「ISM製造業景況指数10年ぶりの低水準」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は東京タイムから緩やかに上昇し、欧州時間からNY時間の朝方にかけて108円47銭までドル高が進んだが、その後急速に値を崩す。9月のISM製造業景況指数が予想を下回ったことで、107円63銭前後まで売られる。
- ユーロドルも反発。1.09台を回復し、1.0943までユーロ買い戻しが進む。
- 低調な製造業の指数を受けて株式市場は大幅安。ダウは343ドル下落し、11セクター全てが下げる全面安に。
- 債券相場は4日続伸。長期金利は1.63%台へと低下。
- 前日大きく売られた金は反発。原油価格は低調な製造業指数に反応し、3日続落。
9月ISM製造業景況指数 → 47.8
9月自動車販売台数 → 1719万台
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| ドル/円 | 107.63 〜 108.45 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.0885 〜 1.0943 |
| ユーロ/円 | 117.67 〜 118.14 |
| NYダウ | −343.79 → 26,573.04ドル |
| GOLD | +16.10 → 1,489.00ドル |
| WTI | −0.45 → 53.62ドル |
| 米10年国債 | −0.029 → 1.635% |
本日の注目イベント
- 米 9月ADP雇用者数
- 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
- 米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
- 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
今週は、週末の雇用統計とともにISM製造業景況指数も注目されていましたが、昨日発表された同指数が金融市場に大きなインパクトを与えました。供給管理協会(ISM)が発表した9月の製造業景況指数は「47.8」と、2カ月連続で節目の「50」を割り込み、2009年6月以来、10年ぶりの低水準でした。この結果を受け、米景気のリセッション入りの可能性が高まったとの見方からドル円は売られ、株安、債券高から長期金利も低下しています。商品市場でも、今後経済活動が鈍化するとの観測から原油が売られ、リスクオフの流れに沿って金が買われています。
同指数の内訳を見ると、生産指数が「47.3」と、10年ぶりの低水準を示し、雇用指数も「46.3」に沈んでいます。同指数は8月も市場予想を大きく下回り、警戒感が出ていた状況でしたが、10年ぶりの低水準を示したことで、比較的好調な米景気の中でも「製造業」がすでにピークアウトした可能性もあり、8月末から9月に掛けて発生した「逆イールド」を裏付ける格好になっています。足元の2年債利回りは1.54%台であることから、「逆イールド」は発生していませんが、リスクオフが進み長期金利がさらに低下するようなら、再び発生することも予想されます。この結果を受けて金利先物市場では今月のFOMCでの利下げ確率も62.5%まで上昇して来ました。
中国では昨日建国70年を迎え、軍事パレードや習主席の演説など、記念式典を行いましたが、香港では参加者が全体で数万人に達する大規模な抗議デモが行われました。そんな中、警察とデモ隊が衝突し、香港警察官の発砲により18歳の高校生が重体となる事態が発生しました。習主席は演説で、中国本土と香港は一体だと強調し、「一国二制度」は維持していく考えを示しましたが、香港でのデモには言及せず、「いかなる勢力も偉大な祖国の地位を揺るがすことはできない」と、米国を念頭に置いたと思われる内容の演説を行っています。香港でのデモは収まる気配がなく、さらにデモが過激になると、隣接する深釧で待機する軍隊の出動につながる可能性もあり、米中の溝がさらに深まることにもなります。
ドル円は今回も108円台半ばで上昇を抑えられ反落しています。先月18、19日にも108円48銭近辺までドル高が進んだものの、108円50銭を超えられず、今回も同じような動きでした。108円台半ばが徐々に「壁」になりつつあります。一方、日足では、4月に付けたドルの高値である112円40銭を頂点に描ける「レジスタンスライン」を上抜けしたところで推移しており、107円30−40銭がサポートになっていると見られます。従って、このレベルをしっかりと下抜けするようだと、再びドルの底値を探る動きが想定され、逆にここが維持できるようなら、再び上昇に転じる可能性もあると見ています。
トランプ大統領に対する弾劾調査問題や「BREXIT」、米中通商協議など、先行き不透明な問題がありますが、ここは予断を持たずに臨みたいところです。「BREXIT」を巡っては、ジョンソン英首相は、EU離脱に関する最終案を2日にEU側に送り、EU当局が積極的に協議に応じない場合は、話し合いの席を立ち、合意がないまま英国をEUから離脱させると警告しています。(ブルームバーグ)
また 閣僚級の米中通商協議は来週、10、11日にワシントンで再開される見通しですが、それを前に中国の国有企業と民間企業が合わせて最大100万トンの米国産大豆を購入したことが明らかになっています。米国側には好印象を与えるものと思われます。本日のドル円は107円30銭〜108円程度を予想しますが、米国株が大きく下げており、その影響で日本株がどの程度下げるのかにも影響されそうです。日経平均株価が500円以上下げるようだと、上記レンジの下限を割り込むかもしれません。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 9/30 | ドラギ・ECB総裁 | 「(金融緩和は)財政政策からの支援がなければ、長期にわたり続く可能性がある」 | -------- |
| 9/23 | ドラギ・ECB総裁 | 緩和措置を巡る一部の批判に対して、「ユーロ圏は多くの国から成る通貨同盟であるという状況から、これは特に重要だ。このような意思の表明は、ECBの決定の効果を損ねないよう注意して行うべきだ。この点は非常に重要だ」 | -------- |
| 9/19 | ピルズベリー・大統領アドバイザー | 「トランプ大統領には貿易戦争をエスカレートさせる選択肢はあるだろうか。答えはイエスだ。関税は引き上げることができる。低水準にある関税率は、50%ないし100%への引き上げが可能だ」 | ドル円108円台前半から107円84銭まで下落。 |
| 9/18 | トランプ大統領 | 「ジェイ・パウエル氏とFRBはまたもや失敗した。根性も判断力もビジョンもない!ひどいコミュニケーターだ!」 | -------- |
| 9/18 | パウエル・FRB議長 | 「留意すべき情勢の中で米経済の力強さを維持し、継続するリスクに対する保険を提供するため、今回の措置を講じた」「FF金利の緩やかな調整で対応し得る。またそうすべき状況だ。景気拡大の維持に向け、適切に行動する」 | ドル円小幅に上昇市、株価も反発。 |
| 9/16 | トランプ大統領 | 「米金融当局のせいで、米国は競争する国々よりずっと高い金利を払っている。ジェイ・パウエルと金融当局が何も理解していないことは、そうした国々にとって信じられないほど幸運だ。そうした状況に加えて、今度は石油がやられた。大幅な金利低下、刺激策が必要だ」 | -------- |
| 9/11 | トランプ大統領 | 「FRBは米政策金利をゼロかそれ以下に引きさげるべきだ」、「パウエル議長と連邦準備制度は、ばか正直なために、他の国々が既にやっていることを米国は許さない。《愚か者たち》のせいでわれわれは一生に一度の機会を逃がしている」 | -------- |
| 9/6 | パウエル・FRB議長 | 「米経済に最も可能性の高い見通しは依然として、緩やかな成長と力強い労働市場に加え、インフレ率が当局の2%目標に近づくという好ましいものだ。ただ、世界的な景気減速や貿易政策を巡る不確実性、持続的な低インフレなどを含む大きなリスクは存在するため、それらに注視していく」 | -------- |
| 9/4 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「国内外の不確実性が、景気見通しと金融政策に関する私の思索において重要な要素になりつつある」 | -------- |
| 9/2 | 中国商務省 | 米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。 | -------- |
| 9/1 | 中国国営の新華社通信 | 米国の経済的な戦争挑発と戦う中国の決意はより強くなっており、対抗措置はさらに毅然として、計画的で狙いを定めたものだ。ホワイトハウスのタリフマンが学ぶべき1つの事実は、中国経済が進行中の貿易戦争でもたらされた圧力に抵抗するのに十分力強く、回復力があるということだ。 | -------- |
| 8/29 | ラガルド・次期ECB総裁 | 「予見可能な将来において、極めて緩和的な金融政策を続ける必要があることは明らかだ。導入する措置の適切な組み合わせは、インフレ見通しに影響する衝撃の性質や金融市場の状況次第ということになる」 | -------- |
| 8/27 | ダッドリー・前NY連銀総裁 | 「利下げは2020年の大統領選でトランプ氏の再選を助けるようなもので、これを拒否するべきだ。このままの姿勢ではトランプ政権が貿易戦争のエスカレートという破滅的な道を歩むのを容認することになる。大統領選の敗北も含めて、そのリスクを背負うのは大統領自身だという、明確なシグナルを発信することが必要だ」 | -------- |
| 8/26 | トランプ大統領 | 「中国と交渉を再開する。とても大きなことが起きるだろう」 | ドル円と株価急反発。 |
| 8/23 | トランプ大統領 | 「われわれに中国は必要ない」「米国企業には中国からの生産移管を命じる」その後中国製品への関税率引き上げを発表。 | ドル円106円台から105円台前半に。NYダウは623ドルの大幅下落。 |
| 8/23 | パウエル・FRB議長 | 「金融政策は個人消費や設備投資に働きかける強力な手段だが、国際貿易のために確立された規則書にはならない」「政策対応の見本となるような先例がない」 | -------- |
| 8/21 | FOMC議事録 | 世界的な低調な成長見通しや通商政策を巡る不確実性の影響に対応し、そうした要因に伴う一段の下振れリスクに対する保険を掛け、さらにインフレ率が2%目標により速やかに戻るのを促進するため、政策決定に賛成票を投じたメンバーらは全体的な政策スタンスをより適切に位置づけることを目指した」「貿易を巡る不確実性が見通しへの根強い向かい風として留まり続ける」 | -------- |
| 8/19 | トランプ大統領 | 「米政策金利はかなり短期間に少なくとも100bp引き下げられるべきだ。恐らく何らかの量的緩和も伴うべきだ」 | -------- |
| 8/14 | トランプ大統領 | 「スプレッド(利回り差)はあまりに大きく、何も分かっていない。パウエル議長とFRBに他国は感謝している。ドイツなど多くの国はゲームに興じている!クレージーな逆イールドカーブ!われわれは簡単に大きな報酬と利益を手に入れるはずなのに、FRBがわれわれの妨げになっている。われわれは勝つだろう」 | -------- |
| 8/14 | ラード・セントルイス連銀総裁 | 「失業率は50年ぶりの低水準に近い。インフレ率は低位で安定している。やや低過ぎだと私は主張してきたが、基本的には低位安定だ。米景気はリセッションではない。よって、将来を戦略的に考えるのに適した時期だ」 | -------- |
| 8/8 | トランプ大統領 | 「米国の大統領として、私が非常に強いドルを喜ぶと考えている人もいるだろう。だが私は喜んでいない。他国と比較した米金融当局の高い金利水準は、ドルを高い水準で維持し、米国の素晴らしい製造企業が競争するのをより難しくしている」 | -------- |
| 8/6 | トランプ大統領 | 「(FRBの)無能ぶりは見るに堪えない。いとも簡単に対処できるのに。いずれにせよ、われわれは勝利する。当局はより大幅かつ早急な利下げを行い、そのひどい量的引き締めを即刻停止しなくてはならない」 | -------- |
| 8/5 | ムニューシン財務長官 | 「中国の直近の措置が作り出した不公正な競争上の優位を是正するため国際通貨基金(IMF)と協力する」米財務省が中国を為替操作国に認定したことについてコメント。 | ドル円106円近辺から105円台半ばまで下落。 |
| 8/5 | トランプ大統領 | 「為替操作だ。中国は自国通貨を歴史的な安値付近にまで押し下げた。これは<為替操作>と呼ばれる。Fedよ聞いているか?これは重大な違反で、時とともに中国の力を大きく弱めることになる」 | -------- |
| 8/5 | 中国人民銀行 | 「一国主義や貿易保護主義、および対中追加関税などの影響で元相場は今日7元を突破した」人民元安が進み、声明文で。 | ドル円106円台半ばから105円台後半へ。日経平均株価500円を超える下落。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



