「米長期金利上昇しドル円107円台半ばに」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 米中通商協議の進展期待からドルが買い戻されドル円は107円台を回復。長期金利の上昇に反応し107円46銭までドル高に。
- ユーロドルは小幅に反落。ドル高が進み、1.0969までユーロが売られる。
- 株式市場は3日ぶりに反落。連日の急上昇の影響もあり、利益確定の売りに押された。ダウは95ドル安。
- 債券相場も反落し長期金利は1.55%台へと上昇。
- 金は続落し、原油はほぼ横ばい。
8月消費者信用残高 → 179.0億ドル
********************
| ドル/円 | 106.81 〜 107.46 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.0969 〜 1.1001 |
| ユーロ/円 | 117.35 〜 117.90 |
| NYダウ | −95.70 → 26,478.12ドル |
| GOLD | −8.50 → 1,504.40ドル |
| WTI | −0.06 → 52.75ドル |
| 米10年国債 | +0.029 → 1.558% |
本日の注目イベント
- 豪 豪9月NAB企業景況感指数
- 日 8月国際収支・貿易収支
- 日 9月景気ウオッチャー調査
- 中 中国9月財新サービス業PMI
- 中 中国9月財新コンポジットPMI
- 独 独8月鉱工業生産
- 英 カーニー・BOE総裁講演(東京)
- 米 9月生産者物価指数
- 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
- 米 パウエル・FRB議長講演
- 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
- 加 カナダ9月住宅着工件数
- 加 カナダ8月建設許可件数
ドル円は再び107円台を回復し、107円台半ばまでドル高が進みました。先週後半からは106円台半ばを3回試したものの、下値は限定的でした。不確定要素が多い中、市場はまだ決定的な方向性を掴みきれない展開が続いています。
ドル買い戻しを促したのは米中通商協議を巡る報道でした。中国は米国との通商協議では可能な部分で合意を取りまとめ、より困難な問題は来年に交渉する工程表を作成する用意があるとブルームバーグが伝えました。昨日の朝方は、中国が米国との通商協議で議論の範囲を狭めるとの報道でドル円は売られ、106円台半ばまで円高が進む場面もあり、ここ数日は通商協議を巡る報道に振り回される展開になっています。市場関係者も協議の結果を予想できずにいることも、相場を振れやすくしているようです。トランプ大統領も7日ホワイトハウスで、今週の米中通商協議について尋ねられ、中国との部分的な貿易合意は「われわれの望むものではない」とし、「私は大きな取引をまとめることに傾いている」と、部分的合意には否定的な考えを示しています。
昨日はトランプ大統領に対する弾劾調査問題以外でも、同氏の話題がニュースのヘッドラインを飾っていました。トランプ大統領に税務記録提出を求めたNY連邦地裁の判断を違法として控訴していた件で、米連邦高等裁判所は7日、執行阻止を訴えるトランプ氏の主張を認める判断を行いました。それにしても何と話題の多い大統領でしょうか。ロシア疑惑に始まって、今回はバイデン前副大統領の息子の企業活動に違法性の疑いがあるとして、ウクライナと中国に調査を要請するなど、2020年の大統領選まで、今後何が出て来るのか予測不可能な状況です。その大統領選では、民主党候補の動きに変化が出て来ました。有力候補の一人であったバニー・サンダース候補が、健康が優れないことを理由に選挙活動を中止した一方、エリザベス・ウォーレン候補の支持率が急上昇していると報じられています。このままで行くと、バイデン氏とウォーレン氏の一騎打ちということになりそうです。民主党内には、「バイデン氏ではなくウォーレン氏なら、トランプ氏に勝てる」という見方もあるようです。
米中通商協議は10−11日の予定で行われますが、その前に本日から次官級の協議がスタートするようです。足元の相場は米中通商協議に関する報道で動いていることから、協議に関する報道が引き続き相場の方向性を決めそうです。106−108円のレンジがどちらにブレイクするのか、現時点では予想も難しい状況です。周りを見ると円高材料が目立ちますが、それでもドル円は堅調に推移しており、健闘していると言えます。今後は米中通商協議に加え、来週15日には中国製品2500億ドル(約26兆8000億円)に対する30%の関税賦課の期限を迎えます。またその後にも日米欧の金融政策発表、さらにはBREXITがあり、香港での民主化運動はさらに激化しています。香港での混乱については、トランプ氏は中国に対し「平和的解決」を行うようけん制しており、そうでない場合、米中通商協議にも影響が出て来ると警告しています。上記レンジは今月中にはどちらかにブレイクすると予想しています。本日の予想レンジは106円80銭〜107円60銭程度と見ます。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 10/6 | ジョンソン・英首相 | 「われわれは荷物をまとめて出て行くことになるだろう。EUが相互に受け入れ可能な合意の下でわれわれを陽気に見送るか、われわれが勝手に出て行かざるを得ないか、それだけの問題だ」(英紙テレグラフで) | -------- |
| 10/4 | ジョージ・カンザスシティー連銀 | 「一段の成長減速の兆候があれば追加利下げに賛成する用意がある」 | -------- |
| 10/4 | パウエル・FRB議長 | 「米経済はいくらかリスクを抱えているものの、総じて良好な状態にあると言えるだろう」「失業率は半世紀ぶりの低水準付近にあり、インフレ率は当局の2%目標付近だがそれをやや下回った水準で推移している。われわれの仕事は、可能な限り長期間、その状態を維持することだ」 | -------- |
| 9/30 | ドラギ・ECB総裁 | 「(金融緩和は)財政政策からの支援がなければ、長期にわたり続く可能性がある」 | -------- |
| 9/23 | ドラギ・ECB総裁 | 緩和措置を巡る一部の批判に対して、「ユーロ圏は多くの国から成る通貨同盟であるという状況から、これは特に重要だ。このような意思の表明は、ECBの決定の効果を損ねないよう注意して行うべきだ。この点は非常に重要だ」 | -------- |
| 9/19 | ピルズベリー・大統領アドバイザー | 「トランプ大統領には貿易戦争をエスカレートさせる選択肢はあるだろうか。答えはイエスだ。関税は引き上げることができる。低水準にある関税率は、50%ないし100%への引き上げが可能だ」 | ドル円108円台前半から107円84銭まで下落。 |
| 9/18 | トランプ大統領 | 「ジェイ・パウエル氏とFRBはまたもや失敗した。根性も判断力もビジョンもない!ひどいコミュニケーターだ!」 | -------- |
| 9/18 | パウエル・FRB議長 | 「留意すべき情勢の中で米経済の力強さを維持し、継続するリスクに対する保険を提供するため、今回の措置を講じた」「FF金利の緩やかな調整で対応し得る。またそうすべき状況だ。景気拡大の維持に向け、適切に行動する」 | ドル円小幅に上昇市、株価も反発。 |
| 9/16 | トランプ大統領 | 「米金融当局のせいで、米国は競争する国々よりずっと高い金利を払っている。ジェイ・パウエルと金融当局が何も理解していないことは、そうした国々にとって信じられないほど幸運だ。そうした状況に加えて、今度は石油がやられた。大幅な金利低下、刺激策が必要だ」 | -------- |
| 9/11 | トランプ大統領 | 「FRBは米政策金利をゼロかそれ以下に引きさげるべきだ」、「パウエル議長と連邦準備制度は、ばか正直なために、他の国々が既にやっていることを米国は許さない。《愚か者たち》のせいでわれわれは一生に一度の機会を逃がしている」 | -------- |
| 9/6 | パウエル・FRB議長 | 「米経済に最も可能性の高い見通しは依然として、緩やかな成長と力強い労働市場に加え、インフレ率が当局の2%目標に近づくという好ましいものだ。ただ、世界的な景気減速や貿易政策を巡る不確実性、持続的な低インフレなどを含む大きなリスクは存在するため、それらに注視していく」 | -------- |
| 9/4 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「国内外の不確実性が、景気見通しと金融政策に関する私の思索において重要な要素になりつつある」 | -------- |
| 9/2 | 中国商務省 | 米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。 | -------- |
| 9/1 | 中国国営の新華社通信 | 米国の経済的な戦争挑発と戦う中国の決意はより強くなっており、対抗措置はさらに毅然として、計画的で狙いを定めたものだ。ホワイトハウスのタリフマンが学ぶべき1つの事実は、中国経済が進行中の貿易戦争でもたらされた圧力に抵抗するのに十分力強く、回復力があるということだ。 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



