「ドル円1か月ぶりに107円台に」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は約1カ月ぶりに107円台を回復し、107円23銭までドル高が進む。日米で株価が急反発し、米長期金利は一時12bp上昇するなど、リスクオンの流れに。
- ユーロドルはやや上昇。円を売る動きが強まり、ユーロ円は118円台まで反発したことに伴い、ユーロドルでもユーロが買い戻された。
- 株式市場は大幅に続伸。米中通商協議が10月初旬にも再開されることを好感し、ハイテク株を中心に株価が上昇。
- 債券相場は大幅に反落。長期金利は1.55%台まで急上昇。
- ドル高が進み、金は前日比35ドルに迫る下落。原油価格は小幅に上昇。
8月ADP雇用者数 → 19.5万人
新規失業保険申請件数 → 21.7万件
8月ISM非製造業景況指数 → 56.4
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| ドル/円 | 106.62 〜 107.23 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1032 〜 1.1084 |
| ユーロ/円 | 117.92 〜 118.61 |
| NYダウ | +372.68 → 26,728.15ドル |
| GOLD | −34.90 → 1,525.50ドル |
| WTI | +0.04 → 56.30ドル |
| 米10年国債 | +0.093 → 1.559% |
本日の注目イベント
- 日 7月景気先行指数(CI)(速報値)
- 独 独7月鉱工業生産
- 欧 ユーロ圏4−6月期GDP(確定値)
- 米 8月雇用統計
- 加 カナダ8月就業者数
- 加 カナダ8月失業率
昨日の東京時間の午前中に、中国が米国との通商協議を10月に再開することを発表。ドル円は106円70銭前後まで上昇し、日経平均株価は500円も上昇するなど、リスクオンの流れが急速に強まりました。この流れはNY市場でも続き、株価は連日の大幅高を演じ、安全資産の債券が大きく売られ、さらに連日買われてきた金(きん)が売られるなど、典型的なリスクオンの動きになりました。投資家が米中通商協議の再開に、これほど大きな反応を示したことにはやや驚きでしたが、前日トランプ大統領が、「私が中国と何もしたくなかったら、米国の株式相場は今よりも1万ポイント高かっただろう」と述べたことも、あながちオーバーなことでもないのかもしれません。
昨日のNYではさらにADP雇用者数が、予想の14.8万人に対して、19.5万人と大きく伸びており、今夜の雇用統計にも期待が膨らんでいます。製造業の伸びの鈍化は明らかになって来ましたが、労働市場は依然として拡大を続けていると見られます。仮に今夜の雇用統計でも同じように予想を上回るようだと、今月18日のFOMCでの政策にも影響を与える可能性があります。その場合は、50bpの利下げ観測が後退し、25bpに落ち着き、ドル円にはドル高材料と考えられます。また、NYダウも2万6700ドル台まで反発しており、株価の下落懸念も払拭されそうで、この点からもFRBが緩和姿勢を強める要因が一つ取り除かれることにもなります。
8月のISM非製造業景況指数も予想を上回る「56.4」でした。前日に発表された製造業が「49.1」と、節目の「50」を割り込んでいたことからその結果が注目されていましたが、前月よりも改善していたことで、米景気に対する過度の懸念も一旦後退した状況です。ただ、米中貿易戦争の影響がじわりと出ているのは事実で、今後10月に協議が再開されても、両国の主張に隔たりがあるため、合意に達するにはまだ時間がかるといった見方がコンセンサスのようです。また、いつトランプ大統領の「口撃」が再び飛び出すのかもわかりません。これまでの実績を良く見ると、週末金曜日か、土曜日に「口撃」に出ることが多いように思います。中国に対する「制裁関税第4弾発動」発言も8月23日の金曜日で、翌週月曜日の早朝に104円46銭を記録したことは記憶に新しいところです。
昨日のこの欄でも述べましたが、ドル円は106円40−50銭にある、マイナーな壁を超えられるかどうかに注目していましたが、やはりと言うか、超えてしまえば上昇の勢いが加速し、約1か月ぶりに107円台前半までドル高が進みました。まだ107円台が定着するには早計だと思いますが、一方で104円台からの距離も徐々に遠く感じて来た印象です。難しい状況です。ここからさらに上値を追うには、さらなるドルへの支援材料が必要ですが、水準を間違えると、ドルを売っても買い戻しに苦労します。基本は105−107円前後ということで、早めの決済に徹する方がベターといったところでしょう。本日のドル円は106円50銭〜107円40銭程度を予想しますが、ドルを下落傾向で見ている筆者は、ドル円の上値の予想を外しています。ご注意を。
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民主化運動で大きく揺れている香港。筆者もビジネスで4回ほど訪れたことがあります。最も印象に残っているのが、1985年11月から1か月間、前職の香港支店に研修で行った時のことです。当時はまだ、あのビルの間をかすめるようにして着陸する「啓徳国際空港」でした。コーズウェイベイのホテルに滞在し、金融街セントラルにある支店に毎日通いましたが、到着翌日に支店を訪問した日から驚きの連続でした。ディーリングルームのマネージャークラスは、すでに全員携帯電話を持っていました。ポケベル程度の大きさのものでしたが、彼らが街中で携帯で会話しているのには驚きました。その日の夜には歓迎会と称して、直ぐ目の前の港から船で30分位は走ったところにある「島」に行き、市場のようなところで大きな水槽に入っている魚介類を自分で選び、それをレストランで料理してもらい食べるという、中華風海鮮料理を満喫しました。食事を終えると、再び船で目の前に広がる「100万ドルの夜景」を船のデッキの上で、風に吹かれながら、セントラルに帰るという、何とも贅沢な歓迎会でした。因みにその船は「ジャンク」呼ばれ、当時香港で所有している外資系金融機関は、筆者が所属していた銀行と、シティバンク(現シティーグループ)だけで、年間の維持費だけでも1千万円以上かかると聞き、またビックリ・・・。香港滞在中、3回もこのクルーズを楽しみました。国際都市香港は、その後も順調に発展して来ましたが、今が香港の歴史の中でも最大の危機かもしれません。良い週末を・・・・・。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/5 | 中国人民銀行 | 「一国主義や貿易保護主義、および対中追加関税などの影響で元相場は今日7元を突破した」人民元安が進み、声明文で。 | ドル円106円台半ばから105円台後半へ。日経平均株価500円を超える下落。 |
| 8/5 | トランプ大統領 | 「為替操作だ。中国は自国通貨を歴史的な安値付近にまで押し下げた。これは<為替操作>と呼ばれる。Fedよ聞いているか?これは重大な違反で、時とともに中国の力を大きく弱めることになる」 | -------- |
| 8/5 | ムニューシン財務長官 | 「中国の直近の措置が作り出した不公正な競争上の優位を是正するため国際通貨基金(IMF)と協力する」米財務省が中国を為替操作国に認定したことについてコメント。 | ドル円106円近辺から105円台半ばまで下落。 |
| 8/6 | トランプ大統領 | 「(FRBの)無能ぶりは見るに堪えない。いとも簡単に対処できるのに。いずれにせよ、われわれは勝利する。当局はより大幅かつ早急な利下げを行い、そのひどい量的引き締めを即刻停止しなくてはならない」 | -------- |
| 8/8 | トランプ大統領 | 「米国の大統領として、私が非常に強いドルを喜ぶと考えている人もいるだろう。だが私は喜んでいない。他国と比較した米金融当局の高い金利水準は、ドルを高い水準で維持し、米国の素晴らしい製造企業が競争するのをより難しくしている」 | -------- |
| 8/14 | ラード・セントルイス連銀総裁 | 「失業率は50年ぶりの低水準に近い。インフレ率は低位で安定している。やや低過ぎだと私は主張してきたが、基本的には低位安定だ。米景気はリセッションではない。よって、将来を戦略的に考えるのに適した時期だ」 | -------- |
| 8/14 | トランプ大統領 | 「スプレッド(利回り差)はあまりに大きく、何も分かっていない。パウエル議長とFRBに他国は感謝している。ドイツなど多くの国はゲームに興じている!クレージーな逆イールドカーブ!われわれは簡単に大きな報酬と利益を手に入れるはずなのに、FRBがわれわれの妨げになっている。われわれは勝つだろう」 | -------- |
| 8/19 | トランプ大統領 | 「米政策金利はかなり短期間に少なくとも100bp引き下げられるべきだ。恐らく何らかの量的緩和も伴うべきだ」 | -------- |
| 8/21 | FOMC議事録 | 世界的な低調な成長見通しや通商政策を巡る不確実性の影響に対応し、そうした要因に伴う一段の下振れリスクに対する保険を掛け、さらにインフレ率が2%目標により速やかに戻るのを促進するため、政策決定に賛成票を投じたメンバーらは全体的な政策スタンスをより適切に位置づけることを目指した」「貿易を巡る不確実性が見通しへの根強い向かい風として留まり続ける」 | -------- |
| 8/23 | パウエル・FRB議長 | 「金融政策は個人消費や設備投資に働きかける強力な手段だが、国際貿易のために確立された規則書にはならない」「政策対応の見本となるような先例がない」 | -------- |
| 8/23 | トランプ大統領 | 「われわれに中国は必要ない」「米国企業には中国からの生産移管を命じる」その後中国製品への関税率引き上げを発表。 | ドル円106円台から105円台前半に。NYダウは623ドルの大幅下落。 |
| 8/26 | トランプ大統領 | 「中国と交渉を再開する。とても大きなことが起きるだろう」 | ドル円と株価急反発。 |
| 8/27 | ダッドリー・前NY連銀総裁 | 「利下げは2020年の大統領選でトランプ氏の再選を助けるようなもので、これを拒否するべきだ。このままの姿勢ではトランプ政権が貿易戦争のエスカレートという破滅的な道を歩むのを容認することになる。大統領選の敗北も含めて、そのリスクを背負うのは大統領自身だという、明確なシグナルを発信することが必要だ」 | -------- |
| 8/29 | ラガルド・次期ECB総裁 | 「予見可能な将来において、極めて緩和的な金融政策を続ける必要があることは明らかだ。導入する措置の適切な組み合わせは、インフレ見通しに影響する衝撃の性質や金融市場の状況次第ということになる」 | -------- |
| 9/1 | 中国国営の新華社通信 | 米国の経済的な戦争挑発と戦う中国の決意はより強くなっており、対抗措置はさらに毅然として、計画的で狙いを定めたものだ。ホワイトハウスのタリフマンが学ぶべき1つの事実は、中国経済が進行中の貿易戦争でもたらされた圧力に抵抗するのに十分力強く、回復力があるということだ。 | -------- |
| 9/2 | 中国商務省 | 米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。 | -------- |
| 9/4 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「国内外の不確実性が、景気見通しと金融政策に関する私の思索において重要な要素になりつつある」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



