今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米中貿易協議合意署名は12月に延期か?」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 米中貿易協議の合意に伴う署名が12月にずれ込むとの報道からドル円は108円81銭まで売られたが、その後は109円に戻す。結局、大きな動きにはならず109円前後で取引を終える。
  • ユーロドルは徐々に水準を下げ、この日は終始1.11を下回る取引に。
  • 株式市場は米中貿易問題をめぐるネガティブな報道に上昇は一服。前日とは正反対にS&P500は上昇し、他の2指数は小幅に反落。
  • 債券は反発。長期金利は1.82%台へと小幅に低下。
  • 金は3日ぶりに反発。一方原油は反落。
ドル/円 108.81 〜 109.14
ユーロ/ドル 1.1065 〜 1.1092
ユーロ/円 120.47 〜 120.90
NYダウ −0.07 → 27,492.56ドル
GOLD +9.40 → 1,493.10ドル
WTI −0.88 → 56.35ドル
米10年国債 −0.032 → 1.827%

本日の注目イベント

  • 豪 豪9月貿易収支
  • 中 中国10月外貨準備高
  • 独 独9月鉱工業生産
  • 欧 ECB経済報告
  • 欧 欧州委員会、経済見通し発表
  • 英 BOE金融政策発表
  • 英 BOE四半期インフレ報告
  • 英 カーニー・BOE総裁記者会見
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 9月消費者信用残高
  • 米 カプラン・ダラス連銀総裁講演

米中両首脳による貿易協議合意署名がずれ込む可能性が出てきたことで、前日までのリスクオンの流れが後退し、株安、債券高となりドル円も売られる場面はあったものの、前日の水準近辺で戻ってきました。

トランプ大統領と中国の習近平主席による部分的貿易合意の署名が12月になる可能性があり、会談場所として米国内の2カ所は除外されたと、関係者の話としてブルームバーグが伝えました。両首脳は当初、チリで今月16−17日に予定されていたAPEC首脳会議に合わせて会談する見通しでしたが、チリの首都サンチャゴで街頭デモが続いているため首脳会談は中止となっていました。代替地として米国内のアイオワ州やアラスカ州などが検討されていましたが、今回それも除外され、ロイター通信は、スウェーデンやスイスが候補になっていると報じています。トランプ大統領は、署名するかしないかわからないが、署名する可能性の方が高いといった、微妙な言い方をしていますが、この段階でも米中通商協議の「ちょっとした動き」が材料となり、各市場は影響を受けています。12月15日に予定されている対中制裁関税「第四弾」が回避されるとの見方もある中、今後の協議の成り行きからは目が離せません。

IMFは欧州域内経済見通しを発表しました。ドイツなど、多くの国の成長率を下方修正し、「下振れリスクの高まりに鑑み、緊急対策を実行できるよう用意しておくべきだ」と提言しています。特に、7−9月期に狭義のリセッションに入ったと見られるドイツや、オランダに対しては「成長促進のために支出を拡大すべきだ。こうした慎重な財政支出は前向きな波及効果をもたらし、減速を食い止める一方で、海外不均衡を軽減する」と指摘しています。ただ、これに対してドイツのシヨルツ財務相はこうした懸念を一蹴し、成長減速を押し上げるための財政刺激策は今のところ必要ないと述べています。(ブルームバーグ)

12月12日に総選挙が行われるイギリスの最新世論調査で、与党保守党のリードが縮小しているとの結果を受け、ポンドは主要通貨に対して売られています。今朝の日経新聞では、トニー・ブレア元英首相との単独インタビューの内容を伝えていますが、ブレア氏は、「12月の総選挙では明確な結果がでるかわからない」として、「英国民に再国民投票の機会を与えるべきだ」と述べています。また、英国政治の現状を、「国は分断されたままで、英議会も行き詰っている」と語っています。個人的にも再国民投票に賛成ですが、現状の長きにわたる混乱を目の当たりにしている多くの英国民は、今度は離脱に「NO」と言うのではないかと思っています。

昨日からのドル円の動きを見ていると、先週からの底堅い動きは続いているものの、上値の重さもあらためて意識させられました。特に昨日は日経平均株価が連日で年初来高値を更新しているにもかかわらず、ドル円はジリジリと売られ、109円を割り込む展開でした。NY市場でも108円81銭前後まで売られましたが、それでも、これまでのようにずるずると崩れる動きにならないことが、足元のドル高傾向を象徴しているように思えます。結局昨日も、重要なレジスタンス・ラインである「200日移動平均線」を完全に上抜けできず、「上ヒゲ」が絡んでいる形状に終わっています。昨日も述べたように、109円を挟み上下50−70銭程度のレンジでもみ合う展開を予想しています。本日のドル円は108円60銭〜109円30銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
11/5 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「貿易政策を起因とする不確実性や世界経済の成長減速から国内経済を守るため、米金融当局は金利を引き下げたが、一旦(利下げを)休止する良い時期と考えている」 --------
11/5 カプラン・ダラス連銀総裁 「1.5−1.75%のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジは恐らく妥当な水準だ」 --------
10/30 トランプ大統領 「パウエル議長とFOMCに国民は非常に失望している。」「われわれはドイツや日本など、他の国のどこよりも低い金利とすべきだった。米国は現在、間違いなく最も強大な国だが、FRBのせいで競争上、不利な立場に置かれている。われわれにとって問題なのは中国ではなくFRBだ。」 --------
10/24 ドラギ・ECB総裁 「成長の勢い鈍化が賃金上昇のインフレへの転化を遅らせている」と指摘し、見通しへのリスクは下方向だ」「ドイツは恐らくリセッションに陥っている」 --------
10/24 ペンス・米副大統領 (米中関係について)「両国がデカップリングするのではなく、米国は中国との関わり、および中国による世界との関わりを模索している」 ややリスクオンの流れが強まる
10/19 劉鶴・中国副首相 「中国と米国は多くの側面で大きく前進し、第一段階の合意に向け重要な基盤を築いた」、「中国は平等を相互尊重に基づいて双方の中核的な懸案事項に対処するため米国と協力して取り組む用意がある」 --------
10/15 ブラード・セントルイス連銀総裁 「今後の会合で追加の保険を検討する必要がある」 --------
10/15 ギータ・ゴピナート・IMFチーフエコノミスト 「減速の同時発生と不確かな回復に伴い、グローバルな見通しはなお不安定だ。政策ミスの余地はなく、政策担当者が貿易摩擦を地政学的緊張の緩和で協調することが急務だ」 --------
10/10 トランプ大統領 米中貿易協議について、「非常にうまく行った。われわれはここで明日彼らと会うだろう。極めて順調だ」 ドル円107円80銭から108円台を回復。
10/8 エバンス・シカゴ連銀総裁 「さらなる保険として、25ベーシスポイント引き下げる根拠は十分ありそうだ」 --------
10/6 ジョンソン・英首相 「われわれは荷物をまとめて出て行くことになるだろう。EUが相互に受け入れ可能な合意の下でわれわれを陽気に見送るか、われわれが勝手に出て行かざるを得ないか、それだけの問題だ」(英紙テレグラフで) --------
10/4 ジョージ・カンザスシティー連銀 「一段の成長減速の兆候があれば追加利下げに賛成する用意がある」 --------
10/4 パウエル・FRB議長 「米経済はいくらかリスクを抱えているものの、総じて良好な状態にあると言えるだろう」「失業率は半世紀ぶりの低水準付近にあり、インフレ率は当局の2%目標付近だがそれをやや下回った水準で推移している。われわれの仕事は、可能な限り長期間、その状態を維持することだ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和