今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「為替市場は閑散」

ひと目で分かる昨晩の動き

欧州市場
  • ドル円は106円台前半から欧州市場にかけては、ややドル買いが優勢だったものの流れは続かず、106円台前半まで押し戻される。
  • ユーロドルは小動きながら、1.09台で推移。ユーロ円はさらに下落し116円34銭前後まで売られ、2017年7月以来の安値を記録。
  • ポンドドルは2週間ぶりの安値に。EU離脱を巡る議会の対立で1.12台半ばから1.2035近辺まで売られる。
ドル/円 106.06 〜 106.40
ユーロ/ドル 1.0958 〜 1.0976
ユーロ/円 116.34 〜 116.78
NYダウ ------- → 26,403.28ドル
GOLD ------- → 1,529.40ドル
WTI ------- → 55.10ドル
米10年国債 ------- → 1.496%

本日の注目イベント

  • 豪 豪4−6月期経常収支
  • 豪 豪7月小売売上高
  • 豪 RBA、キャッシュターゲット
  • 日 8月マネタリーベース
  • 欧 ユーロ圏7月生産者物価指数
  • 米 8月ISM製造業景況指数
  • 米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演

NY市場は「レーバーデー」で祝日にあたり、為替市場全体はほとんど動きがなく、閑散とした一日でした。ドル円は昨日の早朝に106円を割り込み、105円92銭前後までドルが売られましたが、直ぐに106円台を回復し、その後は106円台前半で小動き。欧州時間にはドルがやや上昇し、106円40銭を付ける場面もありましたが、結局今朝は昨日とほぼ同じ水準に戻っています。

中国は2日、米国の追加関税に対し、世界貿易機構(WTO)に提訴することを発表しました。中国商務省は声明で、「米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する」と指摘しています。米中は今月9月も通商協議を継続する予定にはなっているものの、会合日程はまだ設定できていません。ただ、中国当局者の訪米日程は決まっていないものの、必ずしも中止の兆候ではないとブルームバーグは伝えています。

今朝の経済紙に、「米中貿易戦争、我慢比べ。トランプ氏が不利?」といった内容の記事がありました。政治的背景が大きく異なる両首脳にとって、トランプ氏は2020年11月の大統領選に勝たなければならず、持久戦になればこの点が、共産党一党独裁体制の習主席の方が有利ではないかと論じています。もっとも、政治的だけではなく、米中がお互いに輸出している品目についても、中国の方が供給において支配的地位にある品目が多く、米国は中国以外の国から調達するのに苦労しているのも事実のようです。詳しくは、ウィークリーレポート「今週のレンジ予想」を参照してください。

関税引き上げ合戦は来る所まで来たという印象です。今後は何が為替市場の大きな材料に成るのか、9月に入ったこの時期にもう一度考えてみる必要があろうかと思います。貿易戦争による悪影響が米中どちらかにより深刻に出るとしても、その経済データが出るのにはまだ時間がかかります。まずは今週の「8月の雇用統計」を見ながら、17−18日に開催されるFOMCでの利下げスタンスが注目されます。25bpの利下げが基本のようですが、雇用統計の結果次第では50bpの可能性も高まりそうです。仮に25bpだったとしても、年内あと何回利下げがあるのかも大きな焦点になります。

今月はFOMCだけではなく、まず先陣を切ってECBの理事会が来週12日に行われます。日銀の決定会合はFOMCの終わった18日から行われ、今回は日銀の次の一手も注目されています。円高傾向が続く中、行動を起こさないと円高がさらに進むと見られているからです。10月からは消費税率が引き上げられ、反動による景気減速も懸念される中、政府としても急激な円高は避けたいところ。日銀としてもこの辺りの事情は理解しており、どのような政策を組み合わせてくるのか、注目されます。米国では大型ハリケーン「ドリアン」がフロリダ州の東部海岸に上陸する可能性があります。最大級の「カテゴリー5」から「カテゴリー4」に勢力を弱めたようですが、保険業界では2017年以降で最もコストが高い自然災害になると見ており、その額も最大で400億ドル(約4兆2400億円)に上る可能性もあるようです。

本日のドル円は105円70銭〜106円60銭程度と予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
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日時 発言者 内容 市場への影響
7/2 カーニー・BOE総裁 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。
7/7 トランプ大統領 イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) --------
7/10 パウエルFRB議長 貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている。見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼす可能性はある。通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府が扱う多くの政策課題がなお解決されていない。 ドルは売られ、株、債券、金などが買われる。
7/17 ベージュブック 「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているものの、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」 --------
7/18 ムニューシン米財務長官 将来に検討することはあり得る問題だが、現時点でのドル政策に変更はない。 --------
7/18 ウイリアムズ・NY連銀総裁 各国・地域の中央銀行は経済に問題が生じている場合は、迅速に行動を起こすべきだ。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/18 クラリダ/FRB副議長 見通しに対する不確実性が高まっており、景気が下落するのを待ってから行動するのは望ましくないと当局は考えている。 ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。
7/19 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 米経済は実際、かなり良好だ。経済が良好である限り、それが継続すれば、緩和に必要はない。 --------
7/24 ムニューシン財務長官 強いドルを信じている。それが力強い米経済や良好な株式相場を表している。そして特に大統領の経済政策によって、米国は他国を上回るペースの経済成長を達成している。 --------
7/25 ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 需要の伸びが十分でなければ、金融政策を一段と緩和して追加的支援を提供する用意がある。 豪ドル円75円台半ばから → 75円台前半に下落。
7/25 ドラギ・ECB総裁 見通しは特に製造業で悪くなる一方だ。製造業が重要な国の見通しも悪化に歯止めがかかっていない。全ての政策手段を調整する用意がある。 ユーロドル1.1101まで下落。
7/29 トランプ大統領 米金融当局の動きは全て誤っている。小幅な利下げでは十分ではないが、いずれにせよわれわれは勝利する! --------
7/30 日銀金融政策決定会合声明文 「物価安定に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」 --------
7/31 パウエルFRB議長 「この利下げの本質は、長期にわたる一連の利下げの始まりではない」と、「サイクル半ばでの政策調整だとわれわれは捉えている」 ドル円は50ポイントほどドル高に、株価は大幅に売られ、ダウは一時400ドルを超える下落に。
8/5 中国人民銀行 「一国主義や貿易保護主義、および対中追加関税などの影響で元相場は今日7元を突破した」人民元安が進み、声明文で。 ドル円106円台半ばから105円台後半へ。日経平均株価500円を超える下落。
8/5 トランプ大統領 「為替操作だ。中国は自国通貨を歴史的な安値付近にまで押し下げた。これは<為替操作>と呼ばれる。Fedよ聞いているか?これは重大な違反で、時とともに中国の力を大きく弱めることになる」 --------
8/5 ムニューシン財務長官 「中国の直近の措置が作り出した不公正な競争上の優位を是正するため国際通貨基金(IMF)と協力する」米財務省が中国を為替操作国に認定したことについてコメント。 ドル円106円近辺から105円台半ばまで下落。
8/6 トランプ大統領 「(FRBの)無能ぶりは見るに堪えない。いとも簡単に対処できるのに。いずれにせよ、われわれは勝利する。当局はより大幅かつ早急な利下げを行い、そのひどい量的引き締めを即刻停止しなくてはならない」 --------
8/8 トランプ大統領 「米国の大統領として、私が非常に強いドルを喜ぶと考えている人もいるだろう。だが私は喜んでいない。他国と比較した米金融当局の高い金利水準は、ドルを高い水準で維持し、米国の素晴らしい製造企業が競争するのをより難しくしている」 --------
8/14 ラード・セントルイス連銀総裁 「失業率は50年ぶりの低水準に近い。インフレ率は低位で安定している。やや低過ぎだと私は主張してきたが、基本的には低位安定だ。米景気はリセッションではない。よって、将来を戦略的に考えるのに適した時期だ」 --------
8/14 トランプ大統領 「スプレッド(利回り差)はあまりに大きく、何も分かっていない。パウエル議長とFRBに他国は感謝している。ドイツなど多くの国はゲームに興じている!クレージーな逆イールドカーブ!われわれは簡単に大きな報酬と利益を手に入れるはずなのに、FRBがわれわれの妨げになっている。われわれは勝つだろう」 --------
8/19 トランプ大統領 「米政策金利はかなり短期間に少なくとも100bp引き下げられるべきだ。恐らく何らかの量的緩和も伴うべきだ」 --------
8/21 FOMC議事録 世界的な低調な成長見通しや通商政策を巡る不確実性の影響に対応し、そうした要因に伴う一段の下振れリスクに対する保険を掛け、さらにインフレ率が2%目標により速やかに戻るのを促進するため、政策決定に賛成票を投じたメンバーらは全体的な政策スタンスをより適切に位置づけることを目指した」「貿易を巡る不確実性が見通しへの根強い向かい風として留まり続ける」 --------
8/23 パウエル・FRB議長 「金融政策は個人消費や設備投資に働きかける強力な手段だが、国際貿易のために確立された規則書にはならない」「政策対応の見本となるような先例がない」 --------
8/23 トランプ大統領 「われわれに中国は必要ない」「米国企業には中国からの生産移管を命じる」その後中国製品への関税率引き上げを発表。 ドル円106円台から105円台前半に。NYダウは623ドルの大幅下落。
8/26 トランプ大統領 「中国と交渉を再開する。とても大きなことが起きるだろう」ドル円と株価急反発。
8/27 ダッドリー・前NY連銀総裁 「利下げは2020年の大統領選でトランプ氏の再選を助けるようなもので、これを拒否するべきだ。このままの姿勢ではトランプ政権が貿易戦争のエスカレートという破滅的な道を歩むのを容認することになる。大統領選の敗北も含めて、そのリスクを背負うのは大統領自身だという、明確なシグナルを発信することが必要だ」 --------
8/29 ラガルド・次期ECB総裁 「予見可能な将来において、極めて緩和的な金融政策を続ける必要があることは明らかだ。導入する措置の適切な組み合わせは、インフレ見通しに影響する衝撃の性質や金融市場の状況次第ということになる」 --------
9/1 中国国営の新華社通信 米国の経済的な戦争挑発と戦う中国の決意はより強くなっており、対抗措置はさらに毅然として、計画的で狙いを定めたものだ。ホワイトハウスのタリフマンが学ぶべき1つの事実は、中国経済が進行中の貿易戦争でもたらされた圧力に抵抗するのに十分力強く、回復力があるということだ。 --------
9/2 中国商務省 米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和