今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「中国、一部合意を排除しない」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は上昇し、107円63銭まで買われた。通商協議で中国が部分的な合意を受け入れることを排除しないと一部のメディアが報じたことが材料となり円が売られた。
  • ユーロドルは小動き。1.09台半ばから後半で推移し、値幅も16ポイント程度に収まる。
  • 株式市場は米中通商協議に部分合意の可能性が出てきたことで主要指数は反発。ダウは181ドル上昇し、VIX指数も低下。
  • 債券相場は反落。長期金利は1.58%台へと上昇。
  • 金は続伸し、原油は小幅ながら3日続落。
ドル/円 107.32 〜 107.63
ユーロ/ドル 1.0968 〜 1.0984
ユーロ/円 117.77 〜 118.09
NYダウ +181.97 → 26,346.01ドル
GOLD +8.90 → 1,512.80ドル
WTI −0.04 → 52.59ドル
米10年国債 +0.040 → 1.584%

本日の注目イベント

  • 独 独8月貿易収支
  • 独 独8月経常収支
  • 英 英8月鉱工業生産
  • 英 英8月貿易収支
  • 欧 ECB議事要旨
  • 欧 OPEC月報
  • 米 9月消費者物価指数
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
  • 米 米中閣僚通商協議(11日まで)

昨日この欄で述べたように、足元の金融市場は、為替も含めて米中協議に関する情報がネガティブかポジティブかで方向が決まる展開が続いています。昨日のNY時間では一部メディアが、中国は米国との部分的な貿易協定への合意をまだ排除していないと伝えたことが材料視され、本日から始まる米中通商協議への楽観的な見方が広がり、ややリスクオンに傾いています。また、英フィナンシャルタイムズ(FT)は、中国が米国産大豆の購入を年3000万トンと現在の2000万トンから増やすことを提案していると、事情に詳しい関係者の話を基に報じています。

ただ米中協議の合意については、これまでトランプ大統領は「部分的合意」に否定的で、米国の望むところではないと繰り返し述べています。従って、この報道をそのまま鵜呑みにするわけにもいきません。中国共産党機関紙・人民日報系の新聞である「環球時報」は論説で、「貿易協議が開かれるたびに最善の結果を目指して努力する必要はあるが、新たな緊張を恐れずにわが国の中核的な利益を守ることも大事だ」と述べており、「貿易戦争の終了時期は中国が決めることではない」と論じ、中国側は既に譲歩しており、ボールは米国側にあることを主張しています。また先行して行われた次官級協議では、中国側は強制的な技術移転への対処を拒否し、中国政府の補助金問題の協議も避けられたと、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が報じています。(ブルームバーグ)

先月17−18日に開催され、25ベーシスの利下げを決めたFOMCの議事録が公開されました。議事録では、「経済活動の見通しに対する下振れリスクは7月会合以降に幾分か強まり、貿易政策に関する不透明感や海外事情に起因するものが顕著だというのが、参加者の全般的な判断だ」と記述されていました。また市場の追加緩和期待と当局者の政策見通しに隔たりがあることに、「数人の参加者」が違和感を覚えつつあったことも示されており、参加者の金利予測もばらばらであったと記述されています。

それでも昨日のドル円は1週間ぶりのドル高水準まで上昇しています。本稿執筆時には、上記サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙のニュースに反応したのか、107円近辺まで押し戻されていますが、いずれにしても明確な方向感はなく、106円台半ば〜107円台半ばでのもみ合いになっています。本日からは閣僚級の協議が始まります。個人的には合意の可能性は極めて低い状況ですが、それでも景気減速が鮮明な中国としては、米国による30%の関税賦課は避けたいところ。一方のトランプ政権も、弾劾調査問題や製造業を中心に景気後退の足音が聞こえる状況の中、貿易戦争の激化で景気悪化の種を撒くことは避けたいといった事情もあります。トランプ氏自身にとっても、来年の大統領選を巡る戦いではバイデン候補を攻撃している間に、ウォーレン候補の台頭が著しく、直近の調査では支持率ではトップになっている模様です。ここで、効果的で勝利を手繰り寄せるホームランも欲しいところです。協議に関する報道を注視したいと思います。本日のドル円は106円70銭〜107円70銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
10/8 エバンス・シカゴ連銀総裁 「さらなる保険として、25ベーシスポイント引き下げる根拠は十分ありそうだ」 --------
10/6 ジョンソン・英首相 「われわれは荷物をまとめて出て行くことになるだろう。EUが相互に受け入れ可能な合意の下でわれわれを陽気に見送るか、われわれが勝手に出て行かざるを得ないか、それだけの問題だ」(英紙テレグラフで) --------
10/4 ジョージ・カンザスシティー連銀 「一段の成長減速の兆候があれば追加利下げに賛成する用意がある」 --------
10/4 パウエル・FRB議長 「米経済はいくらかリスクを抱えているものの、総じて良好な状態にあると言えるだろう」「失業率は半世紀ぶりの低水準付近にあり、インフレ率は当局の2%目標付近だがそれをやや下回った水準で推移している。われわれの仕事は、可能な限り長期間、その状態を維持することだ」 --------
9/30 ドラギ・ECB総裁 「(金融緩和は)財政政策からの支援がなければ、長期にわたり続く可能性がある」 --------
9/23 ドラギ・ECB総裁 緩和措置を巡る一部の批判に対して、「ユーロ圏は多くの国から成る通貨同盟であるという状況から、これは特に重要だ。このような意思の表明は、ECBの決定の効果を損ねないよう注意して行うべきだ。この点は非常に重要だ」 --------
9/19 ピルズベリー・大統領アドバイザー 「トランプ大統領には貿易戦争をエスカレートさせる選択肢はあるだろうか。答えはイエスだ。関税は引き上げることができる。低水準にある関税率は、50%ないし100%への引き上げが可能だ」 ドル円108円台前半から107円84銭まで下落。
9/18 トランプ大統領 「ジェイ・パウエル氏とFRBはまたもや失敗した。根性も判断力もビジョンもない!ひどいコミュニケーターだ!」 --------
9/18 パウエル・FRB議長 「留意すべき情勢の中で米経済の力強さを維持し、継続するリスクに対する保険を提供するため、今回の措置を講じた」「FF金利の緩やかな調整で対応し得る。またそうすべき状況だ。景気拡大の維持に向け、適切に行動する」 ドル円小幅に上昇市、株価も反発。
9/16 トランプ大統領 「米金融当局のせいで、米国は競争する国々よりずっと高い金利を払っている。ジェイ・パウエルと金融当局が何も理解していないことは、そうした国々にとって信じられないほど幸運だ。そうした状況に加えて、今度は石油がやられた。大幅な金利低下、刺激策が必要だ」 --------
9/11 トランプ大統領 「FRBは米政策金利をゼロかそれ以下に引きさげるべきだ」、「パウエル議長と連邦準備制度は、ばか正直なために、他の国々が既にやっていることを米国は許さない。《愚か者たち》のせいでわれわれは一生に一度の機会を逃がしている」 --------
9/6 パウエル・FRB議長 「米経済に最も可能性の高い見通しは依然として、緩やかな成長と力強い労働市場に加え、インフレ率が当局の2%目標に近づくという好ましいものだ。ただ、世界的な景気減速や貿易政策を巡る不確実性、持続的な低インフレなどを含む大きなリスクは存在するため、それらに注視していく」 --------
9/4 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「国内外の不確実性が、景気見通しと金融政策に関する私の思索において重要な要素になりつつある」 --------
9/2 中国商務省 米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。 --------
9/1 中国国営の新華社通信 米国の経済的な戦争挑発と戦う中国の決意はより強くなっており、対抗措置はさらに毅然として、計画的で狙いを定めたものだ。ホワイトハウスのタリフマンが学ぶべき1つの事実は、中国経済が進行中の貿易戦争でもたらされた圧力に抵抗するのに十分力強く、回復力があるということだ。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和