「英、EU離脱合意観測高まりポンド全面高」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は続伸。英国とEUの交渉担当者が離脱合意の草案取りまとめに近づいているとの報道に、リスクオンが強まり、ドル円は108円90銭まで上昇。
- ユーロドルも英国のEU離脱合意が近いとの見方から買われ1.1045までユーロ高が進む、ユーロは対円でも120円22銭近辺まで上昇し、2カ月半ぶりの高値を付ける。
- 株式市場は大幅に反発。欧州の政治的リスクが後退したことを好感しダウは一時300ドルを超える上昇。引け値は237ドル高と、2万7000ドルの大台を回復。
- リスク選好が進み、債券は続落。長期金利は1.77%台へと上昇。
- ドル高から金は反落し、原油は続落。
10月NY連銀製造業景況指数 → 4.0
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| ドル/円 | 108.30 〜 108.90 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.0991 〜 1.1045 |
| ユーロ/円 | 119.12 〜 120.22 |
| NYダウ | +237.44 → 27,024.80ドル |
| GOLD | −14.10 → 1,483.50ドル |
| WTI | −0.78 → 52.81ドル |
| 米10年国債 | +0.042 → 1.771% |
本日の注目イベント
- 欧 ユーロ圏8月貿易収支
- 欧 ユーロ圏9月消費者物価指数(改定値)
- 英 英9月消費者物価指数
- 米 9月小売売上高
- 米 10月NAHB住宅市場指数
- 加 カナダ9月消費者物価指数
- 米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
- 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
- 米 企業決算 → ネットフリックス
イギリスとEUの交渉担当者らが離脱合意の草案の取りまとめに近づいており、15日中にも事態が打開されるとの期待からポンドが全面高の展開です。一方、リスク選好が強まり、株価が上昇。長期金利も上昇したことから円は全面安となり、ドル円は109円には届かなかったものの、108円90銭までドル高円安が進みました。昨日この欄で指摘したように、この直ぐ上方には重要な「200日移動平均線」があり、その点も意識されたようです。
米中通商協議では部分合意したものの、中国側は、米国が報復関税を維持する限り年間500億ドル(約5兆4200億円)相当の米国産農産物の購入は難しいと見ており、米国側が主張する購入額を達成するのは困難との見方を、事情に詳しい関係者の話としてブルームバーグが伝えています。それによると、中国企業はこれまでに大豆2000万トン、豚肉70万トンをはじめとする米国産農産物を購入しており、購入を加速させるには、まず関税を撤廃することが先だといった考えが、中国側にあるようです。今回の部分合意に関しては詳細を詰め、11月16−17日に南米チリで開催されるAPEC首脳会議の席で、トランプ大統領と習近平主席が署名する見通しです。ただ、今回発動が回避された関税が撤廃されるのか、あるいは12月15日に予定されている別の関税と併せて発動になるのかまだ決まっていないようです。従って、今後の中国の対応次第ではまだ紆余曲折が十分ありそうです。
IMFは昨日「世界景気見通し」を発表しました。世界全体の成長率を、7月時点から0.2ポイント下方修正し「3.0%」とし、米国も0.2ポイント下方修正し「2.4%」にしました。また、日本については今年の成長率を「0.9%」と据え置いたものの、20年については0.1ポイント引き上げ「0.5%」とし、中国は今年を「6.1%」、20年を「5.8%」にいずれも下方修正しています。IMFは四半期ごとに「世界経済見通し」を発表していますが、これで5期連続の下方修正となります。IMFのチーフエコノミストは、「減速の同時発生と不確かな回復に伴い、グローバルな見通しはなお不安定だ。政策ミスの余地はなく、政策担当者が貿易摩擦を地政学的緊張の緩和で協調することが急務だ」と指摘しています。(ブルームバーグ)
ドル円は依然として貿易摩擦や、中東の地政学的リスクがありながらも、上昇してきました。昨日はイギリスの「ソフトブレグジット」が高まり、ポンドが買われたことによる影響があったと思われますが、これまでにも述べてきたように、今月末には日米欧の金融政策の発表も控えており、相場のボラティリティは上昇する傾向にあります。昨日もセントルイス連銀のブラード総裁は、米中の貿易摩擦といった経済へのリスクに備え、金融当局は追加利下げを検討すべきとの考えを示しています。今月末のFOMCで、25ベーシスの利下げはほぼ間違いないと思われますが、併せて今回は日銀も何らかの政策変更に踏み切ると予想しています。今月末に向けて相場が乱高下する可能性は高いと見られます。
本日は109円台を回復できるのかどうかが焦点です。上記「200日移動平均線」もあり、ある程度の抵抗が見られるでしょう。109円前後にあると思われるドル売り注文をこなしながら上昇できるかどうかですが、本日のドル円は108円30銭〜109円20銭程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 10/15 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「今後の会合で追加の保険を検討する必要がある」 | -------- |
| 10/15 | ギータ・ゴピナート・IMFチーフエコノミスト | 「減速の同時発生と不確かな回復に伴い、グローバルな見通しはなお不安定だ。政策ミスの余地はなく、政策担当者が貿易摩擦を地政学的緊張の緩和で協調することが急務だ」 | -------- |
| 10/10 | トランプ大統領 | 米中貿易協議について、「非常にうまく行った。われわれはここで明日彼らと会うだろう。極めて順調だ」 | ドル円107円80銭から108円台を回復。 |
| 10/8 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「さらなる保険として、25ベーシスポイント引き下げる根拠は十分ありそうだ」 | -------- |
| 10/6 | ジョンソン・英首相 | 「われわれは荷物をまとめて出て行くことになるだろう。EUが相互に受け入れ可能な合意の下でわれわれを陽気に見送るか、われわれが勝手に出て行かざるを得ないか、それだけの問題だ」(英紙テレグラフで) | -------- |
| 10/4 | ジョージ・カンザスシティー連銀 | 「一段の成長減速の兆候があれば追加利下げに賛成する用意がある」 | -------- |
| 10/4 | パウエル・FRB議長 | 「米経済はいくらかリスクを抱えているものの、総じて良好な状態にあると言えるだろう」「失業率は半世紀ぶりの低水準付近にあり、インフレ率は当局の2%目標付近だがそれをやや下回った水準で推移している。われわれの仕事は、可能な限り長期間、その状態を維持することだ」 | -------- |
| 9/30 | ドラギ・ECB総裁 | 「(金融緩和は)財政政策からの支援がなければ、長期にわたり続く可能性がある」 | -------- |
| 9/23 | ドラギ・ECB総裁 | 緩和措置を巡る一部の批判に対して、「ユーロ圏は多くの国から成る通貨同盟であるという状況から、これは特に重要だ。このような意思の表明は、ECBの決定の効果を損ねないよう注意して行うべきだ。この点は非常に重要だ」 | -------- |
| 9/19 | ピルズベリー・大統領アドバイザー | 「トランプ大統領には貿易戦争をエスカレートさせる選択肢はあるだろうか。答えはイエスだ。関税は引き上げることができる。低水準にある関税率は、50%ないし100%への引き上げが可能だ」 | ドル円108円台前半から107円84銭まで下落。 |
| 9/18 | トランプ大統領 | 「ジェイ・パウエル氏とFRBはまたもや失敗した。根性も判断力もビジョンもない!ひどいコミュニケーターだ!」 | -------- |
| 9/18 | パウエル・FRB議長 | 「留意すべき情勢の中で米経済の力強さを維持し、継続するリスクに対する保険を提供するため、今回の措置を講じた」「FF金利の緩やかな調整で対応し得る。またそうすべき状況だ。景気拡大の維持に向け、適切に行動する」 | ドル円小幅に上昇市、株価も反発。 |
| 9/16 | トランプ大統領 | 「米金融当局のせいで、米国は競争する国々よりずっと高い金利を払っている。ジェイ・パウエルと金融当局が何も理解していないことは、そうした国々にとって信じられないほど幸運だ。そうした状況に加えて、今度は石油がやられた。大幅な金利低下、刺激策が必要だ」 | -------- |
| 9/11 | トランプ大統領 | 「FRBは米政策金利をゼロかそれ以下に引きさげるべきだ」、「パウエル議長と連邦準備制度は、ばか正直なために、他の国々が既にやっていることを米国は許さない。《愚か者たち》のせいでわれわれは一生に一度の機会を逃がしている」 | -------- |
| 9/6 | パウエル・FRB議長 | 「米経済に最も可能性の高い見通しは依然として、緩やかな成長と力強い労働市場に加え、インフレ率が当局の2%目標に近づくという好ましいものだ。ただ、世界的な景気減速や貿易政策を巡る不確実性、持続的な低インフレなどを含む大きなリスクは存在するため、それらに注視していく」 | -------- |
| 9/4 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「国内外の不確実性が、景気見通しと金融政策に関する私の思索において重要な要素になりつつある」 | -------- |
| 9/2 | 中国商務省 | 米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。 | -------- |
| 9/1 | 中国国営の新華社通信 | 米国の経済的な戦争挑発と戦う中国の決意はより強くなっており、対抗措置はさらに毅然として、計画的で狙いを定めたものだ。ホワイトハウスのタリフマンが学ぶべき1つの事実は、中国経済が進行中の貿易戦争でもたらされた圧力に抵抗するのに十分力強く、回復力があるということだ。 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



