「英首相離脱延期を要請」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は反落。中国の景気減速や株価の下落から108円39銭までドル安が進む。
- ユーロドルは小幅に上昇。一時は1.1172まで買われ、約2カ月ぶりの高値を記録。
- 株式市場は大幅に続落。中国景気の減速や英国のEU離脱が依然不透明なことが材料に。ダウは255ドル下落し、主要指数も揃って下落。
- 債券相場はほぼ横ばい。長期金利は1.75%台で推移。
- 金は反落し、原油も小幅に下落
9月景気先行指標総合指数 → −0.1%
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| ドル/円 | 108.39 〜 108.58 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1135 〜 1.1172 |
| ユーロ/円 | 120.78 〜 121.12 |
| NYダウ | −255.68 → 26,770.20ドル |
| GOLD | −4.20 → 1,494.10ドル |
| WTI | −0.015 → 53.78ドル |
| 米10年国債 | +0.002 → 1.754% |
本日の注目イベント
- 日 9月貿易収支
- 独 独9月生産者物価指数
- 欧 デギンドスECB副総裁講演
イギリスのジョンソン首相は、離脱合意案への議会承認が先週末までに得られなかったことから、今月末の離脱期限を来年1月31日まで3カ月延期することをEUに要請しました。しかし、ジョンソン氏は今月末の離脱をまだ断念しておらず、必要な法案を22日にも上程する計画だと伝えられています。これに対してEUのトゥスク大統領は、EU首脳らと対応について協議を開始すると述べたものの、数日を要する可能性があり、離脱延期はEU首脳の全会一致の承認が必要なことから、先行きは依然不透明です。また英政府がEUに宛てた3通の書簡のうち、離脱延期法が定められた延期申請文書にはジョンソン氏は署名をしておらず、「さらに延期すれば英国とEU双方の利益、両者の関係を損なうことになるだろう。われわれが次の段階に進むことができるよう、この手続きを終わらせなければならない」と主張しています。(ブルームバーグ)
米中通商協議は部分的な合意に達し、今後さらに核心的な部分まで合意できるのかが、次の焦点ですが、中国側の交渉責任者である劉鶴副首相が、先のワシントンでの合意後初めてこの問題に触れる講演を行っています。同副首相は江西省南昌で開催されたテクノロジーの会議で、「中国と米国は多くの側面で大きく前進し、第一段階の合意に向け重要な基盤を築いた」と発言し、「中国は平等を相互尊重に基づいて双方の中核的な懸案事項に対処するため米国と協力して取り組む用意がある」と改めて強調しています。
ワシントンで開かれたIMF年次総会に出席した黒田日銀総裁は、会見で日本の景気見通しについて、「日本経済は著しく改善し、約15年ぶりにデフレではない状況になっている」と述べています。また「引き続き日銀は強力な金融緩和を続けていく」ことを改めて強調しています。来週には日米の金融政策会合が開催されます。今回の会合では日米ともにさらなる緩和政策に踏み切るとの観測が根強くありますが、黒田総裁の「決意」を信じたいと思います。前回9月の会合では結局、政策変更には踏み込まず、決定後の記者会見では「オオカミ少年」といった言葉も飛び出し、総裁の苦笑を誘う場面もありましたが、今回はどうでしょう。
FRBのクラリダ副議長も講演で、「米経済は良好な状況になり、ベースライン見通しは好ましい」と発言しましたが、「ただし、民間設備投資は著しく減速しており、世界的な成長見通しの引き下げが続いている」と述べています。こちらも、今月末のFOMCでは利下げが確実視されています。10月の第1週には、ISM製造業景況指数が「50」を大きく割り込む「ISMショック」があり、ダウは2日で850ドルも売られる状況がありました。その後株価が急回復したことで利下げ確率は若干低下してはいますが、今回会合での利下げは25ベーシスあると予想しておいた方がベターでしょう。
ドル円は今月11日に108円台を回復して以来、108円台を上にも下にも抜けていません。上記金融会合を控えていることからそろそろ動き出すと予想していますが、テクニカルではまだドルの上昇を示唆している状況は変わっていません。109円台に乗せ、110円を目指すにはそれなりの材料が必要とは思いますが、その材料を見ると、BREXIT、対EUとの関税戦争、あるいはトランプ氏の弾劾調査問題など、円高材料が多く挙げられます。ここは方向を決めつけずに、どちらにも動く可能性があるとし、ポジション管理を計るべきでしょう。本日のドル円は108円〜108円70銭程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 10/19 | 劉鶴・中国副首相 | 「中国と米国は多くの側面で大きく前進し、第一段階の合意に向け重要な基盤を築いた」、「中国は平等を相互尊重に基づいて双方の中核的な懸案事項に対処するため米国と協力して取り組む用意がある」 | -------- |
| 10/15 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「今後の会合で追加の保険を検討する必要がある」 | -------- |
| 10/15 | ギータ・ゴピナート・IMFチーフエコノミスト | 「減速の同時発生と不確かな回復に伴い、グローバルな見通しはなお不安定だ。政策ミスの余地はなく、政策担当者が貿易摩擦を地政学的緊張の緩和で協調することが急務だ」 | -------- |
| 10/10 | トランプ大統領 | 米中貿易協議について、「非常にうまく行った。われわれはここで明日彼らと会うだろう。極めて順調だ」 | ドル円107円80銭から108円台を回復。 |
| 10/8 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「さらなる保険として、25ベーシスポイント引き下げる根拠は十分ありそうだ」 | -------- |
| 10/6 | ジョンソン・英首相 | 「われわれは荷物をまとめて出て行くことになるだろう。EUが相互に受け入れ可能な合意の下でわれわれを陽気に見送るか、われわれが勝手に出て行かざるを得ないか、それだけの問題だ」(英紙テレグラフで) | -------- |
| 10/4 | ジョージ・カンザスシティー連銀 | 「一段の成長減速の兆候があれば追加利下げに賛成する用意がある」 | -------- |
| 10/4 | パウエル・FRB議長 | 「米経済はいくらかリスクを抱えているものの、総じて良好な状態にあると言えるだろう」「失業率は半世紀ぶりの低水準付近にあり、インフレ率は当局の2%目標付近だがそれをやや下回った水準で推移している。われわれの仕事は、可能な限り長期間、その状態を維持することだ」 | -------- |
| 9/30 | ドラギ・ECB総裁 | 「(金融緩和は)財政政策からの支援がなければ、長期にわたり続く可能性がある」 | -------- |
| 9/23 | ドラギ・ECB総裁 | 緩和措置を巡る一部の批判に対して、「ユーロ圏は多くの国から成る通貨同盟であるという状況から、これは特に重要だ。このような意思の表明は、ECBの決定の効果を損ねないよう注意して行うべきだ。この点は非常に重要だ」 | -------- |
| 9/19 | ピルズベリー・大統領アドバイザー | 「トランプ大統領には貿易戦争をエスカレートさせる選択肢はあるだろうか。答えはイエスだ。関税は引き上げることができる。低水準にある関税率は、50%ないし100%への引き上げが可能だ」 | ドル円108円台前半から107円84銭まで下落。 |
| 9/18 | トランプ大統領 | 「ジェイ・パウエル氏とFRBはまたもや失敗した。根性も判断力もビジョンもない!ひどいコミュニケーターだ!」 | -------- |
| 9/18 | パウエル・FRB議長 | 「留意すべき情勢の中で米経済の力強さを維持し、継続するリスクに対する保険を提供するため、今回の措置を講じた」「FF金利の緩やかな調整で対応し得る。またそうすべき状況だ。景気拡大の維持に向け、適切に行動する」 | ドル円小幅に上昇市、株価も反発。 |
| 9/16 | トランプ大統領 | 「米金融当局のせいで、米国は競争する国々よりずっと高い金利を払っている。ジェイ・パウエルと金融当局が何も理解していないことは、そうした国々にとって信じられないほど幸運だ。そうした状況に加えて、今度は石油がやられた。大幅な金利低下、刺激策が必要だ」 | -------- |
| 9/11 | トランプ大統領 | 「FRBは米政策金利をゼロかそれ以下に引きさげるべきだ」、「パウエル議長と連邦準備制度は、ばか正直なために、他の国々が既にやっていることを米国は許さない。《愚か者たち》のせいでわれわれは一生に一度の機会を逃がしている」 | -------- |
| 9/6 | パウエル・FRB議長 | 「米経済に最も可能性の高い見通しは依然として、緩やかな成長と力強い労働市場に加え、インフレ率が当局の2%目標に近づくという好ましいものだ。ただ、世界的な景気減速や貿易政策を巡る不確実性、持続的な低インフレなどを含む大きなリスクは存在するため、それらに注視していく」 | -------- |
| 9/4 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「国内外の不確実性が、景気見通しと金融政策に関する私の思索において重要な要素になりつつある」 | -------- |
| 9/2 | 中国商務省 | 米国の追加関税は(今年6月に行われた)大阪での米中首脳会談での合意に著しく反し、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。 | -------- |
| 9/1 | 中国国営の新華社通信 | 米国の経済的な戦争挑発と戦う中国の決意はより強くなっており、対抗措置はさらに毅然として、計画的で狙いを定めたものだ。ホワイトハウスのタリフマンが学ぶべき1つの事実は、中国経済が進行中の貿易戦争でもたらされた圧力に抵抗するのに十分力強く、回復力があるということだ。 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



