | ムニューシン米財務長官 | 将来に検討することはあり得る問題だが、現時点でのドル政策に変更はない。 | -------- |
| 7/18 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 各国・地域の中央銀行は経済に問題が生じている場合は、迅速に行動を起こすべきだ。 | ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。 |
| 7/18 | クラリダ/FRB副議長 | 見通しに対する不確実性が高まっており、景気が下落するのを待ってから行動するのは望ましくないと当局は考えている。 | ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。 |
| 7/19 | ローゼングレン・ボストン連銀総裁 | 米経済は実際、かなり良好だ。経済が良好である限り、それが継続すれば、緩和に必要はない。 | -------- |
| 7/24 | ムニューシン財務長官 | 強いドルを信じている。それが力強い米経済や良好な株式相場を表している。そして特に大統領の経済政策によって、米国は他国を上回るペースの経済成長を達成している。 | -------- |
| 7/25 | ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 | 需要の伸びが十分でなければ、金融政策を一段と緩和して追加的支援を提供する用意がある。 | 豪ドル円75円台半ばから → 75円台前半に下落。 |
| 7/25 | ドラギ・ECB総裁 | 見通しは特に製造業で悪くなる一方だ。製造業が重要な国の見通しも悪化に歯止めがかかっていない。全ての政策手段を調整する用意がある。 | ユーロドル1.1101まで下落。 |
| 7/29 | トランプ大統領 | 米金融当局の動きは全て誤っている。小幅な利下げでは十分ではないが、いずれにせよわれわれは勝利する! | -------- |
| 7/30 | 日銀金融政策決定会合声明文 | 「物価安定に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」 | -------- |
| 7/31 | パウエルFRB議長 | 「この利下げの本質は、長期にわたる一連の利下げの始まりではない」と、「サイクル半ばでの政策調整だとわれわれは捉えている」 | ドル円は50ポイントほどドル高に、株価は大幅に売られ、ダウは一時400ドルを超える下落に。 |
| 8/5 | 中国人民銀行 | 「一国主義や貿易保護主義、および対中追加関税などの影響で元相場は今日7元を突破した」人民元安が進み、声明文で。 | ドル円106円台半ばから105円台後半へ。日経平均株価500円を超える下落。 |
| 8/5 | トランプ大統領 | 「為替操作だ。中国は自国通貨を歴史的な安値付近にまで押し下げた。これは<為替操作>と呼ばれる。Fedよ聞いているか?これは重大な違反で、時とともに中国の力を大きく弱めることになる」 | -------- |
| 8/5 | ムニューシン財務長官 | 「中国の直近の措置が作り出した不公正な競争上の優位を是正するため国際通貨基金(IMF)と協力する」米財務省が中国を為替操作国に認定したことについてコメント。 | ドル円106円近辺から105円台半ばまで下落。 |
| 8/6 | トランプ大統領 | 「(FRBの)無能ぶりは見るに堪えない。いとも簡単に対処できるのに。いずれにせよ、われわれは勝利する。当局はより大幅かつ早急な利下げを行い、そのひどい量的引き締めを即刻停止しなくてはならない」 | -------- |
| 8/8 | トランプ大統領 | 「米国の大統領として、私が非常に強いドルを喜ぶと考えている人もいるだろう。だが私は喜んでいない。他国と比較した米金融当局の高い金利水準は、ドルを高い水準で維持し、米国の素晴らしい製造企業が競争するのをより難しくしている」 | -------- |
| 8/14 | ラード・セントルイス連銀総裁 | 「失業率は50年ぶりの低水準に近い。インフレ率は低位で安定している。やや低過ぎだと私は主張してきたが、基本的には低位安定だ。米景気はリセッションではない。よって、将来を戦略的に考えるのに適した時期だ」 | -------- |
| 8/14 | トランプ大統領 | 「スプレッド(利回り差)はあまりに大きく、何も分かっていない。パウエル議長とFRBに他国は感謝している。ドイツなど多くの国はゲームに興じている!クレージーな逆イールドカーブ!われわれは簡単に大きな報酬と利益を手に入れるはずなのに、FRBがわれわれの妨げになっている。われわれは勝つだろう」 | -------- |
| 8/19 | トランプ大統領 | 「米政策金利はかなり短期間に少なくとも100bp引き下げられるべきだ。恐らく何らかの量的緩和も伴うべきだ」 | -------- |
| 8/21 | FOMC議事録 | 世界的な低調な成長見通しや通商政策を巡る不確実性の影響に対応し、そうした要因に伴う一段の下振れリスクに対する保険を掛け、さらにインフレ率が2%目標により速やかに戻るのを促進するため、政策決定に賛成票を投じたメンバーらは全体的な政策スタンスをより適切に位置づけることを目指した」「貿易を巡る不確実性が見通しへの根強い向かい風として留まり続ける」 | -------- |
| 8/23 | パウエル・FRB議長 | 「金融政策は個人消費や設備投資に働きかける強力な手段だが、国際貿易のために確立された規則書にはならない」「政策対応の見本となるような先例がない」 | -------- |
| 8/23 | トランプ大統領 | 「われわれに中国は必要ない」「米国企業には中国からの生産移管を命じる」その後中国製品への関税率引き上げを発表。 | ドル円106円台から105円台前半に。NYダウは623ドルの大幅下落。 |



