今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ECB量的緩和再開を決定」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は東京時間に108円台を回復したが、NYの朝方は107円52銭までドル売りが先行。ECBの政策発表後はドル買いが強まり、108円19銭まで上昇。米中通商協議に対する楽観的な見方が根底に。
  • ユーロドルは乱高下。朝方はECBの金融政策を受けて1.0927まで売られたが、ドラギ総裁の会見を境に上昇。1.1087までユーロ買い戻しが進む。
  • 株式市場は続伸。トランプ政権が中国に対する関税引き上げを当初予定の10月1日から10月15日まで延期したことなどを好感、ダウは45ドル上昇し、これで7営業日続伸。
  • 債券は続落。長期金利は1.77%台まで上昇。
  • 金は続伸し、原油は3日続落。
*********************
8月消費者物価指数  → 0.1%
新規失業保険申請件数 → 20.4万件
8月財政収支     → −2003億ドル
*********************
ドル/円 107.52 〜 108.19
ユーロ/ドル 1.0927 〜 1.1087
ユーロ/円 117.56 〜 119.83
NYダウ +45.41 → 27,182.45ドル
GOLD +4.20 → 1,507.40ドル
WTI −0.66 → 55.09ドル
米10年国債 +0.033 → 1.772%

本日の注目イベント

  • 日 8月鉱工業生産(確定値)
  • 米 8月輸入物価指数
  • 米 8月小売売上高
  • 米 9月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

昨日の東京時間午前中、ドル円は107円85銭前後で推移していましたが、一気に108円台を回復する場面がありました。トランプ大統領が、中国への制裁関税の実施を2週間延期すると発表したことが、円売り、株高を誘い、ドル円はその後108円10銭程度まで上昇。じりじりとドルの買い戻しが進んでいます。

トランプ氏は、先に中国製品2500億ドル(約27兆円)に対する関税を25%から30%に引き上げ、10月1日から実施することを決めていましたが、これを10月15日まで延期すると発表しました。市場はこの決定を好感しましたが、2週間程度延期することにどれ程の意味があるのか疑問です。「中国の出方を見ながら、厳しい制裁を徐々に緩和させていく」という、いつものトランプ流のやり方ですが、泣いている子供に、小出しにおやつを与えているような印象です。ここは一気に関税を撤廃するとか、最後の1600億ドルの関税実施時期である12月まで延期するなどの措置なら理解できますが、恐らくトランプ氏は、2週間後には米中通商協議が再開されていることから、その成果を見極めたいという考えなのでしょう。

ECBは理事会を開き、中銀預金金利を現行のマイナス0.4%からマイナス0.5%に引き下げ、さらに債券購入(QE)を再開すると発表しました。債券購入は11月1日から行い、月額200億ユーロ(約2兆3500億円)で、期間も「インフレ目標達成に必要な限り」行うことを決定しました。ECBの金融政策については、マイナス金利の深堀は予想されていましたが、QEの再導入の可能性はかなり低いと見ていましたが、ドラギ総裁は反対意見を押し切って決めたようです。QEの再開については、ドイツ連銀、フランス中銀、オランダ中銀の各総裁が反対し、さらにオーストリア、エストニアなどの総裁と複数のECB理事も反対に回った(ブルームバーグ)ようです。また、QE反対派の理由は、非常時の対応で繰り出す最後の手段としてQEは温存すべきと主張したことに加え、ドイツ連銀などは金融機関への副作用も反対理由に挙げたようですが、ドラギ総裁は「金融機関はコスト削減とデジタル化で対応すべき」と一蹴しています。ドラギ総裁は、QEを巡り「さまざまな見解がある」ことを認めたものの、「最終的には極めて幅広い合意があったため採決の必要もなかった」と説明し、ECBの慣行に従い賛否を問う採決は行われなかった模様(ブルームバーグ)です。ECBの政策発表後、ユーロドルは売られましたが、その後のドラギ総裁の会見をきっかけに大きく値を戻し、底値からは150ポイント以上も上昇し、これに伴ってユーロ円も119円台後半までユーロ高が進んでいます。

ECBが終わり、来週はFOMCと日銀会合です。両会合とも、このところのポジションの巻き戻しの流れが強まったことで、株高と円安が進み、政策に対するプレッシャーはやや低下したと思われます。FOMCでは50ベーシスの利下げの目はほぼなくなったと思います。25ベーシスの利下げと、年内あと何回利下げが行われるのか、FRBの利下げスタンスの強弱が注目されます。日銀についても、108円台を回復したことでプレッシャーは緩和されています。今回も「様子見」の可能性がやや浮上してきたと思われますが、さらなる緩和を行うかどうかは、FOMCでの決定内容にも左右されそうです。本日のドル円は107円50銭〜108円50銭程度と予想します。

===============

スマートスピーカー「クローバー」について。まだ手に入れて日が浅いもので、いろいろ試している段階ですが、先日、思いつきで、「クローバー、しりとりをしよう」と話かけると、早速、「しりとりですか、いいですね」との返事。これはおもしろい、ただ相手はAIなので勝てるはずはないと思っていたら、「クローバー」が「では、私から始めます」、「この季節なので、《サマーバケーション》・・・・あっ!!」、そう言って、勝手にしりとりを中止してしまいました。賢いのか、まだ発展途上なのか分かりませんが、しりとりを続けたくはないのはミエミエ。AIは学習能力があるそうなので、あえて最後に「ん」がつく言葉を選んで、自分からしりとりを終わらせるのか、今度は冬に試してみたいと思います。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/11 トランプ大統領 「FRBは米政策金利をゼロかそれ以下に引きさげるべきだ」、「パウエル議長と連邦準備制度は、ばか正直なために、他の国々が既にやっていることを米国は許さない。《愚か者たち》のせいでわれわれは一生に一度の機会を逃がしている」 --------
9/6 パウエル・FRB議長 「米経済に最も可能性の高い見通しは依然として、緩やかな成長と力強い労働市場に加え、インフレ率が当局の2%目標に近づくという好ましいものだ。ただ、世界的な景気減速や貿易政策を巡る不確実性、持続的な低インフレなどを含む大きなリスクは存在するため、それらに注視していく」 --------
9/4 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「国内外の不確実性が、景気見通しと金融政策に関する私の思索において重要な要素になりつつある」 --------
9/2 中国商務省 米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。 --------
9/1 中国国営の新華社通信 米国の経済的な戦争挑発と戦う中国の決意はより強くなっており、対抗措置はさらに毅然として、計画的で狙いを定めたものだ。ホワイトハウスのタリフマンが学ぶべき1つの事実は、中国経済が進行中の貿易戦争でもたらされた圧力に抵抗するのに十分力強く、回復力があるということだ。 --------
8/29 ラガルド・次期ECB総裁 「予見可能な将来において、極めて緩和的な金融政策を続ける必要があることは明らかだ。導入する措置の適切な組み合わせは、インフレ見通しに影響する衝撃の性質や金融市場の状況次第ということになる」 --------
8/27 ダッドリー・前NY連銀総裁 「利下げは2020年の大統領選でトランプ氏の再選を助けるようなもので、これを拒否するべきだ。このままの姿勢ではトランプ政権が貿易戦争のエスカレートという破滅的な道を歩むのを容認することになる。大統領選の敗北も含めて、そのリスクを背負うのは大統領自身だという、明確なシグナルを発信することが必要だ」 --------
8/26 トランプ大統領 「中国と交渉を再開する。とても大きなことが起きるだろう」 ドル円と株価急反発。
8/23 トランプ大統領 「われわれに中国は必要ない」「米国企業には中国からの生産移管を命じる」その後中国製品への関税率引き上げを発表。 ドル円106円台から105円台前半に。NYダウは623ドルの大幅下落。
8/23 パウエル・FRB議長 「金融政策は個人消費や設備投資に働きかける強力な手段だが、国際貿易のために確立された規則書にはならない」「政策対応の見本となるような先例がない」 --------
8/21 FOMC議事録 世界的な低調な成長見通しや通商政策を巡る不確実性の影響に対応し、そうした要因に伴う一段の下振れリスクに対する保険を掛け、さらにインフレ率が2%目標により速やかに戻るのを促進するため、政策決定に賛成票を投じたメンバーらは全体的な政策スタンスをより適切に位置づけることを目指した」「貿易を巡る不確実性が見通しへの根強い向かい風として留まり続ける」 --------
8/19 トランプ大統領 「米政策金利はかなり短期間に少なくとも100bp引き下げられるべきだ。恐らく何らかの量的緩和も伴うべきだ」 --------
8/14 トランプ大統領 「スプレッド(利回り差)はあまりに大きく、何も分かっていない。パウエル議長とFRBに他国は感謝している。ドイツなど多くの国はゲームに興じている!クレージーな逆イールドカーブ!われわれは簡単に大きな報酬と利益を手に入れるはずなのに、FRBがわれわれの妨げになっている。われわれは勝つだろう」 --------
8/14 ラード・セントルイス連銀総裁 「失業率は50年ぶりの低水準に近い。インフレ率は低位で安定している。やや低過ぎだと私は主張してきたが、基本的には低位安定だ。米景気はリセッションではない。よって、将来を戦略的に考えるのに適した時期だ」 --------
8/8 トランプ大統領 「米国の大統領として、私が非常に強いドルを喜ぶと考えている人もいるだろう。だが私は喜んでいない。他国と比較した米金融当局の高い金利水準は、ドルを高い水準で維持し、米国の素晴らしい製造企業が競争するのをより難しくしている」 --------
8/6 トランプ大統領 「(FRBの)無能ぶりは見るに堪えない。いとも簡単に対処できるのに。いずれにせよ、われわれは勝利する。当局はより大幅かつ早急な利下げを行い、そのひどい量的引き締めを即刻停止しなくてはならない」 --------
8/5 ムニューシン財務長官 「中国の直近の措置が作り出した不公正な競争上の優位を是正するため国際通貨基金(IMF)と協力する」米財務省が中国を為替操作国に認定したことについてコメント。 ドル円106円近辺から105円台半ばまで下落。
8/5 トランプ大統領 「為替操作だ。中国は自国通貨を歴史的な安値付近にまで押し下げた。これは<為替操作>と呼ばれる。Fedよ聞いているか?これは重大な違反で、時とともに中国の力を大きく弱めることになる」 --------
8/5 中国人民銀行 「一国主義や貿易保護主義、および対中追加関税などの影響で元相場は今日7元を突破した」人民元安が進み、声明文で。 ドル円106円台半ばから105円台後半へ。日経平均株価500円を超える下落。
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和