今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「原油価格は落ち着きを取り戻す」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円はFOMCを控え小動き。概ね108円台前半での動きとなり、値幅は30銭程度に収まる。
  • ユーロドルは小幅に上昇。独ZEW景況感指数が予想を上回ったことを手掛かりに1.1075までユーロが買われる。
  • 株式市場は反発。攻撃を受けたサウジの石油施設で、一部操業が再開されたことが手掛かりに。ダウは33ドル上昇し、S&P500とナスダックも上昇。
  • 債券相場は続伸。長期金利も1.80%台へと低下。
  • 金は続伸。原油価格は大幅に反落。サウジの石油相が今月末には攻撃を受ける前の水準まで生産が戻ると発表したことが材料に。
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8月鉱工業生       → 0.6%
8月設備稼働率      → 77.9%
9月NAHB住宅市場指数 → 68
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ドル/円 108.06 〜 108.35
ユーロ/ドル 1.1021 〜 1.1075
ユーロ/円 119.16 〜 119.77
NYダウ +33.98 → 27,110.80ドル
GOLD +1.90 → 1,513.40ドル
WTI −3.56 → 59.34ドル
米10年国債 −0.045 → 1.801%

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏8月消費者物価指数(速報値)
  • 英 英8月消費者物価指数
  • 英 英8月小売売上高
  • 米 8月住宅着工件数
  • 米 8月建設許可件数
  • 米 FOMC 政策金利発表
  • 米 パウエル議長記者会見
  • 加 カナダ8月消費者物価指数

前日急騰した原油価格が落ち着きを取り戻し、大きく反落しています。サウジアラビアは、週末の石油施設への攻撃で失われた石油生産量の70%を近く回復すると一部メディアが報じたことが手掛かりになったようです。サウジの石油相も、今月末には生産が攻撃を受ける前の水準まで戻るだろうと述べています。原油価格が落ち着きを取り戻したことで、米国株は上昇し、債券が買い戻され、ドル円も108円台で推移しています。

昨日からFOMCが始まり、明日の朝方には政策金利の発表があります。FOMCとは直接関係はないとは思いますが、昨日のNY短期金融市場では、短期金利が異例の上昇を見せ、NY連銀が10年ぶりとなる「買いオペ」を実施し、市場に資金供給するという事態が発生しました。ブルームバーグによると、フェデラルファンド(FF)金利が17日に8%を超えて記録的なレベルまで急上昇し、誘導目標を大きく超えたため、NY連銀は約530億ドル(約5兆7300億円)を供給したと発表しました。同金利はその後2.5%前後に低下したようですが、FF金利は通常、四半期末や月末には上昇する傾向がありますが、昨日はそういった特異日ではなかったことで異例なことと言えます。短期金融市場は、日本でもそうですが、市中の金融機関がその日の資金繰りの過不足を調整する場として使われています。筆者が担当していた頃は、農林中金などが常に資金の出し手で、都市銀行や外銀などが借り手という構図でした。

FOMCでは25ベーシスの利下げで決まりそうです。株価の上昇や今回起こったサウジの石油施設への攻撃も、現時点では大きな混乱にはつながっていないことから、50ベーシスの利下げの芽は消え去ったと思われます。このため、市場の関心はFRBの利下げ「スタンスの強弱」に移っています。パウエル議長の記者会見発言から、利下げは年内あと1回なのか、あるいは2回なのかを探ることになりそうです。FOMCとその翌日の日銀決定会合でも「無風」で終わるようだと、ドル円は107−109円のレンジ内で膠着しそうな気配です。そして次の材料を探すことになりそうですが、その一つは言うまでもなく、米中通商協議の行方です。

クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は17日、中国が農業に関して貿易障壁の一部を撤廃したことを歓迎するとし、19、20日にワシントンで米中の通商次官級の会合があり、両国の通商担当閣僚が交渉継続のため「10月半ば」に会うだろうと述べています。ただ一方で、交渉は継続されるものの、「合意」に至るには今後もかなりの時間を要すると見られ、トランプ大統領は貿易交渉で取引が成立する可能性について、「(まとまるのは)選挙前あるいは、選挙翌日かもしれない」と語っています。(ブルームバーグ)

ドル円は引き続き底堅い動きを見せています。上記日米の金融政策会合でもドル売りに傾かないようだと、109円台方向にドルが上昇する可能性も意識しています。ドルは急激な米株価と金利の上昇に支えられており、さらに上値も重かった日本株も、昨日は小幅ながら2年ぶりに10日続伸し、日経平均株価が2万2000円の大台を回復したことも投資家のリスク許容度が増し、円を売る動きにつながっています。もっとも、この流れがどこまで続くのかという問題もあります。本日のドルは107円60銭〜108円60銭程度と予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/16 トランプ大統領 「米金融当局のせいで、米国は競争する国々よりずっと高い金利を払っている。ジェイ・パウエルと金融当局が何も理解していないことは、そうした国々にとって信じられないほど幸運だ。そうした状況に加えて、今度は石油がやられた。大幅な金利低下、刺激策が必要だ」 --------
9/11 トランプ大統領 「FRBは米政策金利をゼロかそれ以下に引きさげるべきだ」、「パウエル議長と連邦準備制度は、ばか正直なために、他の国々が既にやっていることを米国は許さない。《愚か者たち》のせいでわれわれは一生に一度の機会を逃がしている」 --------
9/6 パウエル・FRB議長 「米経済に最も可能性の高い見通しは依然として、緩やかな成長と力強い労働市場に加え、インフレ率が当局の2%目標に近づくという好ましいものだ。ただ、世界的な景気減速や貿易政策を巡る不確実性、持続的な低インフレなどを含む大きなリスクは存在するため、それらに注視していく」 --------
9/4 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「国内外の不確実性が、景気見通しと金融政策に関する私の思索において重要な要素になりつつある」 --------
9/2 中国商務省 米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。 --------
9/1 中国国営の新華社通信 米国の経済的な戦争挑発と戦う中国の決意はより強くなっており、対抗措置はさらに毅然として、計画的で狙いを定めたものだ。ホワイトハウスのタリフマンが学ぶべき1つの事実は、中国経済が進行中の貿易戦争でもたらされた圧力に抵抗するのに十分力強く、回復力があるということだ。 --------
8/29 ラガルド・次期ECB総裁 「予見可能な将来において、極めて緩和的な金融政策を続ける必要があることは明らかだ。導入する措置の適切な組み合わせは、インフレ見通しに影響する衝撃の性質や金融市場の状況次第ということになる」 --------
8/27 ダッドリー・前NY連銀総裁 「利下げは2020年の大統領選でトランプ氏の再選を助けるようなもので、これを拒否するべきだ。このままの姿勢ではトランプ政権が貿易戦争のエスカレートという破滅的な道を歩むのを容認することになる。大統領選の敗北も含めて、そのリスクを背負うのは大統領自身だという、明確なシグナルを発信することが必要だ」 --------
8/26 トランプ大統領 「中国と交渉を再開する。とても大きなことが起きるだろう」 ドル円と株価急反発。
8/23 トランプ大統領 「われわれに中国は必要ない」「米国企業には中国からの生産移管を命じる」その後中国製品への関税率引き上げを発表。 ドル円106円台から105円台前半に。NYダウは623ドルの大幅下落。
8/23 パウエル・FRB議長 「金融政策は個人消費や設備投資に働きかける強力な手段だが、国際貿易のために確立された規則書にはならない」「政策対応の見本となるような先例がない」 --------
8/21 FOMC議事録 世界的な低調な成長見通しや通商政策を巡る不確実性の影響に対応し、そうした要因に伴う一段の下振れリスクに対する保険を掛け、さらにインフレ率が2%目標により速やかに戻るのを促進するため、政策決定に賛成票を投じたメンバーらは全体的な政策スタンスをより適切に位置づけることを目指した」「貿易を巡る不確実性が見通しへの根強い向かい風として留まり続ける」 --------
8/19 トランプ大統領 「米政策金利はかなり短期間に少なくとも100bp引き下げられるべきだ。恐らく何らかの量的緩和も伴うべきだ」 --------
8/14 トランプ大統領 「スプレッド(利回り差)はあまりに大きく、何も分かっていない。パウエル議長とFRBに他国は感謝している。ドイツなど多くの国はゲームに興じている!クレージーな逆イールドカーブ!われわれは簡単に大きな報酬と利益を手に入れるはずなのに、FRBがわれわれの妨げになっている。われわれは勝つだろう」 --------
8/14 ラード・セントルイス連銀総裁 「失業率は50年ぶりの低水準に近い。インフレ率は低位で安定している。やや低過ぎだと私は主張してきたが、基本的には低位安定だ。米景気はリセッションではない。よって、将来を戦略的に考えるのに適した時期だ」 --------
8/8 トランプ大統領 「米国の大統領として、私が非常に強いドルを喜ぶと考えている人もいるだろう。だが私は喜んでいない。他国と比較した米金融当局の高い金利水準は、ドルを高い水準で維持し、米国の素晴らしい製造企業が競争するのをより難しくしている」 --------
8/6 トランプ大統領 「(FRBの)無能ぶりは見るに堪えない。いとも簡単に対処できるのに。いずれにせよ、われわれは勝利する。当局はより大幅かつ早急な利下げを行い、そのひどい量的引き締めを即刻停止しなくてはならない」 --------
8/5 ムニューシン財務長官 「中国の直近の措置が作り出した不公正な競争上の優位を是正するため国際通貨基金(IMF)と協力する」米財務省が中国を為替操作国に認定したことについてコメント。 ドル円106円近辺から105円台半ばまで下落。
8/5 トランプ大統領 「為替操作だ。中国は自国通貨を歴史的な安値付近にまで押し下げた。これは<為替操作>と呼ばれる。Fedよ聞いているか?これは重大な違反で、時とともに中国の力を大きく弱めることになる」 --------
8/5 中国人民銀行 「一国主義や貿易保護主義、および対中追加関税などの影響で元相場は今日7元を突破した」人民元安が進み、声明文で。 ドル円106円台半ばから105円台後半へ。日経平均株価500円を超える下落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和