「米長期金利1.64%台へ上昇」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は再び107円台に乗せ、107円28銭と、先週のドルの高値を小幅ながら上回る。米長期金利が大幅に上昇したことや、ドイツや中国の景気刺激策期待から円が売られた。
- ユーロドルは反発。ドイツの財政出動期待やECB理事会を控え、ユーロの買い戻しが優勢となり、1.1068まで上昇。
- 株式市場はまちまち。米金利上昇に不動産やハイテク株などが売られたがダウは38ドル高と4日続伸。ナスダックとS&P500は下げる。
- 債券相場は大幅に反落。長期金利は1.64%台へと上昇。
- 金は反落し、原油は続伸。
7月消費者信用残高 → 232.9億ドル
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| ドル/円 | 106.93 〜 107.28 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1029 〜 1.1068 |
| ユーロ/円 | 117.93 〜 118.51 |
| NYダウ | +38.05 → 26,835.51ドル |
| GOLD | −4.40 → 1,511.10ドル |
| WTI | +1.33 → 57.85ドル |
| 米10年国債 | +0.084 → 1.644% |
本日の注目イベント
- 中 中国8月消費者物価指数
- 中 中国8月生産者物価指数
- 英 英失業率(5月−7月)
- 加 カナダ8月住宅着工件数
- 加 カナダ7月建設許可件数
ドル円は底堅い動きを見せ、先週記録したドルの戻り高値をわずかに上回る107円28銭までドル高が進みました。米長期金利が1.64%台まで大幅に上昇したことがドル買いを促した格好でしたが、それ以外にも、中国が預金準備率を下げたことや、ドイツでは景気建て直しのための財政出動が噂されるなど、景気のさらなる減速が一旦後退するのではとの期待が円を売る動きにつながったようです。
さらに、ムニューシン財務長官は、FOXビジネスとのインタビューで、「米国と中国は貿易協議で大きく前進した」と述べ、中国当局者のワシントン訪問は「誠意の表れだ」と述べています。(ブルームバーグ)米中通商協議は10月初旬に行われる予定ですが、すでに今月1日からは米中双方が輸入品に対する関税を引き上げており、現在はその影響を見極めている状況です。多くの市場関係者は、この問題が簡単に解決するとは考えておらず、実際に高関税が撤廃されるとしても、まだ先のことになるとの見方がコンセンサスです。ムニューシン財務長官は、貿易戦争は米経済に影響していないと、強気の発言をしていますが、影響しているかどうかは、これからの経済指標が示すことになります。
今週12日にはECB理事会が開催されます。ECBは今回の理事会で「総合的な景気刺激パッケージを発表する」と、ドイツ証券では予想しているようです。政策金利はさらにマイナス幅を大きくし、同時に金融機関への影響を緩和する措置を導入すると予想しています。さらに、焦点の量的緩和については、今回は見送られる公算が高いとしています。量的緩和については、すでにドイツ連銀総裁やオランダ中銀総裁が「不要」との立場を表明しており、さらにフランス中銀のビルロワドガロー総裁も同様な見方を示しており、仮に行うとしても抵抗されると予想されます。今回の理事会も含め、10月で退任するドラギ総裁には残された会合は2回と、多くありません。退任する月の理事会で政策を変更することは難しく、今回の理事会での政策変更が最後の「ドラギマジック」ということになりそうです。
ドル円は106円台を固めているような動きになっています。1.4%台まで低下した米長期金利も、昨日は大きく上昇し、ドルをサポートする格好になって来ました。日足チャートでも、107円70銭を超えると、久しぶりに雲を上抜けすることにもなり、これが示現すれば5月3日以来、4カ月ぶりのこととなります。一応注意する必要があります。本日のドル円は106円70銭〜107円60銭程度を予想しますが、低迷していた日本株もやや上昇傾向を見せていることも、ドル円にとってプラスです。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 8/5 | 中国人民銀行 | 「一国主義や貿易保護主義、および対中追加関税などの影響で元相場は今日7元を突破した」人民元安が進み、声明文で。 | ドル円106円台半ばから105円台後半へ。日経平均株価500円を超える下落。 |
| 8/5 | トランプ大統領 | 「為替操作だ。中国は自国通貨を歴史的な安値付近にまで押し下げた。これは<為替操作>と呼ばれる。Fedよ聞いているか?これは重大な違反で、時とともに中国の力を大きく弱めることになる」 | -------- |
| 8/5 | ムニューシン財務長官 | 「中国の直近の措置が作り出した不公正な競争上の優位を是正するため国際通貨基金(IMF)と協力する」米財務省が中国を為替操作国に認定したことについてコメント。 | ドル円106円近辺から105円台半ばまで下落。 |
| 8/6 | トランプ大統領 | 「(FRBの)無能ぶりは見るに堪えない。いとも簡単に対処できるのに。いずれにせよ、われわれは勝利する。当局はより大幅かつ早急な利下げを行い、そのひどい量的引き締めを即刻停止しなくてはならない」 | -------- |
| 8/8 | トランプ大統領 | 「米国の大統領として、私が非常に強いドルを喜ぶと考えている人もいるだろう。だが私は喜んでいない。他国と比較した米金融当局の高い金利水準は、ドルを高い水準で維持し、米国の素晴らしい製造企業が競争するのをより難しくしている」 | -------- |
| 8/14 | ラード・セントルイス連銀総裁 | 「失業率は50年ぶりの低水準に近い。インフレ率は低位で安定している。やや低過ぎだと私は主張してきたが、基本的には低位安定だ。米景気はリセッションではない。よって、将来を戦略的に考えるのに適した時期だ」 | -------- |
| 8/14 | トランプ大統領 | 「スプレッド(利回り差)はあまりに大きく、何も分かっていない。パウエル議長とFRBに他国は感謝している。ドイツなど多くの国はゲームに興じている!クレージーな逆イールドカーブ!われわれは簡単に大きな報酬と利益を手に入れるはずなのに、FRBがわれわれの妨げになっている。われわれは勝つだろう」 | -------- |
| 8/19 | トランプ大統領 | 「米政策金利はかなり短期間に少なくとも100bp引き下げられるべきだ。恐らく何らかの量的緩和も伴うべきだ」 | -------- |
| 8/21 | FOMC議事録 | 世界的な低調な成長見通しや通商政策を巡る不確実性の影響に対応し、そうした要因に伴う一段の下振れリスクに対する保険を掛け、さらにインフレ率が2%目標により速やかに戻るのを促進するため、政策決定に賛成票を投じたメンバーらは全体的な政策スタンスをより適切に位置づけることを目指した」「貿易を巡る不確実性が見通しへの根強い向かい風として留まり続ける」 | -------- |
| 8/23 | パウエル・FRB議長 | 「金融政策は個人消費や設備投資に働きかける強力な手段だが、国際貿易のために確立された規則書にはならない」「政策対応の見本となるような先例がない」 | -------- |
| 8/23 | トランプ大統領 | 「われわれに中国は必要ない」「米国企業には中国からの生産移管を命じる」その後中国製品への関税率引き上げを発表。 | ドル円106円台から105円台前半に。NYダウは623ドルの大幅下落。 |
| 8/26 | トランプ大統領 | 「中国と交渉を再開する。とても大きなことが起きるだろう」 | ドル円と株価急反発。 |
| 8/27 | ダッドリー・前NY連銀総裁 | 「利下げは2020年の大統領選でトランプ氏の再選を助けるようなもので、これを拒否するべきだ。このままの姿勢ではトランプ政権が貿易戦争のエスカレートという破滅的な道を歩むのを容認することになる。大統領選の敗北も含めて、そのリスクを背負うのは大統領自身だという、明確なシグナルを発信することが必要だ」 | -------- |
| 8/29 | ラガルド・次期ECB総裁 | 「予見可能な将来において、極めて緩和的な金融政策を続ける必要があることは明らかだ。導入する措置の適切な組み合わせは、インフレ見通しに影響する衝撃の性質や金融市場の状況次第ということになる」 | -------- |
| 9/1 | 中国国営の新華社通信 | 米国の経済的な戦争挑発と戦う中国の決意はより強くなっており、対抗措置はさらに毅然として、計画的で狙いを定めたものだ。ホワイトハウスのタリフマンが学ぶべき1つの事実は、中国経済が進行中の貿易戦争でもたらされた圧力に抵抗するのに十分力強く、回復力があるということだ。 | -------- |
| 9/2 | 中国商務省 | 米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。 | -------- |
| 9/4 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「国内外の不確実性が、景気見通しと金融政策に関する私の思索において重要な要素になりつつある」 | -------- |
| 9/6 | パウエル・FRB議長 | 「米経済に最も可能性の高い見通しは依然として、緩やかな成長と力強い労働市場に加え、インフレ率が当局の2%目標に近づくという好ましいものだ。ただ、世界的な景気減速や貿易政策を巡る不確実性、持続的な低インフレなどを含む大きなリスクは存在するため、それらに注視していく」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



