今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ECB理事会待ち」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は株高と金利高を支えに引き続き堅調に推移。NYでは107円86銭までドル高が進むが108円台には届かず。
  • ユーロドルはドル高の流れに押され小幅に下落し、1.0985まで下落。ECBの理事会を待つ姿勢が強まる。
  • 株式市場は主要3指数が揃って上昇。米中通商協議への期待や対イランとの関係改善期待からダウは277ドル上昇し、2万7千ドルの大台を回復。
  • 債券は小幅に売られたが、ほぼ横ばい。長期金利は1.74%に迫る。
  • 金は5日ぶりに反発。原油価格はトランンプ政権がイランとの対話を検討していたことが材料となり大幅に続落。
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8月生産者物価指数 → 0.1%
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ドル/円 107.63 〜 107.86
ユーロ/ドル 1.0985 〜 1.1013
ユーロ/円 118.29 〜 118.76
NYダウ +277.61 → 27,137.04ドル
GOLD +4.00 → 1,503.20ドル
WTI −1.65 → 55.75ドル
米10年国債 +0.007 → 1.739%

本日の注目イベント

  • 独 独8月消費者物価指数(改定値)
  • 欧 ユーロ圏7月鉱工業生産
  • 欧 ECB政策金利発表
  • 欧 ドラギ・ECB総裁記者会見
  • 欧 国際エネルギー機関(IEA)月報
  • 米 8月消費者物価指数
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 8月財政収支

前日、強硬派のボルトン大統領補佐官が解任されたことで、対イラン政策に変化が出てきそうな気配です。トランプ大統領がイランに対する制裁を緩和する議論を行った際、ボルトン氏が強行に反対していたことが明らかになり、その他にも両者の意見が対立していたことで、10日の解任発表につながったようです。強硬派のボルトン氏がホワイトハウスを去ったことで、トランプ氏はイランに対する原油禁輸措置の緩和を検討しているとの報道もあり、月内にロウハニ・イラン大統領との会談も検討しているようです。実際、昨日のNY原油先物市場では、両国の緊張が和らぎイランからの原油供給が増えるとの見方から原油価格が大きく売られています。

また、中国が追加関税対象から一部の米製品を除外したことで、10月初旬に再開される米中通商協議への改善期待も浮上しています。トランプ氏は、「正しいことをした」と評価し、「中国は通商協議での合意を望んでいる」との見方を改めて示しました。ただ、トランプ氏は相変わらずパウエルFRBへの「口撃」を続け、「FRBは米政策金利をゼロかそれ以下に引き下げるべきだ」とツイートし、さらに、「パウエル議長と連邦準備制度は、ばか正直なために、他の国々が既にやっていることを米国は許さない。《愚か者たち》のせいでわれわれは一生に一度の機会を逃がしている」と続けています。(ブルームバーグ)FOMC開催が来週17−18日に迫ってきたことで、さらに利下げ圧力を強めてきたトランプ氏です。

NY株式市場の上昇ぶりが際立っています。とりわけダウは昨日も277ドル上昇しました。これで、6営業日連続で上昇し、7月30日以来となる2万7000ドルの大台回復を達成しています。「マネーが債券からか株式にシフトしている」と前日コメントしましたが、その影響は日本株にも現れてきて、日経平均株価は今週に入って上昇傾向を強めています。また債券市場では一時マイナス0.3%近辺まで買われた10年債が下落に転じてきました。機関投資家がリスクに対する姿勢をやや緩めたということで、ドル円でも安全通貨の円を手放す動きにつながっています。

ドル円は107円86銭まで上昇したことで日足の雲抜けを示現しましたが、108円には届いていません。昨日この欄でも述べたように、フィボナッチ・リトレースメントでいう「半値戻し」が107円98銭ということで、108円前後は意識されるレベルと言えます。これら一連の動きは、本日から始まる日米欧の金融政策会合を前にしたポジション調整の一環と見ていますが、政策会合での結果次第では足元の動きがさらに継続する可能性もあります。個人的には会合以降、再びリスクを避ける動きに戻るような気がしますが、あまり明確な根拠はありません。108円近辺の足元のドル円は、今年のドルの高値112円とドルの安値104円のちょうど真ん中にいます。この先どちらに向かうのか、政策会合と米中通商協議がカギを握っています。

本日のドル円は107円50銭〜108円30銭程度と予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/5 中国人民銀行 「一国主義や貿易保護主義、および対中追加関税などの影響で元相場は今日7元を突破した」人民元安が進み、声明文で。 ドル円106円台半ばから105円台後半へ。日経平均株価500円を超える下落。
8/5 トランプ大統領 「為替操作だ。中国は自国通貨を歴史的な安値付近にまで押し下げた。これは<為替操作>と呼ばれる。Fedよ聞いているか?これは重大な違反で、時とともに中国の力を大きく弱めることになる」 --------
8/5 ムニューシン財務長官 「中国の直近の措置が作り出した不公正な競争上の優位を是正するため国際通貨基金(IMF)と協力する」米財務省が中国を為替操作国に認定したことについてコメント。 ドル円106円近辺から105円台半ばまで下落。
8/6 トランプ大統領 「(FRBの)無能ぶりは見るに堪えない。いとも簡単に対処できるのに。いずれにせよ、われわれは勝利する。当局はより大幅かつ早急な利下げを行い、そのひどい量的引き締めを即刻停止しなくてはならない」 --------
8/8 トランプ大統領 「米国の大統領として、私が非常に強いドルを喜ぶと考えている人もいるだろう。だが私は喜んでいない。他国と比較した米金融当局の高い金利水準は、ドルを高い水準で維持し、米国の素晴らしい製造企業が競争するのをより難しくしている」 --------
8/14 ラード・セントルイス連銀総裁 「失業率は50年ぶりの低水準に近い。インフレ率は低位で安定している。やや低過ぎだと私は主張してきたが、基本的には低位安定だ。米景気はリセッションではない。よって、将来を戦略的に考えるのに適した時期だ」 --------
8/14 トランプ大統領 「スプレッド(利回り差)はあまりに大きく、何も分かっていない。パウエル議長とFRBに他国は感謝している。ドイツなど多くの国はゲームに興じている!クレージーな逆イールドカーブ!われわれは簡単に大きな報酬と利益を手に入れるはずなのに、FRBがわれわれの妨げになっている。われわれは勝つだろう」 --------
8/19 トランプ大統領 「米政策金利はかなり短期間に少なくとも100bp引き下げられるべきだ。恐らく何らかの量的緩和も伴うべきだ」 --------
8/21 FOMC議事録 世界的な低調な成長見通しや通商政策を巡る不確実性の影響に対応し、そうした要因に伴う一段の下振れリスクに対する保険を掛け、さらにインフレ率が2%目標により速やかに戻るのを促進するため、政策決定に賛成票を投じたメンバーらは全体的な政策スタンスをより適切に位置づけることを目指した」「貿易を巡る不確実性が見通しへの根強い向かい風として留まり続ける」 --------
8/23 パウエル・FRB議長 「金融政策は個人消費や設備投資に働きかける強力な手段だが、国際貿易のために確立された規則書にはならない」「政策対応の見本となるような先例がない」 --------
8/23 トランプ大統領 「われわれに中国は必要ない」「米国企業には中国からの生産移管を命じる」その後中国製品への関税率引き上げを発表。 ドル円106円台から105円台前半に。NYダウは623ドルの大幅下落。
8/26 トランプ大統領 「中国と交渉を再開する。とても大きなことが起きるだろう」 ドル円と株価急反発。
8/27 ダッドリー・前NY連銀総裁 「利下げは2020年の大統領選でトランプ氏の再選を助けるようなもので、これを拒否するべきだ。このままの姿勢ではトランプ政権が貿易戦争のエスカレートという破滅的な道を歩むのを容認することになる。大統領選の敗北も含めて、そのリスクを背負うのは大統領自身だという、明確なシグナルを発信することが必要だ」 --------
8/29 ラガルド・次期ECB総裁 「予見可能な将来において、極めて緩和的な金融政策を続ける必要があることは明らかだ。導入する措置の適切な組み合わせは、インフレ見通しに影響する衝撃の性質や金融市場の状況次第ということになる」 --------
9/1 中国国営の新華社通信 米国の経済的な戦争挑発と戦う中国の決意はより強くなっており、対抗措置はさらに毅然として、計画的で狙いを定めたものだ。ホワイトハウスのタリフマンが学ぶべき1つの事実は、中国経済が進行中の貿易戦争でもたらされた圧力に抵抗するのに十分力強く、回復力があるということだ。 --------
9/2 中国商務省 米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。 --------
9/4 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「国内外の不確実性が、景気見通しと金融政策に関する私の思索において重要な要素になりつつある」 --------
9/6 パウエル・FRB議長 「米経済に最も可能性の高い見通しは依然として、緩やかな成長と力強い労働市場に加え、インフレ率が当局の2%目標に近づくという好ましいものだ。ただ、世界的な景気減速や貿易政策を巡る不確実性、持続的な低インフレなどを含む大きなリスクは存在するため、それらに注視していく」 --------
9/11 トランプ大統領 「FRBは米政策金利をゼロかそれ以下に引きさげるべきだ」、「パウエル議長と連邦準備制度は、ばか正直なために、他の国々が既にやっていることを米国は許さない。《愚か者たち》のせいでわれわれは一生に一度の機会を逃がしている」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和