「米長期金利さらに低下し、一時1.42%台に」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は下落。連休明けのNYでは、終わりの見えない米中貿易戦争とこの日発表されたISM製造業景況指数が予想を下回り、金利低下、株安に反応し105円74銭まで下落。
- ユーロドルは1.1を下回る水準でもみ合い。引き続きユーロ円の売りが続き、ユーロ円は116円を割り込む。
- 株式市場は大幅安。米中貿易協議の日程が定まっていないことや、製造業の景気を示す指標にダウは一時400ドルを超える下落。引け値は285ドル安と下げ幅を縮小。
- 債券相場は続伸。長期金利はさらに低下し、1.45%台で取引を終える。一時は1.42%台まで低下する場面も。
- 金は4日ぶりに大幅反発。原油は続落し、53ドル台に。
8月ISM製造業景況指数 → 49.1
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| ドル/円 | 105.74 〜 106.31 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.0928 〜 1.0979 |
| ユーロ/円 | 115.94 〜 116.37 |
| NYダウ | −285.26 → 26,118.02ドル |
| GOLD | +26.50 → 1,555.90ドル |
| WTI | −1.16 → 53.94ドル |
| 米10年国債 | −0.039 → 1.457% |
本日の注目イベント
- 豪 豪4−6月期GDP
- 日 黒田日銀総裁講演
- 中 中国8月財新サービス業PMI
- 中 中国8月財新コンポジットPMI
- 独 独8月製造業PMI(改定値)
- 独 独8月サービス業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏8月総合PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏8月サービス業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏7月小売売上高
- 米 8月自動車販売台数
- 米 7月貿易収支
- 米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
- 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
- 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
- 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
- 加 カナダ中銀政策金利発表
NY市場が「レーバー・デー」で祝日だったため、9月1日に発動された中国に対する制裁関税第4弾を消化していなかったことから、債券、株式市場がこの材料にどのような反応を見せるのか注目していましたが、予想通りの反応でした。貿易戦争の泥沼化と、通商協議は継続されるものの、その日程も定まっていないことに、リスクオフの流れに傾き、さらにこの日発表された8月のISM製造業景況指数の悪化で、さらにリスクオフが強まりました。
ISM製造業景況指数は「49.1」と、予想を下回っただけではなく、節目の「50」を割り込みました。これは2016年1月以来の低水準ということになります。特に、新規受注指数は約7年ぶりの低水準で、雇用指数も約3年半ぶりの低水準でした。債券市場では「逆イールド」が発生しており、米景気後退が取り沙汰されていますが、今後米国がリセッションに陥るかどうかはまだ定かではありませんが、それを示唆する明確な指標の一つとして捉えることができそうです。
今日の話題の中心は、やはりイギリス議会ですが、その前に相変わらずトランプ大統領がツイートで吠え続けています。「私が(大統領選で)勝った時に中国に何が起こるか考えよ」とツイートし、「ディールはずっと厳しいものになる」と続けています。トランプ氏が、2020年11月の大統領選前に貿易合意を取りまとめるよう中国に圧力をかけていると考えられますが、これとは別に、中国の劉鶴副首相は、貿易戦争は米中いずれにも利益をもたらさず、断固反対すると米上院議員らとの会談で表明したと、新華社が伝えています。(ブルームバーグ)
EU離脱を巡りジョンソン英首相と反対勢力との争いがヤマ場を迎えています。英議会下院は3日夜、EU離脱延期を要請する動議が可決し、敗れた首相は総選挙実施の動議を提案すると表明しましたが、首相率いる保守党から議員1名が自由民主党にくら替えしたことで、保守党政権は下院で過半数を失った状況です。10月31日に迫った離脱期限を前に、合意なき離脱を強行したいジョンソン首相にとってはこの先まだ、越えなければならないハードルは高いようです。「合意なき離脱」か、「離脱延期」か、あるいは、「再度の国民投票」になるのか、先行きは読めません。
ドル円は再び106円台を割り込んできました。先週26日の104円台もそうでしたし、今週月曜の105円台でも、直ぐに106円台を回復し、ドルは思いのほか底堅い動きを見せて来ました。今回は、早朝時点でも105円台後半で推移しています。再度106円台に戻されるのか、あるいは105円台半ば割れを試すのか見極めたいと思います。製造業の先行きに突然沸きあがった暗雲。今月17−18日に行われるFOMCの利下げスタンスにも影響が及ぶのかどうか、今週末の雇用統計がますます注目されそうです。予想レンジは105円50銭〜106円40銭程度といったところでしょうか。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/2 | カーニー・BOE総裁 | 貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている。(そのため)大規模な政策対応が必要になる可能性がある。 | ポンドドル、1.12台半ばから1.12割れまで下落。 |
| 7/7 | トランプ大統領 | イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない。(イランがウラン濃縮度を引き上げたことで) | -------- |
| 7/10 | パウエルFRB議長 | 貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている。見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼす可能性はある。通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府が扱う多くの政策課題がなお解決されていない。 | ドルは売られ、株、債券、金などが買われる。 |
| 7/17 | ベージュブック | 「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているものの、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」 | -------- |
| 7/18 | ムニューシン米財務長官 | 将来に検討することはあり得る問題だが、現時点でのドル政策に変更はない。 | -------- |
| 7/18 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 各国・地域の中央銀行は経済に問題が生じている場合は、迅速に行動を起こすべきだ。 | ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。 |
| 7/18 | クラリダ/FRB副議長 | 見通しに対する不確実性が高まっており、景気が下落するのを待ってから行動するのは望ましくないと当局は考えている。 | ドル円108円近辺から107円台前半に。株が買われ、債券も買われたことで金利は低下。 |
| 7/19 | ローゼングレン・ボストン連銀総裁 | 米経済は実際、かなり良好だ。経済が良好である限り、それが継続すれば、緩和に必要はない。 | -------- |
| 7/24 | ムニューシン財務長官 | 強いドルを信じている。それが力強い米経済や良好な株式相場を表している。そして特に大統領の経済政策によって、米国は他国を上回るペースの経済成長を達成している。 | -------- |
| 7/25 | ロウ・オーストラリア準備銀行総裁 | 需要の伸びが十分でなければ、金融政策を一段と緩和して追加的支援を提供する用意がある。 | 豪ドル円75円台半ばから → 75円台前半に下落。 |
| 7/25 | ドラギ・ECB総裁 | 見通しは特に製造業で悪くなる一方だ。製造業が重要な国の見通しも悪化に歯止めがかかっていない。全ての政策手段を調整する用意がある。 | ユーロドル1.1101まで下落。 |
| 7/29 | トランプ大統領 | 米金融当局の動きは全て誤っている。小幅な利下げでは十分ではないが、いずれにせよわれわれは勝利する! | -------- |
| 7/30 | 日銀金融政策決定会合声明文 | 「物価安定に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」 | -------- |
| 7/31 | パウエルFRB議長 | 「この利下げの本質は、長期にわたる一連の利下げの始まりではない」と、「サイクル半ばでの政策調整だとわれわれは捉えている」 | ドル円は50ポイントほどドル高に、株価は大幅に売られ、ダウは一時400ドルを超える下落に。 |
| 8/5 | 中国人民銀行 | 「一国主義や貿易保護主義、および対中追加関税などの影響で元相場は今日7元を突破した」人民元安が進み、声明文で。 | ドル円106円台半ばから105円台後半へ。日経平均株価500円を超える下落。 |
| 8/5 | トランプ大統領 | 「為替操作だ。中国は自国通貨を歴史的な安値付近にまで押し下げた。これは<為替操作>と呼ばれる。Fedよ聞いているか?これは重大な違反で、時とともに中国の力を大きく弱めることになる」 | -------- |
| 8/5 | ムニューシン財務長官 | 「中国の直近の措置が作り出した不公正な競争上の優位を是正するため国際通貨基金(IMF)と協力する」米財務省が中国を為替操作国に認定したことについてコメント。 | ドル円106円近辺から105円台半ばまで下落。 |
| 8/6 | トランプ大統領 | 「(FRBの)無能ぶりは見るに堪えない。いとも簡単に対処できるのに。いずれにせよ、われわれは勝利する。当局はより大幅かつ早急な利下げを行い、そのひどい量的引き締めを即刻停止しなくてはならない」 | -------- |
| 8/8 | トランプ大統領 | 「米国の大統領として、私が非常に強いドルを喜ぶと考えている人もいるだろう。だが私は喜んでいない。他国と比較した米金融当局の高い金利水準は、ドルを高い水準で維持し、米国の素晴らしい製造企業が競争するのをより難しくしている」 | -------- |
| 8/14 | ラード・セントルイス連銀総裁 | 「失業率は50年ぶりの低水準に近い。インフレ率は低位で安定している。やや低過ぎだと私は主張してきたが、基本的には低位安定だ。米景気はリセッションではない。よって、将来を戦略的に考えるのに適した時期だ」 | -------- |
| 8/14 | トランプ大統領 | 「スプレッド(利回り差)はあまりに大きく、何も分かっていない。パウエル議長とFRBに他国は感謝している。ドイツなど多くの国はゲームに興じている!クレージーな逆イールドカーブ!われわれは簡単に大きな報酬と利益を手に入れるはずなのに、FRBがわれわれの妨げになっている。われわれは勝つだろう」 | -------- |
| 8/19 | トランプ大統領 | 「米政策金利はかなり短期間に少なくとも100bp引き下げられるべきだ。恐らく何らかの量的緩和も伴うべきだ」 | -------- |
| 8/21 | FOMC議事録 | 世界的な低調な成長見通しや通商政策を巡る不確実性の影響に対応し、そうした要因に伴う一段の下振れリスクに対する保険を掛け、さらにインフレ率が2%目標により速やかに戻るのを促進するため、政策決定に賛成票を投じたメンバーらは全体的な政策スタンスをより適切に位置づけることを目指した」「貿易を巡る不確実性が見通しへの根強い向かい風として留まり続ける」 | -------- |
| 8/23 | パウエル・FRB議長 | 「金融政策は個人消費や設備投資に働きかける強力な手段だが、国際貿易のために確立された規則書にはならない」「政策対応の見本となるような先例がない」 | -------- |
| 8/23 | トランプ大統領 | 「われわれに中国は必要ない」「米国企業には中国からの生産移管を命じる」その後中国製品への関税率引き上げを発表。 | ドル円106円台から105円台前半に。NYダウは623ドルの大幅下落。 |
| 8/26 | トランプ大統領 | 「中国と交渉を再開する。とても大きなことが起きるだろう」 | ACドル円と株価急反発。 |
| 8/27 | ダッドリー・前NY連銀総裁 | 「利下げは2020年の大統領選でトランプ氏の再選を助けるようなもので、これを拒否するべきだ。このままの姿勢ではトランプ政権が貿易戦争のエスカレートという破滅的な道を歩むのを容認することになる。大統領選の敗北も含めて、そのリスクを背負うのは大統領自身だという、明確なシグナルを発信することが必要だ」 | -------- |
| 8/29 | ラガルド・次期ECB総裁 | 「予見可能な将来において、極めて緩和的な金融政策を続ける必要があることは明らかだ。導入する措置の適切な組み合わせは、インフレ見通しに影響する衝撃の性質や金融市場の状況次第ということになる」 | -------- |
| 9/1 | 中国国営の新華社通信 | 米国の経済的な戦争挑発と戦う中国の決意はより強くなっており、対抗措置はさらに毅然として、計画的で狙いを定めたものだ。ホワイトハウスのタリフマンが学ぶべき1つの事実は、中国経済が進行中の貿易戦争でもたらされた圧力に抵抗するのに十分力強く、回復力があるということだ。 | -------- |
| 9/2 | 中国商務省 | 米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



