「英国のEU離脱問題で楽観論後退」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円はアジア時間では上値が重かったものの、NYでは再び108円台後半まで上昇。米中貿易協議の先行きを懸念する声が出たもののドルは堅調に推移。
- ユーロドルは続伸。一時は1.1085を付け、1カ月ぶりのユーロ高を記録。ユーロ円も120円47銭前後まで上昇。
- 株式市場は小幅に反落。小売売上高が予想に反して減少していたことや、英国のEU離脱問題が依然不透明なことなどが材料視された。ダウは22ドル下落するも2万7千ドルの大台は維持。
- 債券相場は反発。長期金利は小幅に低下し、1.74%台に。
- 金と原油は反発。
9月小売売上高 → −0.3%
10月NAHB住宅市場指数 → 71
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| ドル/円 | 108.56 〜 108.85 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1023 〜 1.1085 |
| ユーロ/円 | 119.12 〜 120.47 |
| NYダウ | −22.82 → 27,001.98ドル |
| GOLD | +10.50 → 1,494.00ドル |
| WTI | +0.55 → 53.36ドル |
| 米10年国債 | −0.031 → 1.740% |
本日の注目イベント
- 豪 豪9月雇用統計
- 英 英9月小売売上高
- 米 9月住宅着工件数
- 米 9月建設許可件数
- 米 10月フィラデルフィア連銀景況指数
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 9月鉱工業生産
- 米 9月設備稼働率
- 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
- 米 企業決算 → モルガンスタンレー
先週末の米中通商協議で部分的な合意に達したことで、今後の米中関係に楽観的な見方が広がり、足元の金融市場ではリスク選好が強まっていますが、事はそう簡単ではないようです。昨日米下院で香港人権法案が可決したことを受け、中国政府は直ちに断固反対するとの声明を出しました。中国外務省は「内政干渉」だとし、法案が成立したら報復措置を講じると発表しています。法案はこの後、上院で可決後トランプ大統領の署名を経て発効しますが、今後の通商問題にも影響を及ぼす可能性があり、こじれるようだと、再び制裁関税引き上げ問題に発展することも予想されます。今朝の報道では、米上院外交委員長のリッシュ氏は「香港は私にとって優先順位が高い」として、同法案を迅速に審議する意向を示しています。(ブルームバーグ)
楽観的な見方が支配的だった「BREXIT」もまだゴールは遠いようです。前日、英国とアイルランドの交渉担当者が合意案の作成に近づいているとの報道がありましたが、北アイルランドのプロテスタント強硬派、民主統一党(DUP)が合意案に抵抗しており、離脱合意は難しいとの認識が広がっています。EU側も修正された合意案について、税制や補助金、環境基準などの分野でEUの統制が利かなくなる事態を懸念していると伝えられています。EU首脳会議は本日から2日間の日程で行われますが、合意案はこの会議に間に合わない可能性があるとブルームバーグが報じています。
地区連銀経済報告(ベージュブック)が公開されましたが、米経済への見通しをやや下方修正しています。報告書は「調査対象企業はおおむね景気拡大が続くと予想しているが、多くの企業が向こう6−12カ月の成長見通しを引き下げた」と指摘しており、「長引く貿易摩擦と世界的な景気減速が企業活動への重しとなった」と報告されています。一方で同報告書は、家計支出は「堅調」だとありますが、昨日発表された9月の小売売上高は予想に反してマイナス0.3%でした。市場予想はプラス0.3%で、マイナスを記録したのは7カ月ぶりです。ブルームバーグは、米経済の主要な柱である個人消費が不安定になり始めていることが示唆され、FRBが今月、3会合連続となる政策金利の引き下げを決定する論拠が強まった可能性があると報じています。
このような状況の中、昨日のドル円は堅調でした。堅調というよりも、円が弱いと言った方が適切かもしれません。ユーロ円は120円台半ばまで上昇し、8月1日以来の水準を回復しています。また、ポンド円も139円台半ば、豪ドル円も73円台半ばと、いずれも円安傾向です。市場では総じてリスクオンが続いていると見ることができますが、この状況がいつ反転するのかわかりません。トランプ大統領の「ちゃぶ台返し」がいつ起きるのか予想がつかないことから、利益はこまめに確定していく手法が有利かと思います。本日のドル円は108円30銭〜109円程度を予想しますが、引き続き「200日移動平均線」を抜くことができるかどうかが注目されます。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 10/15 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「今後の会合で追加の保険を検討する必要がある」 | -------- |
| 10/15 | ギータ・ゴピナート・IMFチーフエコノミスト | 「減速の同時発生と不確かな回復に伴い、グローバルな見通しはなお不安定だ。政策ミスの余地はなく、政策担当者が貿易摩擦を地政学的緊張の緩和で協調することが急務だ」 | -------- |
| 10/10 | トランプ大統領 | 米中貿易協議について、「非常にうまく行った。われわれはここで明日彼らと会うだろう。極めて順調だ」 | ドル円107円80銭から108円台を回復。 |
| 10/8 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「さらなる保険として、25ベーシスポイント引き下げる根拠は十分ありそうだ」 | -------- |
| 10/6 | ジョンソン・英首相 | 「われわれは荷物をまとめて出て行くことになるだろう。EUが相互に受け入れ可能な合意の下でわれわれを陽気に見送るか、われわれが勝手に出て行かざるを得ないか、それだけの問題だ」(英紙テレグラフで) | -------- |
| 10/4 | ジョージ・カンザスシティー連銀 | 「一段の成長減速の兆候があれば追加利下げに賛成する用意がある」 | -------- |
| 10/4 | パウエル・FRB議長 | 「米経済はいくらかリスクを抱えているものの、総じて良好な状態にあると言えるだろう」「失業率は半世紀ぶりの低水準付近にあり、インフレ率は当局の2%目標付近だがそれをやや下回った水準で推移している。われわれの仕事は、可能な限り長期間、その状態を維持することだ」 | -------- |
| 9/30 | ドラギ・ECB総裁 | 「(金融緩和は)財政政策からの支援がなければ、長期にわたり続く可能性がある」 | -------- |
| 9/23 | ドラギ・ECB総裁 | 緩和措置を巡る一部の批判に対して、「ユーロ圏は多くの国から成る通貨同盟であるという状況から、これは特に重要だ。このような意思の表明は、ECBの決定の効果を損ねないよう注意して行うべきだ。この点は非常に重要だ」 | -------- |
| 9/19 | ピルズベリー・大統領アドバイザー | 「トランプ大統領には貿易戦争をエスカレートさせる選択肢はあるだろうか。答えはイエスだ。関税は引き上げることができる。低水準にある関税率は、50%ないし100%への引き上げが可能だ」 | ドル円108円台前半から107円84銭まで下落。 |
| 9/18 | トランプ大統領 | 「ジェイ・パウエル氏とFRBはまたもや失敗した。根性も判断力もビジョンもない!ひどいコミュニケーターだ!」 | -------- |
| 9/18 | パウエル・FRB議長 | 「留意すべき情勢の中で米経済の力強さを維持し、継続するリスクに対する保険を提供するため、今回の措置を講じた」「FF金利の緩やかな調整で対応し得る。またそうすべき状況だ。景気拡大の維持に向け、適切に行動する」 | ドル円小幅に上昇市、株価も反発。 |
| 9/16 | トランプ大統領 | 「米金融当局のせいで、米国は競争する国々よりずっと高い金利を払っている。ジェイ・パウエルと金融当局が何も理解していないことは、そうした国々にとって信じられないほど幸運だ。そうした状況に加えて、今度は石油がやられた。大幅な金利低下、刺激策が必要だ」 | -------- |
| 9/11 | トランプ大統領 | 「FRBは米政策金利をゼロかそれ以下に引きさげるべきだ」、「パウエル議長と連邦準備制度は、ばか正直なために、他の国々が既にやっていることを米国は許さない。《愚か者たち》のせいでわれわれは一生に一度の機会を逃がしている」 | -------- |
| 9/6 | パウエル・FRB議長 | 「米経済に最も可能性の高い見通しは依然として、緩やかな成長と力強い労働市場に加え、インフレ率が当局の2%目標に近づくという好ましいものだ。ただ、世界的な景気減速や貿易政策を巡る不確実性、持続的な低インフレなどを含む大きなリスクは存在するため、それらに注視していく」 | -------- |
| 9/4 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「国内外の不確実性が、景気見通しと金融政策に関する私の思索において重要な要素になりつつある」 | -------- |
| 9/2 | 中国商務省 | 米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。 | -------- |
| 9/1 | 中国国営の新華社通信 | 米国の経済的な戦争挑発と戦う中国の決意はより強くなっており、対抗措置はさらに毅然として、計画的で狙いを定めたものだ。ホワイトハウスのタリフマンが学ぶべき1つの事実は、中国経済が進行中の貿易戦争でもたらされた圧力に抵抗するのに十分力強く、回復力があるということだ。 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



