今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米長期金利1.5%を割り込む」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は前日の106円台から昨日の東京時間にはじりじりと値を下げ105円台半ばに。NYでも同様に106円台から105円台半ばでの取引を繰り返す。
  • ユーロドルは小動き。1.11を挟みもみ合いが続き、方向感も不透明。
  • 株式市場は朝方には上昇で始まったものの、「逆イールド」が強まったことで、景気に対する懸念から反落。ダウは120ドル下げ、他の指数も揃って反落。
  • 債券相場は上昇。長期金利は1.5%を割り込み、1.47%台まで低下。
  • 金と原油は上昇。
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6月FHFA住宅価格指数    → 0.2%
6月ケース・シラ−住宅価格指数 → 2.1%
8月リッチモンド連銀製造業指数 → 1
8月消費者信頼感指数      → 135.1
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ドル/円 105.66 〜 106.07
ユーロ/ドル 1.1086 〜 1.1109
ユーロ/円 117.22 〜 117.74
NYダウ −120.93 → 25,777.90ドル
GOLD +14.60 → 1,551.80ドル
WTI +1.29 → 54.93ドル
米10年国債 −0.064 → 1.471%

本日の注目イベント

  • 独 独9月GFK消費者信頼感
  • 欧 ユーロ圏7月マネーサプライ
  • 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演

昨日の東京時間の動きを見ていると、日経平均株価は米国株が大幅反発したことで、堅調に推移したもののドル円はじり安が続き、106円を割り込み、午後には105円台半ばまで円高に振れました。さすがに106円台を維持する状況ではなかったものの、前日にドルの底値から約2円もの反発をを見せたドル円は、直ぐに大きく下げる状況でもなかったようです。同じような動きはNY市場でも見られ、月曜日早朝に104円台半ばまで急落したドル円でしたが、再び基本レンジである105−107円に戻るような雰囲気です。

ただ、そんな中でもドルの上値の重さは変わっていないと考えます。ドル円との相関が高い米長期金利は昨日、節目の1.5%を割り込み、1.47%台まで低下してきました。この水準は、2016年7月以来の低水準となります。この結果、再び10年債と2年債との利回りが逆転する「逆イールドカーブ」が強まっています。昨日の米国株が上昇から下げに転じたのも、この動きが材料となり、景気の先行き不安から株価の下落につながったものと見られます。

8月も今週で終わりますが、今月はトランプ大統領の発言に金融市場は大荒れでした。トランプ氏のやや恣意的な言動が市場を混乱させ、その動きは、もはや2008年の金融危機のそれを上回るものだとの記事は、昨日のこの欄で述べた通りです。今朝のブルームバーグ・ニュースにも、似たような記事がありました。「トランプ大統領の信頼性が、中国が米国との恒久的な合意を結ぶ上で大きな障害になっている」という記事です。

記事は、中国当局者が匿名で述べたとして、「2020年米大統領選前に実際に合意可能とみる向きは、中国政府で数えるほどしかいないという。トランプ氏が結局ほごにするかもしれない合意案への署名を習国家主席に具申するのは危険だと、当局者は感じている。トランプ氏は中国側から協議再開を求める電話がかかってきた26日に発言、中国側でこれが何を指しているのか理解できた者はいなかった様子だ」と述べています。26日にトランプ氏が突然、中国と貿易協議が再開することを発表しましたが、中国側がこの件を認知していないと応じたことを指しているようです。

トランプ氏の予想を超える言動は今に始まったことではありませんが、このことに対して前NY連銀総裁のダドリー氏の提案したコラムが話題になっているようです。ダドリー氏は、「利下げは2020年の大統領選でトランプ氏の再選を助けるようなもので、これを拒否するべきだ」と提案しています。さらに、「トランプ氏の再選は米国と世界の経済、さらには米金融当局の独立性および雇用・インフレの責務達成能力への脅威になり得ることは否めない。金融政策の目標が可能な限り最良の長期経済であるならば、当局者らは自分らの決定が2020年の政治的結果にどう影響するかを考えるべきだ」と述べています。また、「米金融当局が政治に関与しない姿勢を続けたいのは理解できるし、支持する」としながらも、「このままの姿勢ではトランプ政権が貿易戦争のエスカレートという破滅的な道を歩むのを容認することになる」従って、「大統領選の敗北も含めて、そのリスクを背負うのは大統領自身だという、明確なシグナルを発信することが必要だ」と論じています。(ブルームバーグ)「利下げはトランプ氏再選の手助けになるため、すべきではない」といった極端な提案ですが、個人的には理解できます。ダドリー氏は現在プリンストン大学の教授という自由な立場にいることから、このような提案が出来るといった面はありますが、今後議論を呼びそうです。個人的には溜飲が大きく下がった気がします。

本日のドル円は105円20銭〜106円10銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
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日時 発言者 内容 市場への影響
7/2 カーニー・BOE総裁 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。
7/7 トランプ大統領 イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) --------
7/10 パウエルFRB議長 貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている。見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼす可能性はある。通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府が扱う多くの政策課題がなお解決されていない。 ドルは売られ、株、債券、金などが買われる。
7/17 ベージュブック 「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているものの、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」 --------
7/18 ムニューシン米財務長官 将来に検討することはあり得る問題だが、現時点でのドル政策に変更はない。 --------
7/18 ウイリアムズ・NY連銀総裁 各国・地域の中央銀行は経済に問題が生じている場合は、迅速に行動を起こすべきだ。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/18 クラリダ/FRB副議長 見通しに対する不確実性が高まっており、景気が下落するのを待ってから行動するのは望ましくないと当局は考えている。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/19 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 米経済は実際、かなり良好だ。経済が良好である限り、それが継続すれば、緩和に必要はない。 --------
7/24 ムニューシン財務長官 強いドルを信じている。それが力強い米経済や良好な株式相場を表している。そして特に大統領の経済政策によって、米国は他国を上回るペースの経済成長を達成している。 --------
7/25 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 需要の伸びが十分でなければ、金融政策を一段と緩和して追加的支援を提供する用意がある。 豪ドル円75円台半ばから → 75円台前半に下落。
7/25 ドラギ・ECB総裁 見通しは特に製造業で悪くなる一方だ。製造業が重要な国の見通しも悪化に歯止めがかかっていない。全ての政策手段を調整する用意がある。 ユーロドル1.1101まで下落。
7/29 トランプ大統領 米金融当局の動きは全て誤っている。小幅な利下げでは十分ではないが、いずれにせよわれわれは勝利する! --------
7/30 日銀金融政策決定会合声明文 「物価安定に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」 --------
7/31 パウエルFRB議長 「この利下げの本質は、長期にわたる一連の利下げの始まりではない」と、「サイクル半ばでの政策調整だとわれわれは捉えている」 ドル円は50ポイントほどドル高に、株価は大幅に売られ、ダウは一時400ドルを超える下落に。
8/5 中国人民銀行 「一国主義や貿易保護主義、および対中追加関税などの影響で元相場は今日7元を突破した」人民元安が進み、声明文で。 ドル円106円台半ばから105円台後半へ。日経平均株価500円を超える下落。
8/5 トランプ大統領 「為替操作だ。中国は自国通貨を歴史的な安値付近にまで押し下げた。これは<為替操作>と呼ばれる。Fedよ聞いているか?これは重大な違反で、時とともに中国の力を大きく弱めることになる」 --------
8/5 ムニューシン財務長官 「中国の直近の措置が作り出した不公正な競争上の優位を是正するため国際通貨基金(IMF)と協力する」米財務省が中国を為替操作国に認定したことについてコメント。 ドル円106円近辺から105円台半ばまで下落。
8/6 トランプ大統領 「(FRBの)無能ぶりは見るに堪えない。いとも簡単に対処できるのに。いずれにせよ、われわれは勝利する。当局はより大幅かつ早急な利下げを行い、そのひどい量的引き締めを即刻停止しなくてはならない」 --------
8/8 トランプ大統領 「米国の大統領として、私が非常に強いドルを喜ぶと考えている人もいるだろう。だが私は喜んでいない。他国と比較した米金融当局の高い金利水準は、ドルを高い水準で維持し、米国の素晴らしい製造企業が競争するのをより難しくしている」 --------
8/14 ラード・セントルイス連銀総裁 「失業率は50年ぶりの低水準に近い。インフレ率は低位で安定している。やや低過ぎだと私は主張してきたが、基本的には低位安定だ。米景気はリセッションではない。よって、将来を戦略的に考えるのに適した時期だ」 --------
8/14 トランプ大統領 「スプレッド(利回り差)はあまりに大きく、何も分かっていない。パウエル議長とFRBに他国は感謝している。ドイツなど多くの国はゲームに興じている!クレージーな逆イールドカーブ!われわれは簡単に大きな報酬と利益を手に入れるはずなのに、FRBがわれわれの妨げになっている。われわれは勝つだろう」 --------
8/19 トランプ大統領 「米政策金利はかなり短期間に少なくとも100bp引き下げられるべきだ。恐らく何らかの量的緩和も伴うべきだ」 --------
8/21 FOMC議事録 世界的な低調な成長見通しや通商政策を巡る不確実性の影響に対応し、そうした要因に伴う一段の下振れリスクに対する保険を掛け、さらにインフレ率が2%目標により速やかに戻るのを促進するため、政策決定に賛成票を投じたメンバーらは全体的な政策スタンスをより適切に位置づけることを目指した」「貿易を巡る不確実性が見通しへの根強い向かい風として留まり続ける」 --------
8/23 パウエル・FRB議長 「金融政策は個人消費や設備投資に働きかける強力な手段だが、国際貿易のために確立された規則書にはならない」「政策対応の見本となるような先例がない」 --------
8/23 トランプ大統領 「われわれに中国は必要ない」「米国企業には中国からの生産移管を命じる」その後中国製品への関税率引き上げを発表。 ドル円106円台から105円台前半に。NYダウは623ドルの大幅下落。
8/26 トランプ大統領 「中国と交渉を再開する。とても大きなことが起きるだろう」ドル円と株価急反発。
8/27 ダッドリー・前NY連銀総裁 「利下げは2020年の大統領選でトランプ氏の再選を助けるようなもので、これを拒否するべきだ。このままの姿勢ではトランプ政権が貿易戦争のエスカレートという破滅的な道を歩むのを容認することになる。大統領選の敗北も含めて、そのリスクを背負うのは大統領自身だという、明確なシグナルを発信することが必要だ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和