今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円108円台半ばで推移」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 先週末、米中貿易交渉の一部合意を受け108円62銭まで買われたドル円は小幅に反落。欧州時間には108円02銭まで下げたが108円台は維持し、NY時間には108円46銭まで反発。
  • ユーロドルは1.10台前半で小動き。高値は1.1033。
  • 株式市場は3指数とも揃って反落。先週末に大幅上昇したが、中国がさらなる交渉を求めていることで今後の交渉難航も予想されることでダウは29ドル安。
  • 債券は続落。長期金利は1.73%近辺まで上昇。
  • 金は反発し、原油は反落。
ドル/円 108.22 〜 108.46
ユーロ/ドル 1.1018 〜 1.1033
ユーロ/円 119.33 〜 119.56
NYダウ −29.23 → 26,787.36ドル
GOLD +8.90 → 1,497.60ドル
WTI −1.11 → 53.59ドル
米10年国債 +0.059 → 1.729%

本日の注目イベント

  • 豪 RBA議事録
  • 日 黒田日銀総裁講演
  • 日 日銀さくらリポート公表
  • 日 8月鉱工業生産(確定値)
  • 中 中国9月消費者物価指数
  • 中 中国9月生産者物価指数
  • 独 独10月ZEW景気期待指数
  • 英 英9月失業率
  • 英 カーニー・BOE総裁議会証言
  • 米 10月NY連銀製造業景況指数
  • 米 企業決算 → シティーグループ、JPモルガン、ウェルズファーゴ、ジョンソン&ジョンソン、ブラックロック
  • 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演

先週2日間の日程で行われた米中通商協議が「部分的合意」に至ったことで、市場は一気にリスクオンに傾き、ドル円はこれまで「壁」になっていた108円台半ばを抜け、108円62銭までドル高が進みました。株式市場も「部分的合意」を好感し、ダウは319ドル上昇し、ほぼ全面高の展開を見せ、安全資産の債券は下落し、長期金利が上昇しています。

合意内容は、中国が米農産品を400−500億ドル(約5兆4000億円)輸入することや、中国を為替操作国に認定している件については今後検討すること。さらにはファーウェイへの禁輸措置についても、今後協議を行うというものです。これら「部分的合意」に達したことで、トランプ政権は本来なら本日15日から発動予定であった中国製品2500億ドルに対する制裁関税を延期することを決めています。「部分的合意」の可能性は予想されていましたが、これまでトランプ大統領は「部分的な合意はしない」と明言していたことから、合意は難しいと個人的には予想していました。この辺りの方針変更も、いかにもトランプ流と言えます。最初に脅しをかけ、その後相手の出方を見極めながら、手綱をゆっくりと緩めていくやり方です。

昨日は先週末と異なりややリスクオンの流れが後退しました。中国側が詳細を詰めるためのさらなる協議を早ければ今月末にも持ちたい意向を示し、習近平主席が署名に合意するのは、その後だと主張しているようです。また、米国は本日発動する予定だった関税引き上げを見送りましたが、12月に予定している関税引き上げについては保留しています。中国側はこの関税引き上げも撤回を望んでいると、ブルームバーグは報じています。ムニューシン財務長官は14日にCNBCとのインタビューで、米中が第一段階の合意署名できるよう両国当局者が今後数週間かけて作業する。これが実現しなければ、12月15日に予定している追加関税の発動に踏み切ると述べています。同時にムニューシン氏は、トランプ氏と習氏が来月チリで開かれるサミットで最終合意する見通しだとも述べています。

米中貿易戦争については、ひとまず最悪の事態は避けられることになりましたが、EUに対する関税引き上げは18日に発動される予定で、さらに米国はトルコに対する鉄鋼関税を50%に引き上げるとともに、貿易協定を巡る交渉を停止することを明らかにしています。目先の最大の貿易摩擦は回避できましたが、まだ米国で発生した「関税引き上げ」という嵐は猛威を振るいそうです。

ドル円は108円台半ばを超え、さらには「120日移動平均線」も超えてきました。円高材料が多く見られる中、テクニカルの示唆が優勢な展開です。次の上値のメドは「200日移動平均線」がある、109円前後ということになります。本日のレンジは108円〜108円70銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
10/10 トランプ大統領 米中貿易協議について、「非常にうまく行った。われわれはここで明日彼らと会うだろう。極めて順調だ」 ドル円107円80銭から108円台を回復。
10/8 エバンス・シカゴ連銀総裁 「さらなる保険として、25ベーシスポイント引き下げる根拠は十分ありそうだ」 --------
10/6 ジョンソン・英首相 「われわれは荷物をまとめて出て行くことになるだろう。EUが相互に受け入れ可能な合意の下でわれわれを陽気に見送るか、われわれが勝手に出て行かざるを得ないか、それだけの問題だ」(英紙テレグラフで) --------
10/4 ジョージ・カンザスシティー連銀 「一段の成長減速の兆候があれば追加利下げに賛成する用意がある」 --------
10/4 パウエル・FRB議長 「米経済はいくらかリスクを抱えているものの、総じて良好な状態にあると言えるだろう」「失業率は半世紀ぶりの低水準付近にあり、インフレ率は当局の2%目標付近だがそれをやや下回った水準で推移している。われわれの仕事は、可能な限り長期間、その状態を維持することだ」 --------
9/30 ドラギ・ECB総裁 「(金融緩和は)財政政策からの支援がなければ、長期にわたり続く可能性がある」 --------
9/23 ドラギ・ECB総裁 緩和措置を巡る一部の批判に対して、「ユーロ圏は多くの国から成る通貨同盟であるという状況から、これは特に重要だ。このような意思の表明は、ECBの決定の効果を損ねないよう注意して行うべきだ。この点は非常に重要だ」 --------
9/19 ピルズベリー・大統領アドバイザー 「トランプ大統領には貿易戦争をエスカレートさせる選択肢はあるだろうか。答えはイエスだ。関税は引き上げることができる。低水準にある関税率は、50%ないし100%への引き上げが可能だ」 ドル円108円台前半から107円84銭まで下落。
9/18 トランプ大統領 「ジェイ・パウエル氏とFRBはまたもや失敗した。根性も判断力もビジョンもない!ひどいコミュニケーターだ!」 --------
9/18 パウエル・FRB議長 「留意すべき情勢の中で米経済の力強さを維持し、継続するリスクに対する保険を提供するため、今回の措置を講じた」「FF金利の緩やかな調整で対応し得る。またそうすべき状況だ。景気拡大の維持に向け、適切に行動する」 ドル円小幅に上昇市、株価も反発。
9/16 トランプ大統領 「米金融当局のせいで、米国は競争する国々よりずっと高い金利を払っている。ジェイ・パウエルと金融当局が何も理解していないことは、そうした国々にとって信じられないほど幸運だ。そうした状況に加えて、今度は石油がやられた。大幅な金利低下、刺激策が必要だ」 --------
9/11 トランプ大統領 「FRBは米政策金利をゼロかそれ以下に引きさげるべきだ」、「パウエル議長と連邦準備制度は、ばか正直なために、他の国々が既にやっていることを米国は許さない。《愚か者たち》のせいでわれわれは一生に一度の機会を逃がしている」 --------
9/6 パウエル・FRB議長 「米経済に最も可能性の高い見通しは依然として、緩やかな成長と力強い労働市場に加え、インフレ率が当局の2%目標に近づくという好ましいものだ。ただ、世界的な景気減速や貿易政策を巡る不確実性、持続的な低インフレなどを含む大きなリスクは存在するため、それらに注視していく」 --------
9/4 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「国内外の不確実性が、景気見通しと金融政策に関する私の思索において重要な要素になりつつある」 --------
9/2 中国商務省 米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。 --------
9/1 中国国営の新華社通信 米国の経済的な戦争挑発と戦う中国の決意はより強くなっており、対抗措置はさらに毅然として、計画的で狙いを定めたものだ。ホワイトハウスのタリフマンが学ぶべき1つの事実は、中国経済が進行中の貿易戦争でもたらされた圧力に抵抗するのに十分力強く、回復力があるということだ。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和