今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「株式市場、米中協議を巡る情報に上下に振れる」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は米中貿易協議が不透明なことから動きにくく、NY市場では108円台半ばで小動き。値幅もわずか19銭で商いも閑散。
  • ユーロドルは小幅に上昇したものの、1.11台には届かず。
  • 株式市場は続落。利益を一旦確定する動きが続き、ダウは3日続落の54ドル安。
  • 債券相場は反落。長期金利は1.77%台へとやや上昇。
  • 金は続落。原油は大幅に続伸し58ドル台に乗せる。
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11月フィラデルフィア連銀景況指数 → 10.4
新規失業保険申請件数 → 22.7万件
10月景気先行指標総合指数 → −0.1%
10月中古住宅販売件数 → 546万件
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ドル/円 108.51 〜 108.70
ユーロ/ドル 1.1052 〜 1.1097
ユーロ/円 120.06 〜 120.58
NYダウ −54.80 → 27,766.29ドル
GOLD −10.60 → 1,463.60ドル
WTI +1.57 → 58.58ドル
米10年国債 +0.027 → 1.772%

本日の注目イベント

  • 日 10月消費者物価指数
  • 独 独11月製造業PMI(速報値)
  • 独 独11月サービス業PMI(改定値)
  • 独 独7−9月期GDP(改定値)
  • 欧 ユーロ圏11月総合PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏11月製造業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏11月サービス業PMI(速報値)
  • 欧 ラガルド・ECB総裁講演
  • 米 11月マークイット製造業PMI
  • 米 11月マークイットサービス業PMI
  • 米 11月ミシガン大学消費者マインド(確報値)

昨日の東京時間朝方には、米議会上院が可決した「香港人権法案」を巡り、トランプ大統領が署名する見通しだと報じられたことで、ドル円は108円28銭まで売られました。調整モードが漂っていた日経平均株価も一時は400円を超える下げを見せ、リスクオフが急速に強まる局面がありました。その後ブルームバーグが、米中通商協議の中国側責任者である劉鶴副首相の発言を伝えたことで、ドル円は元の水準を回復しました。劉鶴副首相は、(米国側の要求に)「戸惑っているものの、合意の第1段階に達する自信を持っている」とし、「慎重ながらも楽観的だ」と述べたようです。引き続き香港でのデモを巡る米中貿易協議への影響が懸念される状況になっています。

香港サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、米国が貿易合意に達するのが難しくなっても、12月15日に米国が予定している中国製品への新たな関税発動は、少なくとも延期される公算が大きい、と報じています。事情に詳しい関係者の話として、この期限までに交渉で重大な成果が出る可能性は低いものの、関税延期は米中両国の利益にかなうため、発動を阻止する何かが達成されることはあり得ると述べていることを紹介しています。また今朝の情報では、劉鶴副首相がライトハイザー米通商代表部(USTR)代表に対し、協議のため月内に訪中するよう招請したと、ブルームバーグが報じています。ただ、一方でトランプ大統領が本日にも上記「香港人権法案」に署名する可能性が高いと見られており、その場合「直ちに報復する」との声明を発表している中国の対応が焦点になります。他に重要な材料もない中、ここしばらくはこのニュースに一喜一憂する展開が続きそうです。

NY株式市場は続落し、主要3指数は揃って下落しました。上昇基調を強めていたNY株式市場も、米中貿易協議に対する見方がこれまでよりも厳しいものになってきたことで、ひとまず利益を確定する動きが強まっていると見られます。この動きは日本株にも当てはまるようで、昨日の日経平均株価の動きは非常に神経質なものでした。それでも動かないのが為替市場です。ドル円は108円台前半からは再び108円台半ばまで戻してはいますが、連日水準が変わらないことから、実需筋の興味も徐々に薄れてきているようです。OECDの世界経済見通しでも、今年と来年の世界経済成長率を2.9%、2021年を3%としており、各国政府が政策や投資方法を改善しない限り、世界経済は改善されないと警告しています。世界経済の成長鈍化は、とりもなおさず低金利の継続を意味します。ドル円の年間値幅が縮小している一つの要因に、金利差を挙げている報道もありました。足元の低成長が続くとすれば、来年のドル円の値動きも期待できないことになります。ただ、まだ今年も1カ月余りを残しています。株式市場ならずとも、「棹尾の一振」(とうびのいっしん)に期待したいところです。

本日のドル円は108円20銭〜108円90銭程度を予想しますが、上で述べたように、トランプ大統領が「香港人権法案に署名」といったニュースが流れるようだと、円高方向に振れる可能性があります。

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筆者が愛読し、毎日のコメントに引用させてもらっているブルームバーグ「デイブレイク」の「ちょっとした話題」に「クジラは地球を救う」という記事がありました。1頭のクジラが生きているうちに体内に取り込む二酸化炭素は、平均で33トンに上ることがIMFの研究リポートで明らかになったそうです。これに対して1本の木が吸収する二酸化炭素の量は1年で22キログラムを超えないことから、クジラの数を増やせば、気候変動との闘いで突破口を開く可能性があるとしています。現在クジラの数は、長年の商業捕鯨によって130万頭に急減しているそうでが、昨年12月に国際捕鯨委員会(IWC)を脱退した日本にとっては、厳しい研究結果です。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
11/20 劉鶴・中国副首相 (米国側の要求に)「戸惑っているものの、合意の第1段階に達する自信を持っている」「慎重ながらも楽観的だ」 ドル円→108円30銭近辺から反発。マイナス400円を超える下落を見せた日経平均株価も下げ幅を200円以下に縮小。
11/19 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「現在の経済状況および緩やかな成長の継続と力強い労働市場、2%へ向かうインフレを描く基本シナリオを考えると、現在の金融政策スタンスはこれを支える上で適切だと見受けられる」 --------
11/18 メスター・クリーブランド連銀総裁 「現在の金融政策はインフレの行方を見守る上で好位置であると考えている」「インフレは当局の2%目標に向かって上昇しているように見受けられるものの、製造業と投資はこのところ弱い。個人消費は力強く、底堅い」 --------
11/13 パウエル・FRB議長 「景気に関する最新情報がわれわれの見通しとおおむね一致する状況が続く限り、現行金融政策のスタンスは引き続き適切となる可能性が高いだろう」「ただし、この見通しに対する留意すべきリスクは残る」 ややドル高に影響したが、動きは限定的。
11/12 トランプ大統領 「合意は近い。重要な第一段階の合意が近く実現する可能性がある」「合意に至らなければ、われわれは対中関税を大きく引き上げる」 リスクオンがやや後退し、ドル円、株価は小幅下落。
11/5 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「貿易政策を起因とする不確実性や世界経済の成長減速から国内経済を守るため、米金融当局は金利を引き下げたが、一旦(利下げを)休止する良い時期と考えている」 --------
11/5 カプラン・ダラス連銀総裁 「1.5−1.75%のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジは恐らく妥当な水準だ」 --------
10/30 トランプ大統領 「パウエル議長とFOMCに国民は非常に失望している。」「われわれはドイツや日本など、他の国のどこよりも低い金利とすべきだった。米国は現在、間違いなく最も強大な国だが、FRBのせいで競争上、不利な立場に置かれている。われわれにとって問題なのは中国ではなくFRBだ。」 --------
10/24 ドラギ・ECB総裁 「成長の勢い鈍化が賃金上昇のインフレへの転化を遅らせている」と指摘し、見通しへのリスクは下方向だ」「ドイツは恐らくリセッションに陥っている」 --------
10/24 ペンス・米副大統領 (米中関係について)「両国がデカップリングするのではなく、米国は中国との関わり、および中国による世界との関わりを模索している」 ややリスクオンの流れが強まる
10/19 劉鶴・中国副首相 「中国と米国は多くの側面で大きく前進し、第一段階の合意に向け重要な基盤を築いた」、「中国は平等を相互尊重に基づいて双方の中核的な懸案事項に対処するため米国と協力して取り組む用意がある」 --------
10/15 ブラード・セントルイス連銀総裁 「今後の会合で追加の保険を検討する必要がある」 --------
10/15 ギータ・ゴピナート・IMFチーフエコノミスト 「減速の同時発生と不確かな回復に伴い、グローバルな見通しはなお不安定だ。政策ミスの余地はなく、政策担当者が貿易摩擦を地政学的緊張の緩和で協調することが急務だ」 --------
10/10 トランプ大統領 米中貿易協議について、「非常にうまく行った。われわれはここで明日彼らと会うだろう。極めて順調だ」 ドル円107円80銭から108円台を回復。
10/8 エバンス・シカゴ連銀総裁 「さらなる保険として、25ベーシスポイント引き下げる根拠は十分ありそうだ」 --------
10/6 ジョンソン・英首相 「われわれは荷物をまとめて出て行くことになるだろう。EUが相互に受け入れ可能な合意の下でわれわれを陽気に見送るか、われわれが勝手に出て行かざるを得ないか、それだけの問題だ」(英紙テレグラフで) --------
10/4 ジョージ・カンザスシティー連銀 「一段の成長減速の兆候があれば追加利下げに賛成する用意がある」 --------
10/4 パウエル・FRB議長 「米経済はいくらかリスクを抱えているものの、総じて良好な状態にあると言えるだろう」「失業率は半世紀ぶりの低水準付近にあり、インフレ率は当局の2%目標付近だがそれをやや下回った水準で推移している。われわれの仕事は、可能な限り長期間、その状態を維持することだ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和